「メイド」の版間の差分

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== 日本のサブカルチャーにおけるメイド ==
およそ1990年代後半以降、メイドはしばしば[[萌え]]の対象として語られるようにもなった。この場合、メイドとして通常想定されるのは、妙齢の女性または少女であり、その服装は多くの場合典型的な[[エプロンドレス]]、いわゆる[[メイド服]]である。
 
[[漫画]]や[[アニメ]]、[[ゲームソフト]](とりわけ[[アダルトゲーム]](エロゲー))、[[コスプレ]]の題材として取り上げられること多い。また、作品内において、「血縁関係のない女性」を側に置く手法としても用いられている。雇い主を呼ぶときは、大抵男性なら「御主人様」か「旦那様」、女性なら「お嬢様」、性別が関係無い物では「(雇い主の名前)様」である。
 
「主人に対して絶対の忠誠を誓う」等、本来のメイドとはかけ離れた特徴を持っている事が多い。
 
また、近2000代中頃からはメイド萌えの客層向けに特化した、いわゆる「[[コスプレ系飲食店|メイド喫茶]]」が各地にオープンしている。
 
=== メイド萌えブームの源流とその背景 ===
メイド・エプロンドレス姿の使用人や、女中・女給などにフェティシズム的な興味・傾倒を抱く文脈は、いわゆるオタク的な狭義のサブカルチャーの文脈のみにとどまらず、それこそ戦前からより広範なサブカルチャーの一環として存在していた。古くは純文学者の[[太宰治]]がカフェの女給(ウェイトレス)に惹かれ、また[[大日本帝国海軍|海軍]]が士官クラブの女給にメイド様(よう)の[[コスチューム]](エプロンドレス)を採用した例などがある。また2000年代以降のコスプレ喫茶の成立以前より、ウェイトレスの制服にメイド服やそれに近いエプロンドレスなどを採用する喫茶店などの飲食店も古くから存在しており、いわゆるマンガ・アニメおたくの世界に限定した話ではなく、より一般的なコスチュームフェチの一環として、他の典型的なコスチューム(たとえば[[セーラー服]]や[[チャイナドレス]]、袴や[[巫女]]装束など)の間に埋没していた時期が長い
 
このような流れを受けた結果、戦後の漫画やアニメなどにおいても、メイドやメイド服姿は単なる端役としては古くメイド萌えが起こる以前から散見され、1970年代の漫画『[[はいからさんが通る]]』(作者:[[大和和紀]])など、大正年間を舞台としながらも、メイドを含む各種コスチュームが多く見られる好例である。1970年代から90年代まで日曜夜のゴールデンタイムに放送されお茶の間に浸透していたテレビアニメの[[世界名作劇場]]シリーズは、西洋の近世を舞台とした文芸小説を多く原作としており、メイドや執事がたびたび登場していた
古くは純文学者の[[太宰治]]がカフェの女給に惹かれ、また[[大日本帝国海軍|帝国海軍]]が士官クラブの女給にメイド様(よう)の[[コスチューム]]([[エプロンドレス]])を採用した例などがあげられる。また昨今のコスプレ喫茶の成立以前より、ウェイトレスの制服にメイド服やそれに近いエプロンドレスなどを採用する喫茶店などの飲食店も古くから存在しており、いわゆるマンガ・アニメおたくの世界に限定した話ではなく、より一般的なコスチュームフェチの一環として、他の典型的なコスチューム(たとえば[[セーラー服]]や[[チャイナドレス]]、袴や[[巫女]]装束など)の間に埋没していた時期が長い。
 
このような流れを受けた結果、戦後の漫画やアニメなどにおいても、メイドやメイド服姿は単なる端役としては古くから散見され、漫画『[[はいからさんが通る]]』(作者:[[大和和紀]])など、大正年間を舞台としながらも、メイドを含む各種コスチュームが多く見られる好例である。
 
また、現在のメイドブーム成立以前の至近な例としては、漫画「フェザータッチオペレーション」(作者:[[柴田昌弘]])の後書きにおいて、「電子頭脳生肉少女のコスチュームをメイドルックにしようとしたが、あざとすぎるのでやめた」などという趣旨が語られており、メイドブーム成立直前のオタク層におけるメイドの捉え方を理解する意味では貴重な証言といえる。
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[[画像:Japanese style French maid cosplay.jpg|thumb|180px|メイド萌えの[[コスプレ]]]]
 
上記ような背景の中から、メイドを好奇心の主題に据えた作品として、メイドの住まう館もの、メイドものというジャンルでパソコン([[PC-9800シリーズ|PC-98x1]]用の[[アダルトゲーム]]として発売された[[1993年]]に『禁断の血族』、[[1996年]]にKENJI氏の呼びかけで『[[殻の中の小鳥]]』およびその続編『[[雛鳥の囀]]』(メーカー:[[BLACK PACKAGE]]、のちSTUDiO B-ROOM )が登場し発売されたことにより、のちに'''[[萌え属性#メイド萌え|メイド萌え]]'''と呼ばれることになる嗜好への流れが生み出された<ref>『殻の中の〜』以前にも、単に端役としてメイドが登場する、ないしはヒロインがメイドという作品は、他のサブカルチャーと同様に複数存在している。例えば[[1993年]]に発売された『禁断の血族』(メーカー:シーズウェア)は屋敷で奉公する薄幸の少女との恋愛サスペンスで、ヒロインが薄幸なメイドである点も同様である。ただ当作品は業界やオタクたちがメイドブーム萌えというムーブメントを盛り上げる契機とまでは至らなかった。</ref>。当作『雛鳥の囀』は19世紀の英国を舞台に身請けしたメイドを調教して取引先の客人に宛がうという設定の育成ゲームである(ただし、時代・風俗考証については稚拙なものであった)。ヒロイン全員がメイドとして登場する最初の作品とされ、以後アダルトゲーム各社の「メイドもの」作品がこれに続く形で登場した。
 
