「ピアノ協奏曲第23番 (モーツァルト)」の版間の差分

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'''ピアノ協奏曲第23番'''[[イ長調]][[ケッヘル番号|K.488]]は、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト]]が作曲した[[ピアノ協奏曲]]。[[古典派音楽|古典派]]のピアノ協奏曲の最高峰に位置する作品のうちの1である
 
 
== 概要 ==
モーツァルトは[[1784年]]に6曲、[[1785年]]に3曲、[[1786年]]にも3曲のピアノ協奏曲を作曲している。これらの協奏曲では、形式、楽器の使用法、旋律、[[和声]]の点において[[フランツ・ヨーゼフ・ハイドン|ハイドン]]の技法を継承し、高度の完成へ昇華させることに見事に成功している。K.488は491[[ピアノ協奏曲第24番 (モーツァルト)|K.491(第24番ハ短調)]]とともに、1786年に3回開かれたモーツァルトの予約音楽会の為に作曲された。彼はたいていのピアノ協奏曲では、まずピアノのパートを構成して、後になってこれを入念に仕上げていたが、この作品においてはピアノパート全体を最初から完全な形で書き記しており、細部に至るまで入念に仕上げられているので、どのような補充をも必要とはしていない。ほかのほとんどの協奏曲においては、モーツァルトは自筆による総譜に[[カデンツァ]]を本来の場所に書き込まんでいないが、この作品では第1楽章のカデンツァが完全に記されていることから判断できる。第2楽章にも第3楽章にもカデンツァは置かれておらず、どこにも入る機会が示されていない。絶え間なく華麗なパッセージが現れているために、いつもは非常に好んでいる即興演奏の技法を差し挟む余地を彼が与えなかったことは、この作品が極度に力を集中して作曲されたことを示している
 
モーツァルトはたいていのピアノ協奏曲では、まずピアノのパートを構成して、後にそれを入念に仕上げていたが、この作品においてはピアノパート全体を最初から完全な形で書き記しており、細部に至るまで入念に仕上げられているので、どのような補充をも必要とはしていない。ほかのほとんどの協奏曲においては、モーツァルトは自筆による[[総譜]]に[[カデンツァ]]を本来の場所に書き込まんでいないが、この作品では第1楽章のカデンツァが完全に記されていることから判断できる。第2楽章にも第3楽章にもカデンツァは置かれておらず、どこにも入る機会が示されていない。絶え間なく華麗なパッセージが現れているために、いつもは非常に好んでいる即興演奏の技法を差し挟む余地を与えなかったことは、この作品が極度に力を集中して作曲されたことを示している。
==楽器編成と詳細==
 
モーツァルトが1784年以来記している自作目録には、この作品の完成日は1786年3月2日と記されており、ウィーンで完成されたことになっている。第1楽章冒頭の自筆譜の数枚が1784年3月から1785年2月によく使用された五線紙であることや、自筆譜のオーボエのパートがクラリネットに書き換えられていることから、831783~5~1785年の冬のシーズンに作曲に着手した可能性が高い。ウィーン以外の地でも曲の発表を試みていたようで、1786年9月30日付でこの作品の筆写譜を[[ドナウエッシンゲン]]のフュルステンベルク公爵に提供している。
 
* 楽器編成:独奏[[ピアノ]]、[[フルート]]、[[クラリネット]]2、[[ファゴット]]2、[[ホルン]]2、、[[弦楽合奏|弦五部]]
* 自筆譜:パリ国立図書館蔵。侯爵に提供した筆写譜は総譜でベルリン国立図書館蔵。パート譜でウィーン国立図書館に保存されている。
 
* 構成
==楽器編成と詳細==
* 楽器編成:独奏[[ピアノ]]、[[フルート]]、[[クラリネット]]2、[[ファゴット]]2、[[ホルン]]2、、[[弦楽合奏|弦五部]]
:モーツァルトの20番から26番までのピアノ協奏曲の中では、唯一[[トランペット]]と[[ティンパニ]]を欠いている。
 
==楽曲構成==
;第1楽章 アレグロ [[イ長調]] 4分の4[[拍子]] 協奏風[[ソナタ形式]]
型どおりの古典派の協奏ソナタ形式。オーケストラが提示した主題をピアノが繰り返す明快な形式である。展開部では、提示部の主題ではなく新しく導入された主題が使われる。
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;第3楽章 アレグロ・アッサイ イ長調 2分の2拍子 [[ロンド形式]]
ロンド主題が4回現れる間に、魅力的な副主題がいくつも用いられているのがこの楽章の特徴である。ピアノによる軽快な主題で開始され、第1ヴァイオリンで反復され、管弦楽の身による経過部に入る。
 
モーツァルトの20番から26番までのピアノ協奏曲の中では、唯一[[トランペット]]と[[ティンパニ]]を欠いている。
 
==メディア==
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== 関連作品 ==
*本作と[[クラリネット五重奏曲 (モーツァルト)|クラリネット五重奏曲]]K.581、[[クラリネット協奏曲 (モーツァルト)|クラリネット協奏曲]]K.622はいずれもイ長調で書かれ、3曲とも第1楽章の冒頭が似ている。また、本作でもクラリネットが重視されている。
*オーボエをはずしてクラリネットを用いた曲には、[[ピアノ協奏曲第22番 (モーツァルト)|ピアノ協奏曲第22番]]、第23番のほかに、[[交響曲第39番 (モーツァルト)|交響曲第39番]]K.543がある。
 
== 備考 ==