「東京大学大学院経済学研究科・経済学部」の版間の差分

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経済学部は、法科大学([[法学部]])から経済学科([[1908年]]政治学科より分離新設)、商業学科([[1909年]]設置)の2学科を分離して[[1919年]]に設置された。商業学科は[[1962年]]に経営学科に改称された。[[2007年]]度には、[[中央大学]]、[[武蔵大学]]に次いで日本で3番目の[[金融学科]]が新設された(実際の学生受け入れは[[2009年]]度進学者から)。
 
大学院に関しては、[[1953年]]に新制大学院として社会科学研究科が設置され、その中に経済学に関する専門課程が設置された。[[1963年]]に社会科学研究科の分割が行われ[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|法学政治学研究科]]、[[東京大学大学院人文社会系研究科・文学部|社会学研究科]]が設置されるとともに、経済学部の上に位置する大学院として経済学研究科が設置された。その後、[[1996年]]に[[大学院重点化]]が完了した(経済理論専攻、現代経済専攻、企業・市場専攻、経済史専攻の4専攻)。[[2005年]]には経済学部金融学科設置に先駆けて、同研究科附属施設である金融教育研究センターと共に金融システム専攻が設置された。また、企業・市場専攻は2007年に経営専攻に改称された。
 
== 教育と研究 ==
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* 金融システム専攻
*: 金融経済学講座、金融政策講座、会計・財務講座
 
==== 修士課程・博士課程 ====
修士・博士課程では上記の5専攻のいずれかに学生が所属する。修士課程の場合、'''指導教員'''の体制は実質的に2年次から開始する。これは、多くの教員(特に[[近代経済学]]の枠組みを採用している教員)が「'''コースワーク'''」と呼ばれる経済学の基礎を叩き込む科目群の修得を指導の「要件」としているからであり、通常、1年次は個別の専門分野の前提として「[[ミクロ経済学]]」「[[マクロ経済学]]」「[[計量経済学|基礎計量経済]]」の3科目の修得に専念させられることになる。これらの科目はそれぞれ4単位、計12単位となっており、学生にとって大きな負担となる。
中には、これら'''の全ての科目を「B」以上で合格'''しないと指導教員になってもらえなかったり、さらには'''「全てA」で合格'''していることを要求する教員もおり、'''実質的には修士課程ではコースワークの修得が最優先させられる'''。
 
博士課程は基本的には外部者には門戸が開かれていない。特筆すべきは、東京大学内部であっても他研究科の出身者はほぼ合格する見込みがない。これは、コースワークが原因として挙げられる。優秀な成績(博士課程進学の場合は全てAで修得していること)がコースワークで挙げられていないものや、そもそも未修得者には博士課程進学が認められていないからである。
 
経済学研究科の教育は、経済学研究科のほかに東京大学内部の他の部局との連携によって行われていることも特筆に価する。特に、他部局として、
* [[東京大学大学院工学系研究科|工学系研究科(工学部)]]
* [[東京大学大学院総合文化研究科|総合文化研究科(教養学部)]]
* [[東京大学東洋文化研究所|東洋文化研究所]]
* [[東京大学社会科学研究所|社会科学研究所]]
などが経済学研究科と緊密な連携関係を持っている。工学系研究科の教員は主として[[統計学|数理統計学]]・[[計量経済学]]などに関連して経済理論専攻において、総合文化研究科の教員は幅広く[[国際経済学]]・[[開発経済学]]・数理統計学・現代経済論・[[経済人類学]]・[[経営学]]などに関連して現代経済専攻、経済理論専攻、経営専攻においてそれぞれ兼任教員がいる。東洋文化研究所と社会科学研究所は附属研究所であるが、前者の教員は経済発展論や[[地域研究]]・[[経済史|アジア経済史]]などに関連して現代経済専攻と経済史専攻において、後者の教員は幅広く[[労働経済学]]・アジア経済論・中国経済論・[[社会政策]]・経済史などに関連して経済理論専攻、現代経済専攻、経営専攻、経済史専攻においてそれぞれ兼任教員がいる。
さらに数は少ないが、
* [[東京大学大学院情報理工学系研究科|情報理工学系研究科]]
* [[東京大学大学院新領域創成科学研究科|新領域創成科学研究科]]
* [[東京大学空間情報科学研究センター]]
の教員も数理面を中心に経済学研究科の教育を担当している。
このように経済学研究科の研究・教育は、経済学を中心とする社会科学と、これらの実証に欠かせない数学・統計科学、さらには歴史や政策に関連して、東京大学内部の多くの部局が全額的に関与・運営している。
対照的に、学部教育では原則として経済学部が単独となって研究・教育を行っている。
 
