「リーダーズ・ダイジェスト」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
17行目:
リーダーズ・ダイジェストはアメリカ以外に世界100カ国以上で、35カ国語の52の版が発行されており、4000万人の読者がいる。発行部数は1700万部で、有料で流通している世界最大の定期刊行雑誌である。[[点字]]版、デジタル版、音声版、''Reader's Digest Large Print'' という大きな版などもある。版型はアメリカの一般雑誌の半分ほどと小さい。そこで2005年夏、アメリカ版は "America in your pocket"(あなたのポケットの中のアメリカ)というキャッチフレーズを採用。2008年1月には "Life well shared" に変更した。
 
== 歴史 ==
=== 創刊と成長 ===
{{仮リンク|デウィット・ウォレス|en|DeWitt Wallacee}}は、[[第一次世界大戦]]で負った傷から回復する間に、多くの大衆雑誌の記事を要約した内容を含む雑誌のアイデアを思いついた<ref name = "NYT-Segal-2009-12-20"/>。デウィットとカナダ生まれの妻ライラ・ウォレスは、[[1922年]][[2月5日]]にリーダーズ・ダイジェストを創刊。創刊当初から[[保守]]的<ref>{{Cite news |title=Doing the Right thing Reader's Digest's lasting appeal: Condensed and conservative |last=McGuire |first=Patrick A. |date=August 25, 1993 |newspaper=[The Baltimore Sun] |url= http://pqasb.pqarchiver.com/baltsun/access/112486825.html?FMT=ABS |accessdate= 2011-01-09 |archiveurl= http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://articles.baltimoresun.com/1993-08-25/features/1993237139_1_reader-digest-successful-magazine-100-million-readers |archivedate=2010-11-24 |quote=Still, says Mr. Heidenry, the Digest has a blind side. 'It persists in a right wing ideology,' he says, 'and they don't print two sides to a question.'}}</ref>で[[反共主義]]的な観点で政治や社会問題を扱ってきた<ref>''Condensing the Cold War : Reader’s Digest and American Identity'' by Joanne P. Sharp. University of Minnesota Press, 2000.</ref>。ウォレス夫妻の当初の目標は年間5,000ドルの純利益を上げることだった。ウォレスの編集方針は大衆が読みたかったものとうまくマッチしていたため、同誌の発行部数はどんどん伸びていった。1929年には購読者は29万人となり、年間の売り上げは90万ドルに達した。1938年、初の海外版として[[イギリス]]版を創刊し、1部2シリングで販売した。創刊40周年にあたる1962年には、40の海外版が13カ国語で出版され、点字版も出版されており、カナダ、メキシコ、スペイン、スウェーデン、ペルーといった国々では大部数の雑誌に成長し、世界全体で2300万部の発行部数となっていた<ref name = "NYT-Segal-2009-12-20"/>。
 
55行目:
: ほとんど毎号、税制、予算増、[[労働組合]]に、また[[共産主義]]にも長年反対し、[[規制緩和]]の立場である。
 
=== 会社組織と所有権 ===
1990年、リーダーズ・ダイジェストを出版している [[:en:Reader's Digest Association|The Reader's Digest Association, Inc.]] (RDA) が株式を上場した。2007年3月、[[リップルウッド・ホールディングス]]率いる投資家のコンソーシアムが[[レバレッジド・バイアウト]]により28億ドルで同社を買収した(資金のうち22億ドルは債券発行で集めた借金である)<ref name = "NYT-Segal-2009-12-20"/><ref name="NYT-18Jun09">{{Cite news|title=Reader’s Digest Searches for a Contemporary Niche |work=New York Times |date=June 18, 2009 |author=Stephanie Clifford |url=http://www.nytimes.com/2009/06/19/business/media/19readers.html?_r=1 }}</ref>。リップルウッド自身は2億7500万ドルを支出しており、他にチューリッヒの銀行やニューヨークの投資会社が参加している。
 
64行目:
アメリカでは、2010年から年間の号数を12から10に減らしている。また、広告主に提示する保証発行部数を800万部から550万部に削減した。また、内容的にもスピリチュアルな話や軍隊についての話を増やす方針を打ち出している<ref name="NYT-18Jun09"/>。
 
== マーケティング手法への批判 ==
リーダーズ・ダイジェストは、老人や無防備な人々に多額の現金が当たったかのように誤解させる[[ダイレクトメール]]を送り(実際には抽選番号つきの宝くじのようなものを同封する)、しかも周囲の人に教えないようアドバイスして定期購読の契約をさせようとする手法をとってきた。この[[ダイレクトマーケティング]]手法をスウィープステイクス (sweepstakes) と呼ぶ。
 
71行目:
{{仮リンク|イギリス取引基準協会|en|Trading Standards Institute}}はリーダーズ・ダイジェストのスウィープステイクスを批判してきた。申し立てを受けて{{仮リンク|イギリス広告基準局|en|Advertising Standards Authority (United Kingdom)}} (ASA) が2008年に調査を開始した<ref name="Trading Standards Complaint">{{Cite news|url= http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/7441437.stm |title=BBC article about misleading advertising investigation |date=2008-06-07 |accessdate=2010-09-14 | work=BBC News}}</ref>。ASAの調査によって申し立てが事実だと判明し、リーダーズ・ダイジェストの[[ダイレクトメール]]は{{仮リンク|イギリス広告慣行委員会|en|Committee of Advertising Practice}}の規約の3つの条項に違反しており、不適切で(特に老人に)誤解を与えるものだとされた<ref name="ASA">{{Cite web|url= http://www.asa.org.uk/Complaints-and-ASA-action/Adjudications/2008/9/The-Readers-Digest-Association-Ltd/TF_ADJ_44924.aspx |title=UK Advertising Standards Agency adjudication on misleading marketing |date=2008-06-07 |accessdate=2010-09-14}}</ref>。リーダーズ・ダイジェストには、二度と同様のダイレクトメールを送らないよう勧告した。
 
