「確率空間」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし |
|||
1行目:
{{出典の明記|date=2012年4月27日 (金) 08:40 (UTC)}}
'''確率空間'''(かくりつくうかん)とは、現代的な[[確率論]]において
== 概要 ==
例として、[[コインを投げ]]て表が出れば 10 円もらえ、裏が出れば 10 円を失うといった賭けにおいて、表にかけ続けた場合に資金を全て失うまで賭けるという問題を考える。確率論的な議論を行うには根元事象として、すべてのコインの出現パターンを集める必要がある。すなわち
* 表表表表…
9 ⟶ 11行目:
* …
という無限列全てから成る集合が確率空間となる。このような非可算無限集合の各々の元に確率を割り当てるには[[測度論]]の知識が必要となる。このような理由から、現代的な確率論の成立には測度論や[[ルベーグ積分]]が生まれるまで待たなければ成らなかったのである。一方で、最近では測度論の研究はほとんど確率論の研究と同義になっている。
前の例において、表に賭け続けていたのをやめて、どちらに賭けるかをランダムに決めるようにした場合は、上で考えた確率空間ではランダムさが不足している。ランダムさを補うために直積確率空間を作って、より大きな確率空間を元に議論を進めることになる。
15 ⟶ 17行目:
== 定義 ==
[[数学]]、特に
このとき、三つ組 (''S'', '''E''', ''P'') のことを'''確率空間'''と呼ぶ。さらに、集合 ''S'' を'''標本空間'''、''S'' の元を'''[[標本]]'''あるいは'''標本点'''、[[完全加法族]] '''E''' の元を'''事象'''あるいは'''確率事象'''とよぶ。また、'''E''' の元としての ''S'' を'''全事象'''という。
事象 ''E'' に対し、''P'' の ''E'' における値 ''P''(''E'') を、事象 ''E'' の起きる'''
必ずしも ''S'' の部分集合全てが事象とはならないことに注意されたい。
== 例 ==
* 実数からなる[[区間 (数学)|区間]] [0, 1] とそのボレル集合族 '''B''' からなる可測空間 ([0, 1], '''B''') 上でルベーグ測度 μ を考えれば、μ([0, 1]) の値は区間の長さ |[0, 1]| = 1 - 0 = 1 に等しいので、μ は ([0, 1], '''B''') 上の確率測度であり、三つ組 ([0, 1], '''B''', μ) は確率空間になる。
* サイコロ投げの確率空間は次のようなものである: ''S'' = {1, 2, 3, 4, 5, 6}, '''E''' = 2<sup>''S''</sup>, ''P''({''k''}) = 1/6 (''k'' = 1, 2, 3, 4, 5, 6)
==コルモゴロフの公理==
確率測度の定義は、[[アンドレイ・コルモゴロフ|コルモゴロフ]]による次のような確率の公理の形にまとめることが出来る。
* 第一公理: 全ての事象の起きる確率は 0 以上から 1 以下の間である; 0 ≤ ''P''(''E'') ≤ 1 for all ''E'' ∈ '''E''' 。
* 第二公理: 全事象 ''S'' の起きる確率は 1 である; ''P''(''S'') = 1 。
* 第三公理: 可算個の排反事象に関する和の法則が成り立つ; {''E''<sub>''k''</sub>}<sub>''k''∈'''N'''</sub> が、どの二つも互いに共通部分を持たないような '''E''' の元の可算列ならば
*: <math>P\left(\bigcup_{k \in \mathbb{N}} E_k\right)
= \sum_{k \in \mathbb{N}} P(E_k)
</math>。
<!-- == 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}} -->
<!-- == 参考文献 == -->
== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|Probability space}} -->
* [[確率論]]
* [[測度論]]
50 ⟶ 56行目:
* [[ディラックのデルタ関数]](ディラック測度)
<!-- == 外部リンク == -->
{{DEFAULTSORT:かくりつくうかん}}▼
{{
[[Category:確率論]]
[[Category:数学に関する記事]]
|