==== 附属施設 ====
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=== 教育 ===
==== 経済学部 ====
東京大学経済学部では各学科間の垣根が低く、卒業要件単位である選択必修科目の単位数も少なく他学部聴講の単位も多く認められるため、学生は柔軟な履修が可能となっている。なお4年次進級時に自らが希望をすれば許可を受けた上で転学科をすることが可能である。また、卒業論文の提出は卒業に当たって必修ではなく任意となっている。
 
また経済学部の大きな売りは少人数制の演習([[ゼミナール|ゼミ]])であり、学生の大半は何らかの通年のゼミか学期ごとの少人数講義に所属しているため、[[東京大学本郷地区キャンパス#本郷キャンパス|本郷]]でのアカデミックな生活においてはゼミが中心となる生活を送る学生は多い。夏にはゼミ対抗の[[フットサル]]大会が開催される。
 
===== 経営特修コース =====
[[2001年]]度より、3年次までに[[経営学|経営]]関係のコア科目を始め卒業要件単位をほぼ取り終えた優秀な経済学部生を対象に「経営特修コース」が開設されている。このプログラムでは実質的に学部4年生から大学院教育をスタートさせることで、大学院修士課程を1年で修了させ21世紀型の人材である「フィールド・ベース・プロフェッショナル (FBP: Field-Based Professional)」を育成することを目的としている<ref>経営特修コースhttp://www2.e.u-tokyo.ac.jp/~tokushu/</ref>。
 
===== 進学振分け =====
経済学部の[[東京大学大学院総合文化研究科・教養学部#進学振分け|進学振分け]]は3学科を区別せずに行い、後期課程に進学する前に各自の希望で3学科に分かれる<ref>東京大学教養学部作成 平成21年度進学振分けの手引き http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kyomu/info/zenki/shinhuri/H21shinfuri/H21shinhuritebiki.pdf</ref>。学部の定員は340人であるが、各学科の定員は決まっていないため、希望どおりの学科に進学できる(ただし正式には、2006年度以前は「経済学科800人、経営学科560人」、2007年度は「経済学科770人、経営学科520人、金融学科70人」、2008年度は「経済学科740人、経営学科480人、金融学科140人」と定められている<ref>東京大学 年度計画 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/b05_j.html の「別表(学科、専攻等の名称と学生収容定員)」による。</ref>)。
 
同学部の進学振分けのもう一つの特徴として、全定員の2割近くの60人を[[東京大学大学院総合文化研究科・教養学部#進学振分け|全科類進学枠]]で募集することが挙げられる(その他にも理科各類からの指定科類進学枠が10人ある)。これは[[経済学]]が[[数学]]的能力を必要とする分野を多く含むため、文科だけでなく理科の学生も多く受け入れたいという要望が強いからである<ref>UT-Life 経済学部長インタビュー http://www.ut-life.net/study/faculty/econ/</ref><ref>進学情報センターニュース 第46号 http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/agc/news/46/baba-keizaigakubu.html</ref>。実際、初めて全科類進学枠が導入された2008年度進学者のうち、理科からの進学者が27人(指定科類枠10人・全科類枠17人)、全科類枠による文科三類からの進学者が43人であり、全科類枠による文科二類からの進学者は0人であった。
 
