「プロセラルム盆地」の版間の差分

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== 構造 ==
プロセラルム盆地は、直径が約3000kmもある巨大な盆地で、正体は月自身の大きさの約86%もある巨大な[[クレーター]]である。この大きさは月の裏側にある同じくクレーターの[[南極エイトケン盆地]]の約2500kmを抜き、[[月]]の中で最大である。また、[[太陽系]]の中でも最も大きなクレーターの1つである。[[この直径は、地球]]に置き換えれば[[日本列島]]その中に納まってしまうサイズである。南極エイトケン盆地は月の裏側にあるため地上からは見えないが、プロセラルム盆地は月の表側にあるため観察できる。
 
プロセラルム盆地の中には、やはり巨大なクレーターである直径1145kmの[[雨の海]]を中に持ちがあり、プロセラルム盆地が形成する衝突が起きた後に雨の海を形成する衝突が起きたことを示している。ちょうど[[月の兎|餅をつくウサギ]]に見える模様をほぼ、耳に見える部分である[[豊かの海]]の一部と[[神酒の海]]の全てを除き、残りの全身を覆う形で存在する。また、[[臼]]に例えられる[[雲の海]]などもこの中に納まっている。
 
== 起源 ==
プロセラルム盆地の起源は、直径が300kmもある巨大な[[小惑星]]の衝突によって生じたと考えられている。月の表面で暗く見える[[月の海]]は、[[玄武岩]]質の岩石で覆われた地域で、ほかの場所と比べて低地である。海は、形成したばかりの月内部で[[放射性物質]]の[[放射性崩壊|放射性壊変熱]]で溶けやすい玄武岩マグマが地表に噴出した後であり、クレーターのような低地が海の形を決めたと言われている。明るく見える部分は、海などより高い高地である。これまでの数々の月探査によって、月の表側と裏側では、海と高地の比率だけでなく、地殻の厚さや[[トリウム]]などの放射性物質の量に違いがあることが分かった。特に地殻は表側では薄く、裏側では厚いため、月の形状的重心と質量的重心はずれており、月が[[自転と公転の同期|常に表側を地球に向ける公転]]が安定する原因となっている。このような違いは、プロセラルム盆地が実は巨大な衝突によるクレーターで、この大衝突で地形が変化したり、飛び散った物質によって、このような月の表裏の二面性を作り出したと考えられてきたが、これまでそれを裏付ける科学的な証拠がなかった。
 
[[2012年]]に[[産業技術総合研究所]]は、[[宇宙航空研究開発機構|JAXA]]の月周回[[衛星]]の[[かぐや]]が調べた可視赤外線反射率スペクトルのデータを用い、月表面にある[[カルシウム]]に乏しい[[輝石]]([[ピジョン輝石]]、[[頑火輝石]]、[[鉄珪輝石]]などのMg-Fe輝石)の分布を調べた。低カルシウム輝石は、地殻を貫いて[[マントル]]の一部を溶かすほどの大規模な衝突で溶けた衝突溶融物が固化した際に多く含まれていると考えられている。その結果、同じく巨大なクレーターである雨の海周囲部、南極エイトケン盆地内部、プロセラルム盆地周囲部に、低カルシウム輝石を多く20%以上含む物質が存在することが分かった。このことから、プロセラルム盆地は衝突盆地であり、衝突の衝撃で周辺表側にある高地を吹き飛ばした原因となり、った。また、地殻の厚みを薄くすることによって深部の圧力が下がって、月内部の玄武岩質マグマが噴出しやすくなり、噴出したマグマが固まって海を形成する要因ともなった。その結果、現在のような表と裏の二面性を生じる原因になったと考えられている。
 
== 匹敵する衝突地形 ==
{{See also|太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧}}
プロセラルム盆地の直径3000kmが太陽系の中でも最大級のクレーターであることは間違いないが、太陽系で最も大きなクレーターか否かは定かではない。これまでで天体の衝突が生成の原因だとわかっている最も大きなクレーターは南極エイトケン盆地の2500km、次いで[[火星]]にある[[ヘラス平原]]の2300kmであった。プロセラルム盆地はこれらよりも大きい。しかし、火星にある{{仮リンク|北極海盆|en|North Polar Basin (Mars)}}は、10600km × 8500kmという途方もなく大きなクレーターではないかという説がある。また、同じく火星にある約3300kmの[[ユートピア平原]]もまた衝突盆地ではないかと言われている。また、[[木星]]の[[ガリレオ衛星]]の1つである[[カリスト (衛星)|カリスト]]にある{{仮リンク|ヴァルハラ盆地|en|Valhalla (crater)}}は本体部分が直径360kmであるが、衝突の衝撃に由来する多重のリング構造が最大直径3800kmまで広がっている。また、クレーターと月自身の直径との比率は約86%であるが、これは極端に小さな天体にあるクレーターを除けば、[[小惑星]][[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]にある{{仮リンク|レアシルウィア|en|Rheasilvia}}の約90%に次ぐ比率である。
 
== 関連項目 ==