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{{Green politics sidebar}}
{{Green politics sidebar}}'''みどりの政治'''([[英語]]:Green Politics)とは、[[1970年]]代以降、世界的に[[環境主義]]・[[エコロジー]]、[[原子力撤廃|反原発]]・[[反核]]、[[反戦]]・反[[軍備拡張競争|軍備拡張]]([[軍縮]])、[[人種差別]]撤廃・[[少数民族]]保護、[[脱物質主義]]、[[多文化主義]]、[[消費者]]保護、[[参加型民主主義]]([[草の根民主主義]]も参照)、[[フェミニズム]]、[[社会的弱者]]の[[人権]]擁護といった「[[新しい社会運動]]」の風潮が進んでいく中で、[[1980年]]代にドイツで[[緑の党 (ドイツ)|緑の党]]が躍進を遂げ、それに呼応するような形で、世界各地で出てきた[[経済成長]]、[[企業]]の業績本位の考え方よりも、「[[社会的公正|公正]]で[[持続可能性|持続可能]]な[[社会]]」をより優先させようという政治姿勢である。
'''みどりの政治'''([[英語]]:Green Politics)とは、[[1970年]]代から世界的に
* [[環境主義]]・[[エコロジー]]
* [[原子力撤廃]]・[[反核運動]]
* [[軍備拡張競争]]の抑制([[軍縮]])・[[反戦運動]]
* [[人種差別|人種主義]]の根絶・[[少数民族]]の保護
* [[物質主義]]からの脱却
* [[多文化主義]]
* [[消費者]]の保護
* 参加型[[民主主義|民主政治]]([[草の根民主主義|草の根民主政治]])
* [[フェミニズム]]
* [[社会的弱者]]の保護
といった「'''[[新しい社会運動]]'''」の風潮が広まる中、[[1980年]]代にドイツで'''[[同盟90/緑の党|緑の党]]'''が勢力を躍進させたのを受け、それに呼応する形で世界の各地で見られるに至った、[[経済成長]]や[[企業]]の業績を中心に据えるよりも'''[[社会正義|社会的に公正]]で[[持続可能性|持続可能]]な[[社会]]'''をより優先させよう、という政治的な姿勢・思想である。
 
== グローバルグリーンズ / グローバルグリーンズ憲章 ==
このような政治主張を基軸として新しい[[政党]]([[緑の党]])を組織する動きは世界各地であるし([[グローバルグリーンズ]]も参照)、また既成政党のメンバーの中にも、[[アメリカ民主党]]の[[アル・ゴア]]のように、このような政治観を単独で実現しようとする[[政治家]]もいる。
{{main|グローバルグリーンズ|グローバルグリーンズ憲章}}
 
[[アメリカ合衆国副大統領]]を務めた[[民主党 (アメリカ)|民主党]]の[[アル・ゴア]]のように従来・既存の政党の中にも、このような政治観を掲げる有力者が存在するが、このような主張を基軸とする新しい政党たる「'''[[緑の党]]'''」を組織しようとする動きは、広く世界の各地で見られ、それら各国の緑の党が結集し、[[2001年]]、'''[[グローバルグリーンズ]]'''の結成、そして、以下の6つの大きな原則を掲げる'''[[グローバルグリーンズ憲章]]'''の制定へと至った。
[[2001年]]の[[グローバルグリーンズ憲章]]では、次の6大目標を定めた。
* [[エコロジー|エコロジカル]]な知恵 ecological wisdom
 
* エコロジカルな知恵 ecological wisdom
* [[社会正義]] social justice
* 参加型[[民主主義|民主政治]] participatory democracy
* [[非暴力]] nonviolence
* [[持続可能性]] sustainability
* [[多様性]]の尊重 respect for diversity
 
== 右翼・左翼との関係 ==
{{seealso|アルテルモンディアリスム|緑の保守主義}}
みどりの政治は、[[保守]]派・[[右翼]](右派)、[[進歩]]派([[革新]]派)・[[左翼]](左派)、双方の流れに由来する[[環境問題|環境保護]]・[[環境運動]]を端緒に始まった。が、その後は、主に
* [[平和]][[外交]]・[[平和運動]]
* [[人権]]
* [[産業]]構造の転換を通じた'''[[持続可能な開発|持続可能な発展]]'''
* [[教育]]
* [[社会保障]]・[[労働]]
* [[消費者]]・[[食料]]
など、幅広い[[社会問題]]に関心を持つ左派的な色彩を強め、'''平和で[[持続可能性|持続可能]]で[[社会正義|社会的に公正]]な新しい[[エコロジー]][[社会]]'''を目指す総合的な理念となった。
 
