「遺失物」の版間の差分

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=== 警察署長等の措置 ===
警察署長は、遺失者が判明したときは提出を受けた物件をその者に返還するが、提出を受けた物件の遺失者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、物件の種類及び特徴、拾得日時、場所を[[公告]]しなければならない。 公告は、基本的に3月(埋蔵物については6月)当該警察署の掲示板で行われる(その間に遺失者が出た場合は返還される)(遺失物法7条1項、2項、4項)。遺失物の公告期間については2006年の法改正により6月から3月に短縮されている(埋蔵物については6月のままとなっている)。
 
なお、遺失物法では物件の管理に負担がかかることを考慮し、警察署長は、提出を受けた物件が滅失・毀損するおそれがあり、または保管に過大な費用・手数を要するときは、政令で定めるところにより、これを売却することができるとしている(遺失物法9条1項)。また、傘、衣類、自転車などの政令で定める[[日用品]]については2週間以内に売却しうるとしている(遺失物法第9条2項)。この場合、物件の保管、返還及び帰属については、売却による代金から売却に要した費用を控除した残額が当該物件とみなされる(遺失物法第9条4項)。
 
=== 物件の所有権の帰属 ===
遺失物は、公告をした後3月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する([[民法 (日本)|民法]]240条)。これを'''遺失物拾得'''による[[原始取得]]という。ただし、公告期間の満了により遺失物の所有権を取得することとなった者は、所有権を取得した日から2月以内に物件を警察署長等から引き取らないときは所有権を失う(遺失物法36条)。また、禁制品や個人情報に関わる物件などについては拾得者による所有権の取得が認められていない(遺失物法35条)。
 
なお、遺失物については、拾得者の側から、あらかじめ警察署長等に申告することによって物件に関する一切の権利を放棄することができる(遺失物法30条)。
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また、物件(誤って占有した他人の物を除く)の返還を受ける遺失者は、当該物件の[[価格]](遺失物法9条1項もしくは2項または20条1項もしくは2項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の5%~20%に相当する額の報労金を拾得者が請求した場合は、拾得者に支払わなければならない(遺失物法28条1項)。このほか、遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、1項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ1項に規定する額の2分の1の額の報労金を支払わなければならない(遺失物法28条2項)。ただし、[[国]]、[[地方公共団体]]、[[独立行政法人]]、[[地方独立行政法人]]はこの報労金の請求はできないこととなっている(遺失物法28条3項)。
 
以上の費用請求権や報労金請求権は、物件が遺失者に返還された後1月を経過したときに消滅する(遺失物法29条)。したがって、拾得者による報労金の請求は、物件が遺失者に返還された後1月が経過するまでになされている必要がある。
 
なお、物件に関する一切の権利を放棄した拾得者や遺失者は、費用償還義務や報労金支払義務を免れる(遺失物法30条・31条・32条)。