「経済物理学」の版間の差分

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m 文章のなかで、従来の、また今日でも現場て用いられている金融工学の理論がパレート分布を導けないことが伝わらないと感じられるため、若干つながりをわかりやすくした。
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従来の経済学による市場理論としては、[[一般均衡]]理論がある。これは消費者の効用関数・生産者の生産関数を所与とし、多市場の価格・需給量を同時決定するモデルであり、数学的にエレガントな構造をしている。しかし、[[動学]]的な理論ではなく、市場がどのように均衡に到達するか、あるいは市場は本当に均衡しているのか、という問題は扱いにくい。
 
初期の[[金融工学]]では、原資産の価格変化率の分布が対数[[正規分布]]に従い、[[裁定取引|裁定機会]]が存在しないなどの仮定の上で、[[オプション]]の理論価格を導くことができた([[ブラック・ショールズ方程式]])。あくまで、[[数学]]的に扱いやすいから正規分布としている。この段階での金融工学の理論は、時間が明示的に入っているため動学的な理論ると言えるが、実際の価格変化率の分布は正規分布ではなく[[パレート分布]](ベキ分布)に従うため、現実的なモデルとは言えなっていない。金融工学は、その後、[[ARCH]]、[[GARCH]]モデルのように、価格変化率の標準偏差の時間変動を取り入れ、ベキ分布、[[ボラティリティ・クラスタリング]]を再現する方向へと発展していく。ただし、なぜそうした分布に従うのかといった疑問に答えるのは難しい。
 
価格変化率の分布がなぜパレート分布(ベキ分布)に従うのかということの理解は重要である。なぜなら、大きな価格変動は暴落・暴騰を意味するので、それが正規分布の予言よりも多いということは、それだけ市場が不安定な存在であることを意味するからである。また、オプションの理論価格は、価格変化率の分布と関係があることが分かっているので、オプションの価格理論にとっても重要である。