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[[画像:Rome-Pantheon-Interieur1.jpg|thumb|[[パンテオン (ローマ)|パンテオン]]はローマン・コンクリートを使用した一例である]]
'''古代コンクリート'''(こだいコンクリート)または'''ローマン・コンクリート'''([[英語|英]]:Roman concrete)とは、[[ローマ帝国]]の時代に使用された[[建築材料]]であり、[[セメント]]および[[ポッツオーリ]]([[イタリア]]・[[ナポリ]]の北にある町)の[[]]と呼ばれる[[火山灰]]を主成分とした。[[現代]]の[[コンクリート]]は、[[カルシウム]]系[[バインダー]]を用いた[[ポルトランドセメント]]であるが、古代コンクリートは[[アルミニウム]]系バインダーを用いた[[ジオポリマー]]([[:en:Geopolymers|Geopolymers]])であり、倍以上の[[強度]]があったとされる。[[ローマ]]の[[コロッセオ]]には古代コンクリートも使用されており、二千年近く経過した現在も存在しているのはそのためとされる。
 
現代のポルトランドセメントは[[アルカリ性]]になる[[化学反応]]によって結合しているため、[[炭酸]]化によって表面から[[中性化]]することでしだいに[[強度]]を失っていく。そのため、[[日本]]のコンクリート[[建造物]][[寿命]]は、およそ50年程度と言われている。これに対して、古代コンクリートは、[[地殻]]中の[[堆積岩]]の生成機構と同じジオポリマー反応によって結合して[[ケイ酸]][[ポリマー]]を形成するため、強度が数千年間保たれている。現代の[[鉄筋コンクリート]]と呼ばれるセメント建築物は、引っ張り力を鉄筋が受け持ち、コンクリートは[[圧縮]]力に耐えればよいが、鉄筋が使われていない古代コンクリートは、引っ張り力もコンクリートに依存するといった根本的な違いがある。鉄筋コンクリートは、引っ張り強度を確保するために使われている鉄筋などの鋼材に[[中性化]]が達すると、[[腐食]]に伴って鉄筋が[[膨張]]し、コンクリートを内側から[[破壊]]する力を発生させて、ひび割れ剥離を引き起こして崩壊へと至る。一方、鉄筋等が使用されていない古代コンクリート建造物には、そのような機序のひび割れや劣化はみられない。
 
また、ジオポリマー(無機質プラスチック)で作られた[[コップ]]は、コンクリートの[[]]に落としても、[[陶器]]のように割れることなく跳ね返るなど、極めて強靭な性質を備えている。
 
ローマ帝国滅亡後使用された痕跡ないとされる。
 
近年、古代コンクリートは徐々に見直されつつあり、[[日本]]でも[[鹿児島大学]]の[[武若耕司]]が[[シラス_(地質)|シラス]]の有効活用のために研究をしている<ref>[http://www.kagoshima-u.ac.jp/exam/demae/kou.html ]</ref>。また、[[山口大学]]工学部[[池田攻]]名誉教授等が、[[地球温暖化]]防止と[[鉱物]]質廃棄物処理に貢献するとして、ジオポリマ-技術の有用性を説いている<ref>[http://www.crc.yamaguchi-u.ac.jp/techno/note/ikedadoc.pdf ]</ref>。
 
強度がく、強度発生までの時間が短いため、[[軍事]]面での応用や研究も行われている{{要出典|date=2012年4月|}}。[[鉄道]]レールの[[枕木]][[下水]]管、[[滑走路]][[]]造りの建築物の補修など、広範囲の用途で試験的に使われ始めている。
 
== ピラミッド コンクリート説 ==
 
[[ウクライナ]]の科学者、Victor Glukhovsky(ビクトール・グルホフスキー)は、古代のセメント製造法を調べ、アルカリ活性剤を加えることを発見したと主張している<ref>[http://heritage-key.com/category/tags/victor-glukhovsky Victor Glukhovsky-Herigate Key]</ref>。Glukhovskyの研究に影響を受けた[[フランス]]人の化学エンジニア[[:en:Joseph Davidovits|Joseph Davidovits]](ジョセフ・ダヴィドヴィッツ)は、古代セメントの結合構造であるジオポリマーの化学的構造を解明したとし、<!--[[1980年代]]に-->[[エジプト]]の[[ピラミッド]]の外殻に使われている[[石灰岩]]の化粧石が、自然石を切り出したものではなく、ジオポリマー石灰石コンクリートの一種である人造石で造られたとする説を発表した<ref>Davidovits, Joseph (1983). Alchemy and the Pyramids. Saint Quentin, France: Geopolymer Institute</ref>。