「電線類地中化」の版間の差分

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==よくある誤解==
*[[欧米]]は電線類地中化の先進国と言われているが、先に述べたように正確には'''無電柱化率'''である。実際[[大都市]]では地中化されていることも多いが、見えないよう裏庭などに配線されている場合も多い。また、これは必ずしも景観上の配慮だけではない。例えば[[ニューヨーク]]では被覆技術がまだ無く、切れた電線に感電する事故が多かった。[[ロンドン]]では街灯を設置する際、[[ガス灯]]は地中化せねばならず電灯と公平に競争させるため電灯でも地中化することを義務付けたためである。また、郊外では電柱や電線が用いられている。<!-- 以下この箇条全部の出典 --><ref>松原隆一郎『失われた景観—戦後日本が築いたもの』PHP新書、[[2002年]]、186-187項</ref><ref>土岐寛『景観行政とまちづくり』時事通信社、[[2005年]]、186項</ref><!-- 以上出典 -->
*阪神・淡路大震災では多くの電柱が倒壊したが、それらの電柱は電柱自体が揺れで倒壊した物より建物の倒壊など電柱自体以外を原因とする場合が多い([[信号機|信号]]や街灯などは地中化できないので、建物の耐震化なども災害対策上重要である)。震度7地域全体でも、本数上の大半の電柱は無事であった。電柱は安全基準を満たして設置されているので、電柱自体がとかく脆弱であるというのは誤解である。しかし電線類は途中の一カ所でも断線するとバックアップが無い場合、停電することがある。地中化された部分は被害が少なく相対的に地中化は電柱よりも地震に強いということはできるが、復旧工事には時間と費用がかかる。
*幅員が狭く歩道が無い(もしくは狭い)道路の電線類を地中化して邪魔になっている電柱が無くなれば歩行空間が確保され歩きやすくなる([[バリアフリー]])と思われがちであるが、実際にはそうは上手く行かない場合が多い。これは本来は電線類を地中に埋める為にはその為のスペースが(変圧器などの設置スペースも)必要であるが地中には上水道・下水道・ガスなどのスペースが必要であり、幅員の狭い道には余剰スペースが無い場合が多い。また車道に共同溝を作ると、車道に[[蓋]]が設置されることになる。車道に[[マンホール]]などのように蓋があると振動・騒音・事故の原因になるので、近年は車道から減らす方向に進んでいる。このため、電線類を埋めるためには道路を拡張して幅員を広げざるを得ない場合が多い<ref>歴史的観光地など特に景観が重視される地区では、道路を拡張することは[[景観破壊]]や[[文化財]]破壊につながるため、やむをえず道路を拡張せず歩道も設けずに共同溝を作る場合がある。</ref>(道路の拡張には用地の買収、住民・店舗などの移転、建物の取り壊しなどを伴う)。歩行空間確保のためには電線類地中化だけではなくまず道路拡張から始めなければならない場合も多く、相当高額な予算を必要とするので幅員の狭い道路では実現困難である場合もある。また幅員が広くなり広い歩道が確保された場合、電柱はあまり邪魔な存在ではなくなり広い歩行空間確保の目的は道路拡幅時点でかなり達成されてしまう。つまり必ずしも電線類の地中化だけ行えば歩行空間が広がるとは言えず、道路(歩道)幅員が狭い場合は歩行空間確保のためには地中化よりも道路拡張が重要な場合が多い<ref>どの程度の道路(歩道)幅員があれば地中化が可能なのかは場合により異なる。また、狭い幅員のせいで地中化は無理でも、住民の合意により軒下配線などを用い歩行空間を広げることが可能な場合もある。</ref>。