|
|
== 概要 ==
当時の[[古典派経済学]]では、[[市場]]は自律的に調整されるため、最終的あるいは長期的には[[失業]]は存在しないとされていたが、1912。しかし現実には[[1929年]]の[[世界恐慌]]では未曽有の大量の失業が発生し、古典派経済学理論と現実との齟齬が指摘されてきた。ケインズは本書で「[[需要]]によって生産水準が決定され、それが失業を発生させる」ことを明らかにして、経済状況を改善し、失業のを解消するための[[政府]]による[[財政政策]]及び[[金融政策]]などの諸政策の理論的根拠を与えた。その構成は
*第1篇 緒論
*第2編 定義および基礎概念
から成り立っている。
[[古典派経済学]]の理論においては、[[貨幣]]を[[物々交換]]の[[媒体]]として位置づけられており、また同時に、[[市場]]には現在の資産を将来にわたって合理的に配分する機能があると考えられているたが、ケインズはこのような想定は十分に批判可能できあると考えた。なぜなら、そもそも市場が機能するためには、将来に発生する事件の内容とその[[確率分布]]を知らなければならない。ケインズが、そのようなことは少なくとも十全には不可能であり、即ち、[[不確実性]]が市場経済を本質的に支配していることを指摘してい考えた方が現実的であるからである。ケインズはまた、貨幣はそのままでは必ずしも直ちに交換の媒体になるのではなく、誰にでも受容されうるという[[信頼性]]が伴って初めて貨幣として機能するのであり、それゆえ、もし仮に全ての人が貨幣を保有しようとすると、いわゆる[[流動性の罠]]が生じると指摘した。
将来的な不確実性に対する人々の不安は、市場においては需要の低下として示される。経済システムを動かしている社会的要因はさまざまな心理状況からもたらされている。将来に対する不安が増大すれば、市場では資産の売却による利益の確定と貨幣の保有を増大させる事態を招く。ケインズは資産としての価値が低下する際にそれを売却して貨幣を保有しようとする選好を「[[流動性選好]]」という用語に概念化した。この流動性選好に基づいて判断すれば、[[投資]]とが盛んな時は社会の心理的状況が上向きでありになっていると考えられ、それゆえ行き過ぎれば[[インフレーション]]が起こる。逆に不安が増大すれば人々は貨幣を保有しようとし、設備投資や消費を抑制する。このように、現在及び将来に関する不確実性に対する楽観し視や逆に不安感が常に社会において変動するために、景気がの循環していが発生すると考えた。
こうした概念は当時の[[経済学]]界に衝撃を与えた。ケインズより若い世代はこの本を熱狂的に支持し、一方、古い世代の[[経済学者]]たちは本書を批判した。[[ポール・サミュエルソン]]は「南海島民の孤立した種族を最初に襲ってこれをほとんど全滅させた疫病のごとき思いがけない猛威をもって、年齢35歳以下のたいていの経済学者をとらえた。50歳以上の経済学者は、結局、その病気にまったく[[免疫]]であった。」{{要出典|date=2009年9月}}と語っている。
== 書誌情報 ==
|