「浪花少年探偵団」の版間の差分

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大阪・大路小学校の女教師・'''竹内しのぶ'''が、自らが担任を務める6年5組の'''田中鉄平'''と'''原田郁夫'''、大阪府警捜査一課の'''新藤'''・'''漆原'''のコンビを巻き込みながらも、身の回りで起きた事件を解決していく姿を描く。『しのぶセンセにさよなら』では前作の2年後が舞台となり、第一作の終盤でしのぶは兵庫県の大学で内地留学する決意をしたため、教師の職から離れた身となり、鉄平と原田も中学生となっている。
 
『小説現代』で連作するに当たって作ろうとしたキャラクターが思い浮かばなかったため、ネタに困らないという考えから、著者が2番目の姉が教師をしていたことを参考にしてしのぶのキャラクターが生まれたという背景がある。作中の世界観は著者が子供の頃にた風景などを思い出しながら描いており、第一作の舞台となる大路小学校は著者の出身校である小路小学校を一文字変えたものである。なお、第一作収録の「しのぶセンセの推理」は編集部に渡した時点のタイトルは「たこやき食べたら」だった。『しのぶセンセにさよなら』は第一作の単行本が好評であり、編集部からの評判も良くリクエストされたため再び連載されることとなったが、あとがきで「作品の世界に留まっていられなくなった」と語るように、書きたいものが変わっていったため書くのはしんどく、呑気な世界は書けなくなったという著者自身の心境の変化を理由にシリーズは『しのぶセンセにさよなら』を以て完結となった。著者は『しのぶセンセにさよなら』に対して「人間は変化するし書く物も変わり、書けなくなるものもあるということに気付かされた」と述べている。また[[宮部みゆき]]は第一作の文庫版解説で自身が熱狂的ファンと公言する漫画『[[じゃりン子チエ]]』の主人公・チエが大人になった時の姿にしのぶを連想させるとして、本作のシリーズを愛好していると語っている。
 
本作を原作とするテレビドラマが、[[2000年]]、[[山田まりや]]主演で[[NHK教育テレビジョン|NHK教育テレビ]]の[[ドラマ愛の詩]]枠で放送された。[[2012年]]7月からは[[多部未華子]]主演により[[TBSテレビ|TBS]]系列の[[パナソニック ドラマシアター]]枠で放送。また、[[オキモト・シュウ|沖本秀子]]により漫画化もされた。
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; 竹内 しのぶ
: 生野区・大路小学校教師、6年5組担任。25歳(初登場時)、独身。短大を卒業後に子供の頃の夢だった教師の道に進み、大路小学校に赴任した。家族構成は母・妙子と、家電メーカー工場長の父・茂三とOLの妹がいる。
: 一見すると丸顔の美人なのだが、そんな外見とは裏腹に大阪の下町出身の気質故か、負けん気が強い上に口も手も早く大雑把な性格。好奇心旺盛で尚且なおかつ目の前の厄介事を放っておけない性分から、幾度か事件に首を突っ込み、持ち前の推理力・観察力と女性ならではの視点によって事件の謎を明らかにし、事件解決に一役買っている。足が速く、[[ソフトボール]]でエースの4番だった過去があり、実業団から誘いを受けたこともある。食べ物に目が無く、それで釣られてしまう一面もある。
: 教育についてもっと勉強したいという想いから、大路小学校で卒業式を迎える春から内地留学のために2年間兵庫県の大学に通う日々を送り、新藤・漆崎とも疎遠になっていたが、ある事件以降再び交流を持つようになる。そして内地留学を終えたあとは、阿倍野の文福小学校で教師に復帰した。
; 田中 鉄平
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: 大阪府捜査一課刑事。新藤の相棒的存在でよくコンビを組んで捜査をする。鉄平らからは万年ヒラと揶揄されているが、刑事としての洞察力は高く、しのぶとは違う立場で事件の真相に辿り着くこともしばしば。
; 本間 義彦
: 豊中市にある産業機械の大手メーカーの子会社「K工業」の幹部候補のエリート。初登場時は28歳。東京の営業所にいたため標準語。しのぶとお見合いをし、その最中に起きた事件を境にしのぶに惹かれ、以降新藤とは恋敵として顔を合わせる度に小競り合いを繰り広げる。気障だがエリートであることを鼻に掛けず、下請けのことも思いやれる度量を持つ。経済や世界情勢に明るいが、巨人ファンでもあるためしのぶと共通の話題が無いのが難点(ただ、しのぶは本間と結婚したら互いの足りない部分を補えると評している)。
 