アダルトゲームにおけるメイドブームの成立初期にメイドを扱ったゲームとしては、他にも[[1998年]]に発売された『[[MAID iN HEAVEN 〜愛という名の欲望〜|MAID iN HEAVEN]]』(メーカー:ストーンヘッズ/[[PIL]])などがあり、当作品の挿入歌である[[コミックソング]]([[電波ソング]]という説もある)、「メイドさんパラパラ」「メイドさんロックンロール」(歌:南ピル子)などの極端な歌詞によっても、のちのゲーム/アニメ/マンガなどのオタク的文脈における「メイド」の方向性が強調・確定されることとなった。
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このメイドブームの隆盛から「本来のメイドを描いた作品」が登場するまでの5年余りという時間差は、メイドという記号を拝借し盛り上げた日本におけるサブカルチャーの中で都合よくデフォルメしたメイド像と、家庭内労働者・使用人としての本来のメイド像とのギャップに対する無関心を象徴する例の1つと言える。<!-- エマが出た当初から高評価を得ていたのもまたオタク層です。オタクが作り上げたという表現は非中立的です。 -->
 
すなわち、現在日本の各種メディア<!-- 前述エマでもそうですが、オタク層ではないでしょう。オタクに限らずその商業メディアに乗った様々な人達であって 。 -->によって受け容れられているメイドとは、本来のメイドとはかけ離れ、コスチュームの一部のみを借用し全く異なる意味や属性を付与されて成立した「似て非なるもの」とうことになる<ref>ヴィクトリア朝時代の風俗については、同時代ファン(日本の例に例えるならば“幕末マニア”などが近いと言えるだろうか)や、同時代を舞台とする[[アーサー・コナン・ドイル|サー・アーサー・コナン・ドイル]]による推理小説『[[シャーロック・ホームズ]]』シリーズ(ただし、ホームズシリーズは同時代に書かれた作品であり、後世の考証によって成立した作品ではない)などのファンが詳細な考証をまとめた資料が国内外を問わず多数出版されており、「エマ」における考証も森個人の手柄というよりはそれらの孫引きに過ぎないといった指摘も存在する{{要出典|date=2008年4月}}。また実際に資料側の誤りを幾つかそのまま作品に登場させてしまっているとする個所も指摘されており{{要出典|date=2008年4月}}、あくまで“オタク的サブカルチャーにおけるメイドもの漫画としては”一線を画した時代考証に留まる。</ref>。
 
さらに、<!--本来の「メイドもの」から[[スピンオフ]]する形で、←製作当初から「メイドもの」を意識していたわけではない。-->コスプレの一貫として当時すでにブームとして成立しつつあった「メイド服」を応用したデザインを制服の一部に取り入れた[[1997年]]のアダルトゲーム『[[Piaキャロットへようこそ!!#Piaキャロットへようこそ!!2|Pia♥キャロットへようこそ!!2]]』([[カクテル・ソフト]]/[[F&C]])によって、のちの[[コスプレ系飲食店|コスプレ喫茶]]の流行へと連なる<!--「コスプレ喫茶」を主題として扱う←該当作および関連シリーズ作品は「制服を選べるシステム」を主眼に置いているだけであり、当初から「コスプレ喫茶」を主題としていたわけではない。…ただし、シリーズ全般で「コスプレ好きの店員」が数名登場するため、全く関係ないとも言えないが。-->作品が成立する。
 
この作品はメイドではなく[[ウェイトレス]]を作品の主題としており、また正確には[[喫茶店]]ではなく架空の[[ファミリーレストラン]]を舞台としているが、メイド服を応用してデザインされた「メイドタイプ」を始め、流行のデザインを取り入れた数種類の制服をユーザーが選択できるシステムを採用しており、のちに営業を開始した初の(オタク向け)コスプレ喫茶は当作品をモチーフとして一定の成功を収めたことから、これに続く形でコスプレ喫茶の一形態としてメイド喫茶が登場し、以後定着することとなる。すなわち、現在のメイド喫茶のルーツとはアダルトゲームをモチーフとしたコスプレ喫茶の一形態だと言える。
 
また、[[1997年]]の『[[To Heart]]』 ([[Leaf]]) に登場する[[人造人間|アンドロイド(ガイノイド)]]「[[To Heart#メイドロボ|HMX-12“マルチ”]]」はメイドロボを自称し(ただしマルチ自身が作品中でメイドとしての役割を果たすことはなく、「メイド服」を着用することもない。)、アダルトゲームにおいて後に続く各種の「メイドロボ」の元祖とする主張が多いが、「マルチ」を元祖とする説には異論も多く、真相は不明瞭である。ただし彼女の登場まで暗めの作風が多かったメイド系の作品が、彼女の登場以後一気に明るいコメディな作風のものが中心になった感はあり、後続のメイド物に多大な影響を与えたと見て良だろうえる
 
これらの背景から、[[1990年代]]後半から急速に進んだ、東京・[[秋葉原]]、名古屋・[[大須]]、大阪・[[日本橋 (大阪市)|日本橋]]における[[アニメ]]関連商品や[[同人誌]]などを専門に扱う店舗(すなわち、“[[おたく|オタク]]”を主たる客層とする店舗)の急速な増加といった動きを、成人向けゲームに端を発するメイドブームが誤った形でリード・後押ししてしまったと指摘する見方もある。