「朝鮮語の文法」の版間の差分

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== 活用 ==
===活用形===
朝鮮語の[[活用]]は用言(動詞・形容詞)と叙述格助詞(名詞述語文を作る[[コピュラ]]。日本の朝鮮語学では指定詞などと呼ばれる)にある。活用によってできた語形を'''活用形'''と呼び、活用形は文が言い切れる形か、そうでないかで'''終結形'''と'''非終結形'''に分けられている(日本の6活用形のような語幹直後の音声的な形態によっては細分されない。文法的意味を表す部分までを含めて語形と考えている)。非終結形は節を構成したり連用接続したりするのであるが、その機能によりさらに'''連結形'''と'''転成形'''に分けられる。連結形は並列節や従属節をつくって主節につなげたり、補助用言に連なる形を分類し、転成形は名詞節や修飾節を作る形を分類している。また活用形は語の意味を表す独立形態素である[[語幹]]と文法的関係を表す拘束形態素の[[語尾]]によって構成されており、語尾は語を完成させる'''語末語尾'''と語末語尾を後続させなければ語を完成できない'''先語末語尾'''に分類される。なお文法的意味や語形態は語尾や補助用言を分類することによって説明される。
 
もし日本の活用形をこのような分類に入れるならば、終止形と命令形は終結形、仮定形は連結形、連体形は転成形、連用形は連結形か転成形に分類されることになるだろう。
 
また学校文法では語幹に{{lang|ko|-다}}{-da}をつけた語形態を、活用形とは区別される'''基本形'''としており、ほとんどの国語辞典がこれに従って項目を立てている。
 
=== 語幹と語尾の結合 ===
語幹の末音が子音であるものと母音であるもので異なった結合の仕方をする。
 
{| class="wikitable"
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!rowspan=3 width=10%|語尾!!colspan=5 width=40%|語幹!!rowspan=3|特徴
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!子音幹!!{{lang|ko|ㄹ}}幹!!colspan=3|母音幹
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! - !!{{lang|ko|ㄹ}}脱落!!-!!同音脱落!!{{lang|ko|으}}脱落
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|rowspan=2|単純結合||{{lang|ko|먹고}}<br>モッコ||{{lang|ko|알고}}<br>アルゴ||{{lang|ko|보고}}<br>ポゴ||{{lang|ko|가고}}<br>カゴ||{{lang|ko|쓰고}}<br>スゴ
|rowspan=4|語尾は母音幹に対してはそのまま結合するが、子音語幹と結合する際にはそのまま結合するものと、媒介に音が挿入(epenthesis)されるものがある。挿入される音はほとんどが母音{{lang|ko|으}}(ウ)と決まっているが、特殊なものでは{{lang|ko|습/ㅂ니다}}の{{lang|ko|스}}ように子音sが挿入されるものもある。また音挿入のない{{lang|ko|ㄴ}}で始まる語尾の前では子音が鼻音化する。なお{{lang|ko|[[ㄹ]]}}語幹の場合はこの規則に当てはまらず、{{lang|ko|[[ㅅ]], [[ㅂ]], [[ㄴ]], 오}}で始まる語尾の場合に{{lang|ko|ㄹ}}が脱落し、その他はそのまま結合して{{lang|ko|으}}も挿入されない。
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|{{lang|ko|먹는}}<br>モンヌン||{{lang|ko|아는}}<br>アヌン||{{lang|ko|보는}}<br>ポヌン||{{lang|ko|가는}}<br>カヌン||{{lang|ko|쓰는}}<br>スヌン
|-
|rowspan=2|音挿入||{{lang|ko|먹}}<span style="color:red">'''{{lang|ko|으}}'''</span>{{lang|ko|며}}<br>モグミョ||{{lang|ko|알며}}<br>アルミョ||{{lang|ko|보며}}<br>ポミョ||{{lang|ko|가며}}<br>カミョ||{{lang|ko|쓰며}}<br>スミョ
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|{{lang|ko|먹}}<span style="color:red">'''{{lang|ko|으}}'''</span>{{lang|ko|니}}<br>モグニ||{{lang|ko|아니}}<br>アニ||{{lang|ko|보니}}<br>ポニ||{{lang|ko|가니}}<br>カニ||{{lang|ko|쓰니}}<br>スニ
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| {{lang|ko|어/아}}交替||{{lang|ko|먹어서}}<br>モゴソ||{{lang|ko|알아서}}<br>アラソ||{{lang|ko|보아서}}<br>ポアソ||{{lang|ko|가서}}<br>カソ||{{lang|ko|써서}}<br>ソソ
|母音{{lang|ko|어}}(オ)か{{lang|ko|아}}(ア)で始まる語尾は、どちらかを選択して結合することになるが、それは語幹の母音によって決まっている。<br>*{{lang|ko|[[ㅏ]]}}(ア)・{{lang|ko|[[ㅗ]]}}(オ)→{{lang|ko|아}}<br>*その他→{{lang|ko|어}}<br>ただし、「{{lang|ko|하다}}」(する)という語においては{{lang|ko|여}}になる。<br><br>またこれらの語尾が母音語幹と結合する際には規則的な脱落現象が起こる。幹母音に同音が後続する場合は同音脱落し({{lang|ko|ㅏ+아→ㅏ, ㅓ+어→ㅓ, ㅕ+어→ㅕ}})、{{lang|ko|으}}である場合は、幹母音の{{lang|ko|으}}が脱落する。また[[口語]]においてはその他の母音でも1音節に縮約される現象が起こる({{lang|ko|ㅣ+어→[[ㅕ]]}}、{{lang|ko|ㅗ+아→[[ㅘ]]}}、{{lang|ko|ㅜ+어→[[ㅝ]]}}、{{lang|ko|[[ㅚ]]+어→[[ㅙ]]}}・{{lang|ko|[[ㅔ]]+어→ㅔ}}、{{lang|ko|[[ㅐ]]+어→ㅐ}})。ちなみに不規則用言の「{{lang|ko|하여}}」は{{lang|ko|해}}と縮約される。
|}
 
=== 先語末語尾 ===
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!語尾!!待遇!!例語!!特徴
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|width=140px|{{lang|ko|-(으)시-}}<br>-si-||主体敬語||{{lang|ko|받으시고, 가신다}}||主体を高める表現する主体敬語の語尾。日本語の[[尊敬語]]「お~になる」「れる・られる」に相当する。
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|{{lang|ko|-ㅂ-}}<br>-p-||ハシプシオ体||{{lang|ko|받습니다, 가십시오}}||聞き手を高める対者敬語(丁寧語)の文体であるハシプシオ体を構成する語尾。日本語の「です・ます」に相当するものを形成する。後続する語尾が固定的で自由度の高くない膠着的先語末語尾であり、終結語尾の一部として分離して扱われない。子音語幹の前では{{lang|ko|먹습니다, 먹습니까, 먹습디다}}のように{{lang|ko|스}}が挿入されるものが多いが、{{lang|ko|먹읍시다}}のように{{lang|ko|으}}が挿入されるのが普通の語尾もある。この語尾は古語では客体敬語(動作を受ける人物を高める謙譲語)を表すものであったが、近代になってその機能を失って聞き手を高める対者敬語となり、もともと対者敬語を表した{{lang|ko|나이다, 나이까, 사이다}}などと結合して現在の形となった。