「古典園芸植物」の版間の差分

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しまあじ (会話 | 投稿記録)
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==特徴==
* 日本原産の植物が多い
*: もともと日本は自生植物の種類が多いこともあるが、ハナショウブ、サクラソウ、フクジュソウ、サクラ、ツバキ、カエデ、オモト、イワヒバ、マンリョウなど、多くの国産植物が育種された。ただし中国蘭やキク、アサガオ、ウメ、シャクヤク、ハボタンのような外来植物もある。また中国の鑑賞花卉が、ほとんどすべて薬用、食用などの実用植物起源であるのに対し、日本では実用起源ではないもの、つまり純粋に観賞用起源の種類も多い。
* 葉の変化を追求する植物が非常に多い
 
*: カエデ、オモト、イワヒバ、マンリョウ、カラタチバナ、マツバラン、サイシン、シノブ、ナンテンなど、葉や茎といった花以外の部分の変化を楽しむ植物が非常に発達した。<!--蘭も中国では花を観賞するものであったのが、日本では葉の変化を重視する鑑賞法に変化している。
*葉の変化を追求する植物が非常に多い
: カエデ、オモト、イワヒバ、マンリョウ、カラタチバナ、マツバラン、サイシン、シノブ、ナンテンなど、葉や茎といった花以外の部分の変化を楽しむ植物が非常に発達した。<!--蘭も中国では花を観賞するものであったのが、日本では葉の変化を重視する鑑賞法に変化している。
恵蘭もそう?柄物だとばかり思ってましたが-->富貴蘭にいたっては、気根の先端の根冠部分の色彩の変異すらもが鑑賞対象となっている。江戸時代後期にはそれらの専門書「[[草木錦葉集]]」、「[[草木奇品家雅見]]」も発行された。一種の[[観葉植物]]であり、これはそれまでの中国の園芸ではあまり見られないことで、またヨーロッパの観葉植物の発達よりも早く、日本独自の園芸現象である。葉の変異形質(芸)を説明するための用語も非常に発達している。
* 花の大きさや花色の多彩さよりも、花型の変化を求める。
 
*: 西欧や明治以降の日本の園芸植物に比べて非常に顕著な傾向で、変化アサガオはその代表とも言える(ただしアサガオは花色の幅も非常に広い)。キクやサクラソウ、ナデシコなどでも同様の傾向が見られる。大輪を強く求めるようになるのは明治以降であり、江戸時代ではいまだ地域的な特徴にとどまっている。またボタンやシャクヤクでは、中国の豊満な[[八重咲き]]中心からすっきりとした一重咲き中心へと変化し、独自のスタイルが作られた。[[東洋蘭]]では奇形の花形を持つ品種がいくつかあげられているが、同様に伝統を持つ蘭鑑賞の分野である[[洋ラン]]では見られないのと対照的である。なお中国の鑑賞花卉では[[芳香]]も重要な要素であるが、日本ではそれほど重要視されない。
*花の大きさや花色の多彩さよりも、花型の変化を求める。
* 小型の植物が多い
: 西欧や明治以降の日本の園芸植物に比べて非常に顕著な傾向で、変化アサガオはその代表とも言える(ただしアサガオは花色の幅も非常に広い)。キクやサクラソウ、ナデシコなどでも同様の傾向が見られる。大輪を強く求めるようになるのは明治以降であり、江戸時代ではいまだ地域的な特徴にとどまっている。またボタンやシャクヤクでは、中国の豊満な[[八重咲き]]中心からすっきりとした一重咲き中心へと変化し、独自のスタイルが作られた。[[東洋蘭]]では奇形の花形を持つ品種がいくつかあげられているが、同様に伝統を持つ蘭鑑賞の分野である[[洋ラン]]では見られないのと対照的である。なお中国の鑑賞花卉では[[芳香]]も重要な要素であるが、日本ではそれほど重要視されない。
*: 花や葉に繊細な変化を求めたこと、室内や[[花壇]]に陳列することが多かったことから、小さな鉢で栽培できる小型植物が多い。富貴蘭や万年青などでは野生型より遙かにこじんまりとしたものが品種として選ばれてきた傾向もある。園芸の推進役であった[[旗本]]や多くの[[御家人]]、裕福な商人や豪農は十分な広さの敷地を持っていたので、住宅事情というよりは日本人の傾向、あるいは時代的傾向であろう。江戸時代には[[陶磁器]]の生産が盛んになり、[[植木鉢]]の供給が増えたこともある。もちろんシャクヤクやハスなど大型の草花、またサクラやツバキなど大型花木の愛好もあった。
 
* 独特の栽培法や鑑賞法が確立している種類が多い。
*小型の植物が多い
*: 単に花が咲けば良いというだけではなく、ある程度専用の植木鉢が定められているものが多く、栽培法(仕立て方)の規格も決められているものが多い。特に盆養(鉢植え)では、全体のバランスが重要視される。また鑑賞にあたっても、多くは展示台、あるいは展示スペースである小屋組み式の「[[花壇]]」に陳列する、あるいは室内で毛氈を敷き、[[屏風]]を立てて鉢を並べるなど、正式の鑑賞法が確立しているものが多い。
: 花や葉に繊細な変化を求めたこと、室内や[[花壇]]に陳列することが多かったことから、小さな鉢で栽培できる小型植物が多い。富貴蘭や万年青などでは野生型より遙かにこじんまりとしたものが品種として選ばれてきた傾向もある。園芸の推進役であった[[旗本]]や多くの[[御家人]]、裕福な商人や豪農は十分な広さの敷地を持っていたので、住宅事情というよりは日本人の傾向、あるいは時代的傾向であろう。江戸時代には[[陶磁器]]の生産が盛んになり、[[植木鉢]]の供給が増えたこともある。もちろんシャクヤクやハスなど大型の草花、またサクラやツバキなど大型花木の愛好もあった。
* [[見立て]]式品種名が多い
 
*: [[歌枕]]や[[能]]の題名、[[故事]]など、古典教養を主体に何かに見立ててイメージを喚起連想させる命名法が多く、同時代の西欧園芸植物のように個人名を冠する記念的命名法は全く見られない。
*独特の栽培法や鑑賞法が確立している種類が多い。
: 単に花が咲けば良いというだけではなく、ある程度専用の植木鉢が定められているものが多く、栽培法(仕立て方)の規格も決められているものが多い。特に盆養(鉢植え)では、全体のバランスが重要視される。また鑑賞にあたっても、多くは展示台、あるいは展示スペースである小屋組み式の「[[花壇]]」に陳列する、あるいは室内で毛氈を敷き、[[屏風]]を立てて鉢を並べるなど、正式の鑑賞法が確立しているものが多い。
 
*[[見立て]]式品種名が多い
: [[歌枕]]や[[能]]の題名、[[故事]]など、古典教養を主体に何かに見立ててイメージを喚起連想させる命名法が多く、同時代の西欧園芸植物のように個人名を冠する記念的命名法は全く見られない。
 
==種類==