=== その他 ===
; 竹内 妙子
: しのぶの母親。愛想がいおしゃべり好きな性格。新藤とも仲良くなっており、彼のしのぶへの気持ちを知った上で後押しする。
; 畑中 弘
: 大路小学校6年5組の生徒→中学2年生。鉄平・原田とつるむことが多い。
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; しのぶセンセの推理
: 初出:『小説現代臨時増刊』1986年8月
: 大阪の大路小学校の女教師・竹内しのぶが請け負う6年3組の生徒の福島の父親・文男が殺害された。その前夜、文男が妻・雪江の制止を振り切り、金を持って去った姿が確認されたが、捜査を担当する大阪府警捜査一課の新藤と漆崎はそれ以上の手がかりを掴めずにいた。そんな中、クラスの原田と畑中の取っ組み合いの喧嘩を仲裁した際、福島が父親のことを死ねばいいと語っていたと聞いたしのぶはても立ってもいられず、福島の元に駆けつけ事件に首を突っ込んでいく。やがてしのぶは生徒の作文によって事件の真相に気付く。事件の鍵を握っていたのはたこ焼きだった。
:*福島 友宏…大路小学校6年5組の生徒。軽トラの屋台でたこ焼き屋を経営していた父親の手伝いをしていたことがある。
:*福島 雪江…友宏の母親。「株式会社チルド」という玩具メーカーの堺工場に勤務しており、そこで小型巻線機でモーターのミニチュアを作る作業に従事していた。2年ほどパートだったが、4月ほどから正社員となった。
:*福島 文男…友宏の父親。職を無くしてから酒とギャンブルに溺れ、家庭内暴力を振るうようになっていた。「N建設」の社長とは幼馴染で、その社長から会社のトラックを借りていた。
:*山田 徳子…福島家の住むアパートの住人で50過ぎの女性。文男がトラックに乗ってアパートから去った場面を目撃した。おしゃべり好きで話がオーバー気味。
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; しのぶセンセと家なき子
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:*梶野 真知子…中学生。2年前まで大路小学校の生徒で、担任ではないしのぶとも親しかった。
:*荒川 利夫…殺された男性。半年前に現在の住所に引っ越してきたが区役所に転居届を出していない。以前はトラックの運転手だったが、飲酒運転で事故を起こしてクビになり、現在は無職。
:*梶野 政司…真知子の父親で長屋の主人。50過ぎの腹がでっぷり出ている。娘には血を見ただけで気を失うと言われるほど気の弱い人間と評される。
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; しのぶセンセのお見合い
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:*田辺…「K工業」の工場長。専務の参謀役で腹心の部下でもある。
:*戸村…「K工業」の下請け工場の社長。本間には世話になったこともあり、親交がある。
:*大原 ゆり子…「K工業」経理部職員。武夫の経費の使い込みを手伝い自身も5%の分け前をもらっていた。[[千里ニュータウン]]の高層マンションに住んでおり、プレイヤーという煙草を吸っている。
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; しのぶセンセとクリスマス
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:*朝倉 奈々…鉄平と同じ「緑山ハイツ」に住む大路小学校の5年生。鉄平に好意を持ち、もうすぐ卒業する鉄平にマフラーをプレゼントする。ためらいや考える最中に地面をつま先で蹴るのが癖。
:*朝倉 町子…奈々の母親。布団を干している最中に転落した。その際、落ちるのとは別の言い知れぬ恐怖を感じていたという。
:*宮本 清子…20歳。遺体の女性。父親は5年前に死去、雑貨屋を経営する母・和美と二人の妹がいる。勉強は振るわなかったが、それでも府立高校に進学し、高校を卒業してから実家を出て守口市の電子部品メーカーに勤めていた。中田のかつての教え子でもった。
:*飯塚…清子が配属しているパワー・トランジスタ製造ラインの班長。新藤・漆原の聞き込みに応じる。背は低く、働き者という雰囲気がある。
 