== 海外版 ==
リーダーズ・ダイジェストはアメリカ発祥だが、その海外版によって世界的なベストセラー雑誌となった。全世界の発行部数合計は1700万部で、読者は7000万人を超える。
 
111行目:
* 2008 - [[中華人民共和国]]
 
=== アラビア語版 ===
アラブ世界で最初のリーダーズ・ダイジェストは、1943年9月にエジプトで創刊された<ref>http://www.nagam.org/showthread.php?t=3159 アラビア語版の歴史についてのアラビア語の記事</ref>。結局、廃刊になっている。
 
2度めの試みは1976年のことで、アメリカ人起業家フレデリック・ピッテラが[[レバノンの大統領|レバノン大統領]]スライマーン・フランジーヤの義理の息子でレバノンの外務大臣だった Lucien Dahdahにそのアイデアを売った。Dahdah は Ghassan Al Tueni(レバノンの前アメリカ大使で、ベイルートで新聞社を経営)と共同でアラビア語版リーダーズ・ダイジェストを創刊。カイロで印刷し、''Al- Mukhtar'' という誌名でアラブ世界全体に流通させた。''Al-Mukhtar'' の中身の75%はアメリカ版リーダーズ・ダイジェストと同じだった。[[プリンストン大学]]の東洋言語部門のトップだったフィリップ・ヒッチとアラビア語アドバイザーのチームが、アラブ世界の読者にとってどの記事が興味深いかを助言した。1993年4月、リーダーズ・ダイジェストにより ''Al-Mukhtar'' は廃刊とされた。
 
=== カナダ版 ===
[[カナダ]]版は1948年2月に創刊され、現在では大部分はカナダ独自の内容である。例えば2005年8月号の主な記事はローカルに書かれた記事であり、リーダーズ・ダイジェストのスタイルに合うように編集されたものである。通常は少なくとも一つの主要記事がアメリカ版から採用されている。
 
"Life's Like That" は "Life in These United States" のカナダ版である。他のタイトルはアメリカ版のものをそのまま採用している。最近の "That's Outrageous" という記事ではカナダの Calgary Sun 紙から論説を転載している。
 
=== インド版 ===
[[インド]]版は1954年に創刊された。当時の発行部数は4万部。インド版は長年[[タタ・グループ]]の会社が出版していた<ref name="india" />。2008年現在、Living Media India Ltd. が月刊誌として発行しており<ref name="india" />、発行部数は60万部以上である。インド国内と国際的な記事で構成されている<ref name="india">[http://rd-india.com/newsite/aboutus/aboutus.asp Indian version] of ''Reader's Digest''</ref>。2009年の Indian Readership Survey Round II によれば、インド版リーダーズ・ダイジェストの読者数は394万人で、''India Today'' の562万人に次ぐ第2位だという<ref name="india" />。
 
===日本版===
[[日本]]版は1946年6月に創刊され、1986年2月まで発行されていた。誌名は『リーダーズ ダイジェスト』だが、「リーダイ」の略称で親しまれた。当初はほとんど全体がアメリカ版の翻訳だったが、1970年代中頃から日本語版オリジナルの記事が3割ほどになっていた。通信販売の広告が非常に多い雑誌でもあった。
 
極東支店(日本支社)労働組合結成に当たっては、アメリカ本社より「リーダーズ・ダイジェストは全社員が経営陣であるから、運動員は全て解雇せよ」との指示が有ったが、当時の極東支配人(日本支社長)[[殖栗文夫]]より「日本の労働組合は互助会の様な物なので黙認して欲しい」との返答が有り、アメリカ本社も解雇命令を撤回した。尚、殖栗文夫は日本に於ける広報・宣伝・通販のパイオニアの一人。リーダーズ・ダイジェスト極東支配人、東京YMCA初代名誉理事、キリスト教救癩(「癩」は医学及び福祉界では死語ではない)協会理事長等を歴任。
 
2007年より、'''「リーダーズダイジェスト・ジャパン」'''として[http://readersdigest.co.jp/ 日本語のウェブサイト]{{リンク切れ|date=2012年6月}}を開設、[[セシール]]と提携した[[ダイレクトメール]]による[[日本]]マーケットへの本格的な参入が[[オーストラリア]]の[[シドニー]]を拠点に試みられ、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]などで発行されている[[月刊誌]]ではなく、日常生活のためになる[[百科辞典]]のようなものの販売を行ったが、再度撤退した。
 
====関連文献====
*塩谷紘・著 『「リーダイ」の死 -- 最後の編集長のレクイエム』 [[サイマル出版会]] 1986年7月 ISBN 4-377-30712-6
 
== 脚注・出典 ==
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
{{Refbegin}}
* John Bainbridge, ''Little Wonder. Or, the Reader's Digest and How It Grew,'' New York: Reynal & Hitchcock, 1945.
148行目:
{{Refend}}
 
== 外部リンク ==
* [http://www.rda.com/ Official Website]{{en icon}}
* [http://www.rd.com/ Reader's Digest Magazine]{{en icon}}