「無限降下法」の版間の差分

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== 歴史 ==
フェルマーは、無限降下法をしばしば「私の方法」と呼び、この方法によって数々の命題を証明したと主張した。彼は詳しい証明をほとんど残していないが、『[[算術 (書物)|算術]]』への45番目の書き込みにおいて、唯一完全に近い証明を残している<ref>『フェルマーを読む』 pp. 156 - 159</ref><ref>『フェルマーの大定理』 2.4 節</ref>。ここで彼が証明したことは、「三辺の長さが有理数である直角三角形の面積は平方数にならない」という定理であり、言い換えると「1 は[[合同数]]ではない」ということである。この証明中に、不定方程式
''x''<sup>4</sup> - ''y''<sup>4</sup> = ''z''<sup>2</sup>
{{Indent|<math>x^4-y^4=z^2\,</math>}}
が非自明な整数解を持たないこと(これより[[フェルマーの最終定理]]の ''n'' = 4 の場合が導かれる)を、無限降下法によって示している。
 
フェルマーはまた、友人カルカヴィへの手紙の中で、4 で割って 1 余る[[素数]]が[[二個の平方数の和]]で表せることを、無限降下法で示したと述べた。フェルマーの語る証明の概略はおおよそ次の通りである。
{{Indent|もし、4 で割って 1 余る素数のうち、二個の平方数の和で書けないものがあるとすると、それより小さいもので、同じ性質を持つものを構成することができる。この構成法により、次々に小さなものを得ることができる。これは矛盾である。}}
無限降下法は、典型的には「解が存在しない」などの否定的命題の証明に用いられるが、このように肯定的命題にも用いられる<ref>詳しい証明は、例えば『フェルマーの系譜』 第2章にある。</ref>。
 
フェルマー以後も、無限降下法の考えはしばしば用いられている。たとえば、[[楕円曲線]]の有理点のなす[[群 (数学)|群]]が{{仮リンク|有限生成アーベル群|en|Finitely generated abelian group}}であることを主張する[[モーデルの定理]]の証明には、有理点の高さに関する、無限降下法と似た議論が用いられる<ref>『楕円曲線論入門』 3.1 節</ref>。
 
== 脚注 ==