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[[Image:Yoshitoshi The Demon of Mount Togakushi.jpg|right|thumb|200px|紅葉の策に眠りこむ平維茂。（[[1890年]]、[[月岡芳年]]「平維茂戸隠山に悪鬼を退治す図」『新形三十六怪撰』）]]
'''紅葉伝説'''（もみじでんせつ）は、[[信濃国|信州]][[戸隠村|戸隠]]、[[鬼無里村|鬼無里]]（現・[[長野県]][[長野市]]）に伝わる[[鬼女]]にまつわる伝説である。'''紅葉'''は女主人公の名前である。▼
▲'''紅葉伝説'''（もみじでんせつ）は、[[信濃国|信州]][[戸隠村|戸隠]](とがくし)、[[鬼無里村|鬼無里]]（
== あらすじ ==▼
[[File:内裏屋敷鬼女紅葉供養塔.jpg|thumb|旧鬼無里村根上地区にある内裏屋敷跡地(紅葉が住んだ)鬼女紅葉供養塔]]
[[File:牛平橋欄干.JPG|thumb|旧鬼無里村根上地区の裾花川に懸かる牛平橋には紅葉が名付けた地名が今も残る。左 東の京 右 西の京とある]]
[[File:鬼(紅葉)の岩窟.JPG|thumb|紅葉が立てこもったといわれる、荒倉山の山中にある鬼(紅葉)の岩窟(洞窟)。右の洞窟には能役者などが奉納した木柱が並ぶ。]]
[[File:鬼の塚(紅葉の墓).JPG|thumb|旧戸隠村柵(しがらみ)地区にある紅葉の墓といわれるもの。手前が紅葉で奥に並ぶものは家来の物だという。]]
▲== あらすじ ==
'''[[北向山霊験記戸隠山鬼女紅葉退治之伝全]]'''からの要約
937年（[[承平 (日本)|承平]]7年）のこと、会津には子供に恵まれなかった夫婦、伴笹丸（とものささまる）と菊世（きくよ）がいた。二人が[[天魔|第六天の魔王]]に祈った甲斐があり、女児を得、'''呉葉'''（くれは）と名付けた。才色兼備の呉葉は豪農の息子に強引に結婚を迫られた。呉葉は秘術によって自分そっくりの美女を生み出し、これを身代わりに結婚させた。偽呉葉と豪農の息子はしばらくは睦まじく暮らしたが、ある日偽呉葉は糸の雲に乗って消え、その時既に呉葉の家族も逃亡していた。呉葉と両親は京に上った。ここでは呉葉は紅葉と名乗り、初め琴を教えていたが、[[源経基]]の[[御台所]]の目にとまり、[[腰元]]となりやがて[[局]]となった。紅葉は経基の子供を妊娠するが、その頃御台所が懸かっていた病の原因が紅葉の呪いであると[[比叡山]]の高僧に看破され、結局経基は紅葉を信州戸隠に追放することにした。956年（[[天暦]]10年）秋、まさに[[紅葉]]の時期に、紅葉は水無瀬(みなせ・鬼無里の古名）に辿り着いた。経基の子を宿し京の文物に通じ、しかも美人である紅葉は村びと達に尊ばれはしたものの、やはり恋しいのは都の暮らしである。経基に因んで息子に経若丸（つねわかまる）と名付け、また村びとも村の各所に京にゆかりの地名を付けた。これらの地名は現在でも鬼無里の地に残っている。だが、我が身を思うと京での栄華は遥かに遠い。このため次第に紅葉の心は荒み、京に上るための軍資金を集めようと、一党を率いて[[戸隠山]](荒倉山)に籠り、夜な夜な他の村を荒しに出るようになる。この噂は戸隠の[[鬼女]]として京にまで伝わった。ここに[[平維茂]]が鬼女討伐を任ぜられ、笹平（ささだいら）に陣を構え出撃したものの、紅葉の妖術に阻まれさんざんな目にあう。かくなる上は神仏に縋る他なしと、[[観音菩薩|観音]]に参る事17日、ついに夢枕に現れた白髪の老僧から[[降魔]]の剣を授かる。今度こそ鬼女を伐つべしと意気上がる維茂軍の前に、流石の紅葉も敗れ、維茂が振る神剣の一撃に首を跳ねられることとなった。呉葉=紅葉33歳の晩秋であった。
== 伝説の舞台 ==
=== 鬼無里 ===
