「亀がアキレスに言ったこと」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Was a bee (会話 | 投稿記録)
style
Was a bee (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
5行目:
==概要==
[[ファイル:LewisCarrollSelfPhoto.jpg|thumb|パラドックスを提示した[[ルイス・キャロル]]。一般には『[[不思議の国のアリス]]』の作者として有名]]
この議論はまず次のような[[論証]]を考えるところから始まる。
{{Quotation|
* '''前提 A''': 同一のものに等しいものはお互いに等しい([[推移関係]])。
* '''前提 B''': この三角形のこの二つの辺は同一のものに等しい。
:それゆえ
* '''結論 Z''': この三角形のこの二つの辺は、お互いに等しい。
}}
23行目:
 
 
亀はこれを受け入れる。ただし自分がこれを受け入れたことが分かるように、ノートにその新しい内容を書きこんでくれと頼む。アキレスはノートに前提Cを書き込む。そして新しい形こうなった。
 
{{Quotation|
* '''前提''' '''A''': 同一のものに等しいものは、お互いに等しい(推移関係)
* '''前提''' '''B''': この三角形のこの二つの辺は同一のものに等しい。
* '''前提''' '''C''': もしAとBが正しければ、Zは正しくなければならない。
:それゆえ
* '''結論''' '''Z''': この三角形のこの二つの辺は、お互いに等しい。
}}
 
前提C認めはした。しかしこの新しい形の拡張された論証であっても、それはまだなお結Z拡大させ受け入れること自体認めたわけではない拒否する。アキレス君はAとBとCが正しいなを受け入れたのだか、Zも認めなければならない」といえば、言う。しかしそれに対し亀はのことまた更なる仮言的命題(hypothetical proposition)前提区別を迫る返す。そして亀は「僕は前提Cを認めはした、けれど『AとBとCからZが結論される』ということは認めていない」と言う。つまり次のような前提Dが正しいかどうかを確かめねばZという結論はまだ誤りがありえるとほのめかした。
 
 
{{Border| '''前提 D''': もしAとBとCが正しければ、Zは正しくなければならない。|color=Gray}}
 
 
前提をノートに書き足してくれるならばそれぞれの仮言的前提を認めてもよいが、結論にはまだ至らないと亀は続けていった。つまり、書き込んだ前提が全て正しければ、Zは正しくなければならないということを仮言的に否定すればよいのである。
この前提をノートに書き足してくれるならば、それを認めてもよい、と亀は言う。そこでアキレスはノートに結論に前提Dを書き足す。そして新しい形とこうなった。
 
{{Quotation|
* '''前提 A''': 同一のものに等しいものは、お互いに等しい。
* '''前提 B''': この三角形のこの二つの辺は同一のものに等しい。
* '''前提 C''': もしAとBが正しければ、Zは正しくなければならない。
* '''前提 D''': もしAとBとCが正しければ、Zは正しくなければならない。
:それゆえ
* '''結論 Z''': この三角形のこの二つの辺は、お互いに等しい。
}}
 
予想がつくであろうが、亀はこれでもやはり「結論Zが前提から論理的に導かれている」ことを認めない。キャロルの論文ではこの段階で次のようなやりとりでもって対話を締めくくっている。
 
{{Quotation|「やっとこの観念論的な競争もゴールを迎えたようだ!さあAとBとCとDが正しいと認めるなら、もちろん君はZも認めなければならないな」