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Poohpooh817 (会話 | 投稿記録)
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==== 双務契約・片務契約 ====
; 双務契約
: 契約当事者双方が対価的性質を有する債務を負っている契約<ref name="oshima9">大島・下村・久保・青野(2003)9頁</ref>。売買契約を例にとると、売主は買主に対して財産権を移転する義務(債務)があり、買主は売主に対してその代金を支払う義務(債務)がある。よって売主と買主の双方がお互いに債務を負っている(債権を有している)ため、売買契約は双務契約であるといえる。債務が対価的性質を有するか否かは客観ではなく当事者の主観により定まる<ref name="endo48">遠藤(1997)48頁</ref>。日本民法の典型契約の中では、売買、交換、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、組合、和解の7種は常に双務契約とされる<ref name="oshima9"/>。双務契約には、成立の牽連性、存続の牽連性、消滅の牽連性といった特殊の効力がある<ref>遠藤(1997)49頁</ref>。
; 片務契約
: 契約当事者の一方のみが対価的性質を有する債務を負っている契約。贈与、消費貸借、使用貸借の3種が常に片務契約とされる<ref name="oshima9"/>。このうち贈与には負担付贈与も含まれる(負担付贈与における負担は従的な関係のものであり、対等な関係に立つ反対給付とはいえず片務契約とされる<ref name="endo48"/>)。
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==== 有償契約・無償契約 ====
; 有償契約
: 契約の全ての過程において対価的な性質をもつ出捐(経済的損失)があると認められる契約<ref name="oshima8"/>。日本民法の典型契約の中では、売買、交換、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、組合、和解の7種は常に有償契約とされる<ref name="oshima9"/>。消費貸借、委任、寄託、終身定期金の4種は有償である場合と無償である場合とがある<ref name="oshima9"/>。有償契約には原則として売買契約の規定が準用され(民法559条)、[[瑕疵担保責任]](民法570条)などを負うことになる。
; 無償契約
: 対価的な性質をもつ出捐(経済的損失)が存在しない契約。日本民法の典型契約の中では、贈与と使用貸借の2種が常に無償契約とされる<ref name="oshima9"/>。消費貸借、委任、寄託、終身定期金の4種は有償である場合と無償である場合とがある<ref name="oshima9"/>。双務契約の多くは有償契約であり、片務契約の多くは無償契約であるが、例外的に利息付消費貸借契約は片務有償契約である<ref>我妻(1954)37頁</ref><ref>川井(2010)5頁</ref>。なお、双務契約と片務契約の分類は[[ローマ法]]に由来する<ref name="endo46"/>。