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: 鉄平の頼みで商店街の草野球にピンチヒッターとして参加したしのぶ。その後、鉄平と共に相手側の「西丸商店」会長・西丸仙兵衛宅の豪邸に招かれたしのぶは、その勝気さを仙兵衛に買われ、社長秘書にスカウトされる。しのぶがすぐさま席を立とうとしたその時、販売部長の米岡が豪邸近くの会社から転落死した。しかし米岡の死は自殺か他殺、どちらかの見解に疑問をつけるように不可解だった。一度は新藤・漆原との関わりを避けようとしたしのぶも事件に関わり、やがて「西丸商店」の社員達が抱えていた事情にも光を当てていく。
:*西丸 仙兵衛…制服や作業着を製造直売している「西丸商店」会長。社長の座を息子に譲り、大友福子という女性をお手伝いにし、隠居生活を送っている。安物をさも高級品のよう着飾る筋金入りのドケチで押しの強い性格。
:*西丸 昭一…仙兵衛の息子で「西丸商店」社長。標準語。仙兵衛とは違い異なり、ドライな性格で会社を合理的な方針で経営している。
:*米岡 伸治…「西丸商店」販売部長。目立たない、気の弱いと評され、人の恨みを買うような人物ではないことが窺える。高所恐怖症。
:*富井…「西丸商店」社員。仙兵衛の腹心の部下で、よく彼の周りに付き従っている。
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: 初出:『小説現代』1990年11月号
: 自分が車を知って交通事故から子供達を守ると高い決意を持って車の免許を取得するため自動車学校に通うしのぶ。そんな中、しのぶは原田の母・日出子の誘いで、教官の若本と共に交通量の少ない早朝の秘密特訓に参加する。だが特訓が終わって帰ると、部屋の前に犬の糞が放置された日が続き、しのぶが犯人を捕まえようと特訓を休んだその日、日出子が事故に遭い、若本が意識不明の重体に陥ってしまう。日出子の乗る車に衝突した車が逃げ出し、日出子の過失が大きくなる可能性が強める中、話を聞いた新藤の一言から犬の糞の件を含め事故が仕組まれたものだという疑惑が浮上する。事件の真相に近づいた時、仮免中のしのぶの嵐のドライビングテクが炸裂する。
:*原田 日出子…原田の母親。しのぶと同じく免許取得のため「大阪グリーン自動車教習所」に通っている。二つのことを同時に出来ないほど不器用で、より多く時間外講習を受けている。
:*若本…「大阪グリーン自動車教習所」教官。担当の車番号は32番。三十代半ばの男前。元レーサー志望で、身寄りが無い。日出子が配車手続きの係と親交を持ったため、3回も日出子の講習を担当している。
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; しのぶセンセは入院中
: 初出:『小説現代』1992年6月号別冊
: 畑中からお好み焼きを奢ってもらった鉄平と原田。畑中の羽振りの良さに何か違和感を覚えた2人はしのぶに相談しようとするが、当のしのぶは盲腸で入院していた。そんな中、しのぶと相席になった老婆・藤野の夫が泥棒に襲われる事件が発生。手口はプロの者ではなく、犯人が金目の物もない藤野の家に入った理由が分からない上に、今度はしのぶの病室に侵入者が出現し…。
:*藤野…[[帯状疱疹|帯状ヘルペス]]で入院したしている老婆。煙草屋をしていて近所の鉄平とは顔見知り。偏屈な性格で、その上金に関してずる賢い。
:*藤野 与平…藤野の夫。
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:*上原 美奈子…文福小学校4年2組生徒。生意気かつませた性格だが、頭も良く学内の情報通でもある。クラスで最もしのぶの言うことを素直に聞かないものの、最初にしのぶと親しくなった。ファッションや下世話に目が無い。
:*渋谷 淳一…文福小学校4年2組生徒。運動音痴な上に何をするにも鈍臭く、クラスからは「ドン渋」の渾名で呼ばれている。
:*芹沢 勤…文福小学校4年2組生徒。運動神経抜群で容姿もい。山下を敬慕していたが、それゆえに山下が辞める要因となった渋谷に陰湿な嫌がらせをしている。そのため、しのぶには中々心を開かない。
:*山下 博夫…文福小学校4年2組が3年生だった時の担任教師。肩幅が広くがっちりとしたスポーツマン然とした体型。教師としても非の打ちどころのない人物で、中学の頃からスポーツに打ち込みインターハイで3位を取り新聞に載ったこともある。
:*芹沢 郁子…生命保険会社の外回り。家で仕事をするデザイナーの夫が独立したのに伴い、2年前に現住所に引っ越してきた。
:*渋谷の母…PTAの役員。叔父が市会議員で発言力もあり、息子が怪我をした責任を山下に追求し転勤に追いやった。藤子不二雄の漫画にいそうな典型的な教育ママ
 
== テレビドラマ ==
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| 特記事項 = 初回は2時間スペシャル(19:00 - 20:54)。
}}
[[TBSテレビ|TBS]]系列の[[パナソニック ドラマシアター]]枠にて[[2012年]][[7月2日]]から[[2012年]][[9月17日]]まで毎週月曜の20:00 - 20:54に放送。初回は1時間拡大の19:00 - 20:54。主演の[[多部未華子]]はTBSの連続ドラマ初主演であり、初の教師役を演じる。さらに、「ナショナル劇場」が[[パナソニックグループ|松下グループ]]の社名変更に伴う「パナソニック ドラマシアター」に枠名改称後、初の女性主演作品にあたる。撮影は放送開始前の2012年1月から4月中旬まで行われた。パナソニックドラマシアター枠の現代劇では初となる[[解説放送]](ステレオ2)が行われている。
 
キャッチコピーは「'''センセは、名探偵やで。'''」「'''センセは、迷探偵やろ。'''」
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:大路小学校音楽教師。新しく赴任してきたしのぶが学校内で注目されるようになり、ライバルとして敵意を露わにする。
;浪花少年探偵団
:友宏の父親・文男が殺害された事件を機に結成する。修は郁夫曰くによると年齢制限のため補欠扱い。
:;原田 郁夫 - [[前田航基]]([[まえだまえだ]])
::6年2組。修という弟がおり、両親が[[串カツ]]屋を営み本編の主要人物として登場するなど大幅に設定が加えられている<ref>第1話にて郁夫と修の兄弟が『はらだはらだ』を名乗って漫才をするシーンがある。</ref>。