鬼無里での紅葉伝説は他と違い、紅葉が村人に施した事が伝えられている。以下ウィキペディア[[鬼無里村]]から引用『一般には主人公の「紅葉」は妖術を操り、討伐される「鬼女」であるが、鬼無里における伝承では医薬、手芸、文芸に秀で、村民に恵みを与える「貴女」として描かれる。』
*内裏屋敷跡(だいりやしきあと)、紅葉が暮らした屋敷跡。<ref>紅葉が流罪となり最初に暮らした。</ref>
*月夜の陵(はか)、紅葉の侍女の墓と云われる。<ref>[[遷都伝説]]の頃([[863年]][[天武]]12年)頃との説もある。</ref>
*やかぶし(館武士・矢形ぶし)、<ref>内裏屋敷の搦め手の守りとも弓矢の練習をしたとも云われる。</ref>
*地名・西京、東京、二条、三条、四条、五条、府成、清水、吉田、高尾、東山、他。<ref>紅葉が都を偲び京の地名を付けたと云われる。</ref>
*寺社・[[松巌寺]]。<ref>紅葉の菩提を弔う寺で紅葉と家来の墓があり、紅葉が持っていたと云う地蔵菩薩像がある。</ref>鬼無里神社、白髯神社。<ref>平維茂が戦勝を祈願した。</ref>
*強清水、維茂柳。<ref>平維茂が峠で疲れ沢で水を飲み「こわい、こわい」(方言)と言った。維茂が楊枝を刺すと芽が出て木になった。</ref>
=== 戸隠(旧柵村・しがらみむら) ===
旧柵村、荒倉山(戸隠山ではない)が平維茂との決戦の舞台。実際に紅葉と平維茂が戦ったという場所や縁の場所が各地にある。
*鬼(紅葉)の岩屋。<ref>紅葉が暮らしたと云う洞窟</ref>鬼(紅葉)の塚。<ref>紅葉と家来の墓と云われる</ref>
*ゆかりの地・化粧水、屏風岩、舞台岩、釜壇岩(かまだん)、釜背負岩(かましょい)、駒爪岩。奥の岩屋<ref>伝説にちなんだ岩や沢などに名前が付く。</ref>
*地名・安堵ヶ峰、竜虎ヶ原、毒(ぶす)の平、木戸、朝(あした)ヶ原、幕の入り、志垣(しがき)、柵(しがらみ)、渡土(わたど)、追通(おっかよう)。<ref>紅葉と維茂の戦いの舞台となった各地に地名が残る。</ref>
*寺社・大昌寺(だいしょうじ)。<ref>別名紅葉峰(もみじほう)、紅葉と維茂の名が同じ位牌にある。戦いの場面を時系列に沿って描かれた大きな掛け軸がある。</ref>紅葉稲荷、山の神、矢先神社、矢本神社、十二神社。<ref>紅葉や維茂が祈願した社</ref>
*足神様<ref>戸隠神社中社脇には紅葉の手下と云われる「おまん」を祀った足神様がある。</ref>
=== 別所温泉、長野市、木島平 ===
*平維茂の墓<ref>長野県上田市別所には紅葉との戦いで傷つき死んだという平維茂の墓と云われる塚がある。</ref>
*北向観音<ref>別所温泉の北向観音は平維茂が改修したと云われる。紅葉と維茂の戦いを描いた絵馬がある。</ref>
*西厳寺、宝昌寺、宣勝寺<ref>長野市内の西厳寺、宝昌寺、木島平村の宣勝寺には紅葉と維茂の戦いを描いた掛軸がある。この三寺は平維茂の子孫が開いたとの伝承がある。また宝昌寺には維茂作という甲冑薬師如来像がある。</ref>
== 鬼女紅葉まつり ==
*鬼無里の「鬼女紅葉まつり」・毎年10月第４日曜日。平成24年で13回目、当初は内裏屋敷跡で行われたが現在は松巌寺で行われるる。松巌寺住職による法要、アトラクション(信州鬼無里鬼女紅葉太鼓など)
*戸隠の「鬼女紅葉まつり」・毎年10月第４日曜日。平成24年で54回目、荒倉キャンプ場。出店や能舞台で素謡(囃子、舞なしの謡)などがおこなわれる。
== 紅葉伝説の文献 ==
*[[太平記]]「鬼切鬼丸の事」([[平維茂]]ではなく[[源満仲]]の話)
*[[大日本史]]第140巻・列伝六七「[[平維茂]]」
*[[和漢三才図会]]([[正徳 (日本)|正徳]]２年・[[1712年]]頃)第68巻・信濃、[[戸隠神社|戸隠明神]]
