「姉妹染色分体」の版間の差分

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'''姉妹染色分体(sister chromatids)'''(しまいせんしょくぶんたい:sister chromatids)とは、DNA複製後にできる内容が全く同じ遺伝情報をもつ2本の染色分体のことをいう。複製後の[[染色体]]は一対の姉妹染色分体から構成される、と言い換えることもできる。
 
複製が終わってから分裂期に入るまで、対になった姉妹染色分体をつなぎ止めておく過程を、'''姉妹染色分体の接着'''(sister chromatid cohesion)'''という。この過程は、G2期においては[[相同組換え]]による[[DNA修復]]、また分裂期においては正確な染色体分離を支えるために重要な役割を担っている。
 
高等真核細胞では、[[有糸分裂]]前期から前中期にかけての[[染色体凝縮]]に伴い、染色分体間の接着は部分的に解除される。この際[[セントロメア]]付近の接着は解除を免れ、中期において染色体が[[スピンドル]]と2極性の結合をすることを保証する。後期に入ると接着が完全に解除されることにより、それぞれの染色分体が娘細胞に正確に分配される。接着過程の異常は、未成熟な染色分体の解離や染色体とスピンドルとの不完全な結合を引き起こし、染色体の分離の欠損へと発展する。こうした分離異常はゲノムの不安定性につながり、細胞のガン化の原因ともなりうる。
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[[減数分裂]]期では、[[相同染色体]]の対合・組み換えの後、姉妹染色分体の接着は2段階にわけて解除される。まず腕部における解除が第一分裂(相同染色体の分離)を引き起こし、セントロメアにおける解除が第ニ分裂(姉妹染色分体の分離)を引き起こす。このように、腕部とセントロメアにおける接着の役割分担は、有糸分裂に比べ減数分裂においてより明確である。
 
真核細胞では、'''[[コヒーシン]]'''と呼ばれるタンパク質複合体が姉妹染色分体の接着に中心的な役割を果たしている。
 
最近の研究によれば、接着過程に関与すると思われる遺伝子の異常が'''ヒトの遺伝病'''を引き起こすことが明らかになりつつある。これまでに、コーネリア・デ・ランゲ症候群(Cornelia de Lange syndrome)とロバーツ症候群(Roberts syndrome)の2例が報告されている。いずれも初期発生に欠損を示す疾患であるが、その発症のメカニズムについてはまだよくわかっていない。