「一番美しく」の版間の差分

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ただし、すでに日本の敗色濃厚となった時期に製作されたためもあってか、戦意高揚というよりも祖国のために必死で働く女工たちを暖かく見つめた作品である。
 
表面的には、戦後製作された「わが青春に悔いなし」とは正反対のベクトルを持った作品(戦争協力と反戦)のようにも見えるが、女主人公が彼女の信ずる目的のためにひたむきに働く描写などは共通しており、後に「生きる」でひとつの結実を見ることになる。
「生きる」でひとつの結実を見ることになる。
 
黒澤映画の中では注目されることもなく、評価が高いわけでもないが、黒澤は自作の中で「一番可愛い」といい、木下恵介は黒澤作品の中で一番好きな作品としてあげている。
 
また、敵国アメリカの作曲家スーザの行進曲を女工たちが工場で熱心に働いている(敵国アメリカと戦う兵器生産のために熱心に働いている場面に敵国アメリカの作曲家スーザの行進曲を使うなど、黒澤らしい反骨精神も垣間見ることができる。この件に関し、黒澤はかつて自分の作品の描写に「米英的でけしからん」と何度もケチを付けた検閲官が、アメリカの行進曲を使ったのにもかかわらず、何の文句もいわなかった事を皮肉ぽく「蝦蟇の油」の中で述懐している。
 
[[渋谷陽一]]のインタビューで黒澤は渋谷の「(「一番美しく」は)反戦映画ですよね?」の問いに、明言はしなかったものの、そういう「含み」もあった映画だと認めている。
 
== あらすじ ==