「命題集 (ペトルス・ロンバルドゥス)」の版間の差分

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==起源と特性==
『命題集』は、[[ヒエロニムス]]によってラテン語に訳された聖書([[ウルガータ]]聖書)を用いて講義を行った教師たちによる注釈集(聖書に対する説明・解釈)を先駆者とする。注釈は[[文法]]や[[統語]]構造に関するものであるか、もしくは[[教義]]の中で幾分難しい点に関するものであった。しかし、これらの注釈集は包括的なものではなく、むしろ聖書自体の行間や余白に書き込まれる類のものであった。ロンバルドゥスはその上を行き、様々な出典(聖典、[[ヒッポのアウグスティヌス]]その他の[[教父]]など)から記述を集めて、全体として首尾一貫した一つの書物にまとめた。この書物を完成させるため、ロンバルドゥスは2種類の仕事に携わった。まず、当時の教育課程で体系だった神学が構成されていなかったため、集めてきた記述の分類を考案しなければならなかった。次に、集めてきた記述の中での教義上の違いを調停する方法を見つけなければならかった。[[ピエール・アベラール]]の『[[然りと否]]』(羅:Sic et Non)によって仕事のうちの後者に示唆が与えられた。
 
ロンバルドゥスは『命題集』の中で聖書や教父の著書から採ってきた記述を整理し、数多の章に細分した。おそらく1223年から1227年の間に、[[ヘールズのアレクサンデル]]が本書のその数多くの章をいくつかのグループにまとめ、より少ない数の「区分」を立てた。この形で、本書は盛期-後期中世(13、14、15世紀)に神学の教科書として広く採用された。『命題集』に対する注釈書は神学の教師皆が必要としていて、試験制度の一部として組み込まれていた。本書に関する講義を受けた学生は[[神学部]]において講師(羅:baccalaureus)の地位に志願することができた。