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認知の立法主義には意思主義(主観主義)と事実主義(客観主義)がある<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、174頁</ref>。
* 意思主義(主観主義)
:: 原則として非嫡子関係の発生には父の意思表示たる認知が必要で、それがない場合に父に対して意思表示を命じることができるとする法制
* 事実主義(客観主義)
:: 認知は真実の親子関係について確定する手続であるとして必ずしも父の意思を問題としない法制
なお、日本の民法は両者が混在するとされる<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、174頁</ref>。
 
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=== 任意認知 ===
届出又は[[遺言]]によってする認知を'''任意認知'''という。なお、認知者以外の者の嫡出推定が及ぶ子については、嫡出否認がなされないと認知することができない([[離婚後300日問題]]など参照)。
 
==== 任意認知の方式 ====
* 届出による認知
:: 認知は、[[戸籍法]]の定めるところにより届出によってすることができる([[b:民法第781条|民法781条]]第1項、方式につき[[b:戸籍法第60条|戸籍法60条]]、[[b:戸籍法第61条|61条]])。この場合の法的性質は創設的届出である<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、82頁</ref>。現実に親子として生活をしていても届出がなければ認知としての効力を生じない<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、125頁</ref>。
* 遺言による認知
:: 認知は[[遺言]]によってもすることができる([[b:民法第781条|民法781条]]第2項)。この場合、遺言の効力発生時に発生し、遺言執行者が届出をするため、その法的性質は報告的届出である<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、82頁</ref>。
 
==== 無効行為の転換 ====
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なお、以下の場合には認知に一定の承諾を要する。
* 成年の子の認知
:: 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない([[b:民法第782条|民法782条]])。親が未成年の間には子を放置しておきながら、その子が成年になった後に認知することで自己の利益を図ろうとするのを抑止する趣旨である<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、125頁</ref>。
* 胎児認知
:: 父は胎児も認知することができ、この場合においては母の承諾を得なければならない([[b:民法第783条|民法783条]]第1項)。誤った認知を防止するとともに、母の名誉・利害を考慮した規定である<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、126頁</ref>。
* 死亡した子の認知
:: 認知者は死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができ、この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない([[b:民法第783条|民法783条]]第2項)。なお、直系卑属が複数いる場合の承諾とその効果の及ぶ範囲については学説に対立がある<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、126頁</ref>。
==== 認知の無効・取消し ====
* 認知の無効
:: 真実の親子関係に反する認知は無効であり、子その他の利害関係人はその認知に対して反対の事実を主張することができる([[b:民法第786条|民法786条]])。また、認知者が認知能力を欠いていた場合、認知者が知らないまま第三者が認知の届出をした場合には、たとえ真実の親子関係があったとしても認知は無効である<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、83頁</ref>。認知無効の性質については当然無効説(通説<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、127頁</ref>)と形成無効説(判例‐大判大11・3・27民集1巻137頁)がある。
* 認知の取消し
:: 認知者はその認知を取り消すことができない([[b:民法第785条|民法785条]])。
 
=== 強制認知(裁判認知) ===