*[[信府統記]](地誌・[[享保]]９年[[1724年]])巻三第十七
*[[菅江真澄|菅江真澄遊覧記1]](めくじの橋)
*[[信濃奇勝録]](地誌・[[天保]]５年[[1834年]])
*[[善光寺道名所図会]]([[嘉永]]２年[[1849年]])
*[[北向山霊験記戸隠山鬼女紅葉退治之伝全]]([[明治]]19年[[1886年]]作成、発行・明治36年[[1903年]])
<references />
== 参考文献 ==
* 「源氏伝説のふるさと」ふるさと草子刊行会
* 「鬼女紅葉伝説の里」鬼女紅葉を偲ぶ会
* 「松巌寺縁起」松巌寺
== 関連作品 ==
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*漫画『[[鬼切丸]]』（作：[[楠桂]]）
*[[幻想のアヴァタール]]
== 関連項目 ==
* [[松巌寺]]
* [[大昌寺]]
* [[鬼無里村|旧鬼無里村]]
* [[戸隠村|旧戸隠村]]
▲== 参考 ==
* [[源経基]]
* [[平維茂]]
== 外部リンク ==
* [http://jyashin.net/evilshrine/gods/momiji_shrine/momiji_index.html 紅葉伝説考]
* [http://www1.ocn.ne.jp/~pia/momiji.htm 戸隠に伝わる鬼女紅葉の物語]
* [http://miko.org/~uraki/kuon/furu/text/dainihonsi/dainihon.htm 大日本史]（テキストデータ・[[繁体字|繁体]][[中国語]]）
* [http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/898185 国立国会図書館近代デジタルライブラリー 和漢三才図会・信濃国戸隠明神・176ｺﾏ目(ページ)]
* [http://digikura.pref.nagano.lg.jp/kura/id/02BK0104162201-jp 信州デジくら・信府統記1・49ｺﾏ目(ページ)戸隠山]
* [http://digikura.pref.nagano.lg.jp/kura/id/02BK0104162227-jp 信州デジくら・信府統記3・92ｺﾏ目(ページ)俗傳]
* [http://da.apl.pref.akita.jp/lib/item/00010001/ref-C-252514 秋田県立図書館デジタルアーカイブ・菅江真澄遊覧記]
* [http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/765065 国立国会図書館近代デジタルライブラリー・信濃奇勝録2・16ｺﾏ目(ページ)水内郡之部、戸隠山、紅葉岩窟、志垣]
* [http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/765066 国立国会図書館近代デジタルライブラリー・信濃奇勝録3・33ｺﾏ目(ページ)小県郡之部、出浦]
* [http://digikura.pref.nagano.lg.jp/kura/id/02BK0104162813-jp 信州デジくら・善光寺道名所図会4]
* [http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/881693 国立国会図書館近代デジタルライブラリー・北向山霊験記鬼女紅葉退治之傳全]
{{DEFAULTSORT:もみしてんせつ}}[[Category:鬼]][[Category:日本の伝説]][[Category:長野市]][[Category:長野県の妖怪]]
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