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古典的にはLiepmannが肢節運動性失行、観念運動性失行、観念性失行という3つに分類したことから始まる。2010年現在、構成失行や着衣失行なども含まれている。
=== 肢節運動失行 ===
[[中心回]]の損傷の後、対側の上肢に現れる運動の稚拙症である。運動麻痺と区別がつかないため失行に含まれないこともある。Liepmannは中心回に運動の[[エングラフ]]が保存されていると考え、中心回の損傷により、運動の記憶が障害され、運動の稚拙症が生じると考えている。硬化をつまめない、ボタンを掛けられないといった症状である。
=== 観念運動失行 ===
左半球の広範な障害でおこる。Liepmannによると「物品を使用しない単純な運動や、一つの物品を対象とする運動が言語命令、模倣、物品使用のいずれでも障害されるもので、自動運動は可能であるが意図的な運動はできない状態」と定義している。具体的には敬礼や鉄鎚を使うまね(パントマイム)といった簡単な動作ができない。観念運動失行の定義は研究者の間でも一定していない。
=== 口腔顔面失行 ===
観念運動失行が口腔顔面領域に起こった場合のことである。口笛をふく、舌打ちをするといった動作ができなくなる。球麻痺などが鑑別にあがる。
=== 観念失行 ===
左半球または両側頭頂葉後方領域に責任病巣があると考えられている。[[アルツハイマー病]]でも同様の症状を示すことがある。Liepmannによると「個々の運動はできるが、複雑な一連の運動連鎖が必要な行為が障害される」と定義している。要素行為は正しいが順序、対象を誤るといった場合が典型的である。紙をおって封筒にいれるといった系列行為の障害である。鑑別としては意味記憶障害や多感覚様式性失認があげられる。物品の名前や用途を説明できるが使用ができないのが特徴である。
=== 着衣失行 ===
右半球頭頂葉の障害で起こることが多い。衣服の各部位と自己自身の空間関係の把握障害と考えられている。[[半側空間無視]]、空間無視によるものは含めない。
=== 構成失行 ===
頭頂葉の障害でおこると考えられており、左右で障害のパターンが異なるという説もある。操作の空間的形態が障害される行為障害と考えられている。かつては'''視覚性失行'''と言われていた。具体的には客体を用いた描画、平面的図形構成、立方体構成がうまくできない。誤りのバターンとしては歪み、線の増加、省略、保続、錯乱、大きさの変化、空間図形の平面化、逆転、回転などさまざまである。影絵の狐など指パターンの模倣もできないことが構成失行ではよく認められる。積み木を組み合わせて形をつくることができないといった症状も有名である。
=== 拮抗性失行 ===
一方の手が他方の手の動きを妨げるように動くことである。
 
== 失行と責任病巣 ==
ここでは代表的な失行の症状と責任病巣に関してまとめる。優位半球を左として説明する。肢節運動失行では半球優位性が認められないことに注意が必要である。
{| class="wikitable"
!nowrap|症状!!nowrap|内容!!nowrap|責任病巣
|-
|観念失行||物品を使用することができない||左頭頂後頭葉
|-
|観念運動失行||目的に沿った行為ができない||左頭頂葉
|-
|肢節運動失行||手先を使うことができない||左右中心溝周辺
|-
|着衣失行||服を着ることができない||右頭頂葉
|-
|構成失行||形を作ることができない||右頭頂葉
|-
|視覚性運動失調||見たものをつかむことができない||頭頂葉、脳梁
|-
|左手の観念運動失行||左手を使うことができない||脳梁幹後部
|-
|拮抗性失行||左右両手を強調させて使うことができない||脳梁膝部から脳梁幹前部、前頭葉内側面
|}
 
== 参考文献 ==