==== 経済学研究科 ====
士・博士課程では上記の5専攻のいずれかに学生が所属する。修士課程の場合、'''指導教員'''の体制は実質的に2年次から開始する。これは、多くの教員(特に[[近代経済学]]の枠組みを採用している教員)が「'''コースワーク'''」と呼ばれる経済学の基礎を叩き込む科目群の修得を指導の「要件」としているからであり、通常、1年次は個別の専門分野の前提として「[[ミクロ経済学]]」「[[マクロ経済学]]」「[[計量経済学|基礎計量経済]]」の3科目の修得に専念させられることになる。これらの科目はそれぞれ4単位、計12単位となっており、学生にとって大きな負担となる。中には、これら'''の全ての科目を「B」以上で合格'''しないと指導教員になってもらえなかったり、さらには'''「全てA」で合格'''していることを要求する教員もおり、'''実質的には修士課程ではコースワークの修得が最優先させられる'''
 
博士課程は基本的には外部者には門戸が開かれていない。特筆すべきは、東京大学内部であっても他研究科の出身者はほぼ合格する見込みがない。これは、コースワークが原因として挙げられる。優秀な成績(博士課程進学の場合は全てAで修得していること)がコースワークで挙げられていないものや、そもそも未修得者には博士課程進学が認められていないからである。
 
経済学研究科の教育は、経済学研究科のほかに東京大学内部の他の部局との連携によって行われていることも特筆に価する。特に、他部局として、
* [[東京大学大学院工学系研究科|工学系研究科(工学部)]]
* [[東京大学大学院総合文化研究科|総合文化研究科(教養学部)]]
* [[東京大学東洋文化研究所|東洋文化研究所]]
* [[東京大学社会科学研究所|社会科学研究所]]
などが経済学研究科と緊密な連携関係を持っている。工学系研究科の教員は主として[[統計学|数理統計学]]・[[計量経済学]]などに関連して経済理論専攻において、総合文化研究科の教員は幅広く[[国際経済学]]・[[開発経済学]]・数理統計学・現代経済論・[[経済人類学]]・[[経営学]]などに関連して現代経済専攻、経済理論専攻、経営専攻においてそれぞれ兼任教員がいる。東洋文化研究所と社会科学研究所は附研究所であるが、前者の教員は経済発展論や[[地域研究]]・[[経済史|アジア経済史]]などに関連して現代経済専攻と経済史専攻において、後者の教員は幅広く[[労働経済学]]・アジア経済論・中国経済論・[[社会政策]]・経済史などに関連して経済理論専攻、現代経済専攻、経営専攻、経済史専攻においてそれぞれ兼任教員がいる。
 
さらに数は少ないが、
* [[東京大学大学院情報理工学系研究科|情報理工学系研究科]]
* [[東京大学大学院新領域創成科学研究科|新領域創成科学研究科]]
* [[東京大学空間情報科学研究センター|空間情報科学研究センター]]
の教員も数理面を中心に経済学研究科の教育を担当している。
 
このように経済学研究科の研究・教育は、経済学を中心とする社会科学と、これらの実証に欠かせない数学・統計科学、さらには歴史や政策に関連して、東京大学内部の多くの部局が全額的に関与・運営している(対照的に、学部教育では原則として経済学部が単独となって研究・教育を行っている)
 
== 同窓会 ==
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* [[東京大学]] - [[経済学部]] - [[経済学研究科]]
** [[東京大学大学院公共政策学連携研究部・公共政策学教育部|公共政策学連携研究部・公共政策学教育部]] - 経済学研究科が運営に協力している。
** [[東京大学大学院工学系研究科・工学部|工学系研究科・工学部]] - 主に経済理論専攻統計学コースを兼担。
** [[東京大学大学院総合文化研究科・教養学部|総合文化研究科・教養学部]] - 主に経済理論専攻・現代経済専攻を兼担。
** [[東京大学東洋文化研究所|東洋文化研究所]] - 主に現代経済専攻・経済史専攻を兼担。
** [[東京大学社会科学研究所|社会科学研究所]] - 主に経済理論専攻・現代経済専攻・経営専攻・経済史専攻を兼担。