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:堤防の材料は土を基本とする。この場合、土は自立させるために断面を底面の広い台形に仕上げる必要があるが、都市部などで、通常の堤防を作るだけの用地が確保できない場合、主要部分にコンクリートや[[鋼矢板]]などを用いた壁状の堤防を造ることがある。これを特殊堤という。また、同様の理由で堤防高が十分に取れない場合、堤防上にコンクリートなどで壁を造り高さを補うことがある。この壁を胸壁という。
尚、同様の特殊堤として、河川構造物に越流堤、囲繞堤(いじょうてい)、背割堤及び道流堤がある。
 
 
=== 高規格堤防 ===
[[ファイル:River's bank (Basic & Super).PNG|thumb|300px|right|上:'''従来型の堤防'''<br />下:'''スーパー堤防'''<br />スーパー堤防は高さに対して堤体の幅が約30倍である。堤防沿いの建物などを移転させてから盛土(図では赤い部分)を施し、整地後に堤の上に改めて建物を建築する。]]
通常の堤防は越水が起こると土砂が削られ、破堤につながり甚大な被害を招く。万一の越水でも急速な崩壊を招かぬよう、裏法面を3%以内の緩やかな勾配としたものを'''[[高規格堤防]]'''という('''[[スーパー堤防]]'''とも呼ぶ)<ref>[http://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/kiroku/suigai/suigai_4-5-ref3-2.html 治水の手法2]国土交通省</ref>。高規格堤防においては水が堤防高を越えても堤内に緩やかに流れ落ちるため被害が小さくなる。[[1987年]]に建設省(現在は[[国土交通省]])が事業として始め、[[千葉県]][[栄町]]矢口(やこう)の[[利根川]]沿いに完成したものが第一号。利根川のほかに[[江戸川]]、[[荒川 (関東)|荒川]]、[[多摩川]]、[[淀川]]、[[大和川]]などでの5水系6河川区間約873[[キロメートル|km]]の整備が進められていを対象とす<ref name=minaoshi>{{Cite web|author=高規格堤防の見直しに関する検討会|date=2011-08-11|url=http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2011e6bcf730c6b1da2eead4b04761c8aca97eaba9e5f/%E9%AB%98%E8%A6%8F%E6%A0%BC%E5%A0%A4%E9%98%B2%E6%95%B4%E5%82%99%E3%81%AE%E6%8A%9C%E6%9C%AC%E7%9A%84%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%EF%BC%89.pdf|title=高規格堤防整備の抜本的見直しについて(とりまとめ)|format=PDF|publisher=[[国土交通省]]|accessdate=2012-01-24}}</ref>
 
高規格堤防の裏法面上は高規格堤防特別区域とされ、大規模な地面の掘削等に許可が必要となるものの、通常の土地とほぼ同様に建築や耕作に利用することができ、堤防上に街並が作られる。たとえば堤防高10mの高規格堤防では裏法面の幅は30倍の約300mを必要とする規格であるが、この部分の用地買収は行わず、一時移転や再建築の費用を国が負担した上で所有者に土地が返還されることとなる。この際に街区整理も併せて行われることがある。
 
高規格堤防事業は100年から200年に一度の大洪水を安全に流すことを想定しているが、建設には約400年の膨大な時間と12兆数千億円のと費用が必要であり<ref>{{Cite web|date=2011-11-02|url=http://www.gikai.city.edogawa.tokyo.jp/voices/GikaiDoc/attach/Se/Se291_62tinnzyou.pdf|title=スーパー堤防に代わる「地中連続壁工法」での堤防強化を求める陳情(建設委員会付託)|format=PDF|publisher=[[江戸川区]]議会|accessdate=2012-01-24}}</ref>、また堤防全体を高規格化するまではその治水効果を十分には発揮できない。利根川では全体の高規格化まで約1000年かかるという試算もあり、治水対策に名を借りた[[再開発]]事業だとの指摘もある。
 
[[2010年]][[10月28日]][[事業仕分け (行政刷新会議)|事業仕分け]]第3弾でスーパー堤防事業は廃止と評価判定された。
 
[[東北地方太平洋沖地震|2011年東北地方太平洋沖地震]]発生時に、スーパー堤防を津波対策の堤防かのように扱うメディアが見られたが、上述の通りスーパー堤防の優位性は河川の氾濫時の土壌安定化にあり、津波対策としては極めて破堤しにくい事以外は一般的堤防以上の優位性はないとの指摘もある。
 
* 整備の進捗
**[[1987年]] - 建設省(現在は[[国土交通省]])が事業として始めた。
**[[2010年]][[10月28日]] - [[事業仕分け (行政刷新会議)|事業仕分け]]第3弾でスーパー堤防事業は廃止と評価判定された<ref>{{Cite web|date=2011-03-20|url=http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1590|title=蓮舫「スーパー堤防は不要」の不見識|publisher=The Liberty Web, IRH Press|accessdate=2012-01-24}}</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110314/plc11031421450043-n1.htm 石原都知事、蓮舫氏に「スーパー堤防はいりますよ」と痛烈な一撃 会談は5分で打ち切り]産経ニュース
2011年3月1414日</ref>。
**[[2011年]][[8月11日]] - 「高規格堤防の見直しに関する検討会」は[[東北地方太平洋沖地震|2011年東北地方太平洋沖地震]]をふまえ、施設の整備水準を上回る外力は発生しうるとしても人命を守ることを第一に対応することの重要性を改めて認識している<ref name=minaoshi /><ref>[http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikakuteibou/index.html 高規格堤防の見直しに関する検討会]</ref>
**[[2012年]][[1月19日]] - 国土交通省は区間873[[キロメートル|km]]のうち50.6kmの5.8%が整備完了としたが、[[会計検査院]]は不完全区間があり完成区間は1.1%と指摘<ref name=yomi20120120>読売新聞2012年1月20日13S版36面</ref><ref>[http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/h240119_1.html 「大規模な治水事業(ダム、放水路・導水路等)に関する会計検査の結果について]「要旨」5ページ(イ)[[会計検査院]]2012年1月19日</ref>。また、2010年10月の事業仕分けで廃止と判定されたが、[[東北地方太平洋沖地震|2011年東北地方太平洋沖地震]]をふまえ、「人命にかかわる」として約120kmは整備継続の方針<ref name=yomi20120120 />。
 
=== 堤防の種類 ===