「呼吸器」の版間の差分

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喉頭の下部を覆う[[輪状軟骨]]から下に、第6頚骨の位置で接続し垂直に下がる管が[[気管]]である。長さ11~13cm、直径約2cmで、管路は馬蹄形の[[気管軟骨]]が約20個連続し、軟骨がない後面には平滑筋と粘膜による膜性壁からつくられる<ref name=Kaibou2v65>[[#解剖学第2版|解剖学第2版、p.65-66、第3章 呼吸器系 3.気管と気管支]]</ref>。
 
胸腔の第5胸椎部分、[[心臓]]背面付近で気管は二股に別れ左右2本の[[気管支]]となる。この2本は形状がやや異なり、右気管支は太く短い上、傾斜角が小さい。それに対し左気管支は長く細い形状で、傾斜角が大きい。この差があるため、誤って気管に入り込んだ異物は右気管支側に行きやすい<ref name=Kaibou2v65 />。肺の中に入った気管支は、右は3本、左は2本に枝分かれし、さらに2~4本の区域気管支へと分かれる<ref name=Kaibou2v66>[[#解剖学第2版|解剖学第2版、p.66-68、第3章 呼吸器系 4.肺]]</ref>。最終的に20~23回もの枝分かれを行い、[[気管支樹]]という小さな管になる<ref name=Kaibou2v65 />。
 
=== 肺 ===
ヒトは2つの肺を持ち、それぞれは[[円錐]]を縦に割ったような形状で、断面を向かい合わせながら間に[[心臓]]を覆う縦隔を挟み、胸腔の容量約80%を占める。成人では呼気に紛れた塵粒子が沈着するため淡灰黒色に見える。上端は[[鎖骨]]の上2~3cmに及び、下端は[[横隔膜]]に接する。心臓がある位置にはくぼみがあり、心臓がやや左に傾いているため左肺は重さ約500g・容量は約1000mlと、右肺の約600g・約1200mlよりも小さい。肺にある裂によって[[肺葉]]単位に分ける場合も、右肺は上・中・下葉の3分割となるのに対し、左肺は上・下葉の2つとなる<ref name=Kaibou2v66 />。計5本に枝分かれする気管支は、それぞれこの肺葉に対応する<ref name=Kaibou2v66 />。
 
気管は肺の中で区域気管支まで枝分かれするが、これらは重なっておらず、肺の中に展開する[[血管]]も同様に個別の領域に限定される。これを[[肺区域]]と言い、[[肺がん]]などで[[切除]]をする場合にはこの区域単位で行われる<ref name=Kaibou2v66 />。区域内で気管支はさらに別れ、軟骨構造がなくなって最終的に[[終末細気管支]]となる。この部分に[[肺胞]]が付着しており、内部を走る[[毛細血管]]とガス交換を行う。これは[[血液空気関門]]という<ref name=Kaibou2v66 />。
 
== 陸上の脊椎動物の呼吸器 ==