営利を目的とする[[企業]]の自由を最優先する[[新自由主義]]的改革(およびそのないし[[グローバル化リゼーション]]・[[グローバリズム]])批判的である。この点で「もう一つの、グローバリズムを象徴するとされる[[世界は可能だ」を合言葉経済フォーラム]]対し、[[世界社会フォーラム]]を開催すに象徴され'''[[アルテルモンディアリスム]]'''とも密接に結びいている。
 
[[新しい社会運動]]」が主な源流になっていることもあってみどりの政治は既存の[[左保守]][[右翼(右派]]の)か進歩派(革新派)・左翼(左派)か、という軸で分類されること自体消極的な場合が多いが、[[新左翼]]や[[アナキズム|アナキスト]]からの参加者があっ多く見られたこともあり、ふつう[[中道左派]]から[[左翼]]の一形態として捉えられる。ただし、みどりの政治のもう一つの流れして、[[緑の保守主義]]というのもある。ドイツ緑の党は初期には保守派をく含んでた経緯もあり、[[保守思想]]に依拠する[[環境保護運動]]の源流は、[[ナチス・ドイツ]]以前にさかのぼる
 
但し、もう一つの流れとして、'''[[緑の保守主義]]'''が存在する。実際、[[同盟90/緑の党|ドイツの緑の党]]は、初期に多くの保守派を含んでいた。保守の思想に依拠する[[環境運動|環境保護運動]]の源流は、[[ナチス・ドイツ]]にまで遡る([[エコファシズム]])。
 
みどりの政治の支持者には、草創期のドイツの緑の党における有力メンバーの一人で芸術家の[[ヨーゼフ・ボイス]]が[[人智学]]に強い関心を持っていた等、
* [[現代]]の[[文明]]や[[消費社会]]への批判
* [[物質主義]]からの脱却や[[サブカルチャー]]・[[カウンターカルチャー]]への関心([[学問]]の分類で言えば[[カルチュラル・スタディーズ]]に近似)
* [[エコロジー]]や[[先住民]]の保護などの文脈から[[代替医療]]や[[スピリチュアリティ]](主にアメリカで言えば[[ニューエイジ]])などへの関心
を強く志向する人々が多く含まれる<ref>但し、いわゆる「スピリチュアル・グリーン」に批判的な、みどりの政治の支持者も存在する。</ref>こともあり、[[無神論]]的ないし[[近代]][[合理主義]]的な[[共産主義]]、特に[[マルクス・レーニン主義]]に対しては、[[国家]]観や[[民主主義|民主政治]]観などで一線を画するものと考えられている。
 
また、みどりの政治は、[[民主社会主義]]・[[社会民主主義]]と関心が一致する場合が多く、しばしば[[連立政権]]を組む事例も見られるが、[[反戦運動]]の流れを汲むこともあり、国家との関係において[[軍事]]や[[国家主義]]に対して否定的な傾向を有する。このため、国家の介入による[[公平]]を重視し、[[軍事力]]についても必ずしも否定的でない民主社会主義・社会民主主義の勢力とは、[[安全保障]]をめぐって対立する場合も見られる。
みどりの政治は保守派・左派双方の流れに由来する[[環境保護]]・[[環境運動]]を端緒にして始まったが、その後は主に[[平和]][[外交]]、[[人権]]、[[産業]]構造の転換([[持続可能な開発]])、[[教育]]、[[社会保障]]、[[労働]]、[[食料]]など幅広い[[社会問題]]に関心を持つ左派的な色彩を強め、平和で持続可能で[[社会正義]]のある新しいエコロジー社会をめざす総合的な政治理念となった。この思想は[[グローバルグリーンズ憲章]]にうたわれている。
営利企業の自由を最優先する[[新自由主義]]的改革(およびその[[グローバル化]])は批判的である。この点で「もう一つの世界は可能だ」を合言葉に[[世界社会フォーラム]]を開催する[[アルテルモンディアリスム]]とも密接に結びついている。
 
== 脚注 ==
「新しい社会運動」が主な源流になっていることもあって、みどりの政治は既存の[[左派]]・[[右派]]の軸で分類されることには消極的な場合が多いが、[[新左翼]]や[[アナキスト]]からの参加者があったこともあり、ふつう[[中道左派]]から[[左翼]]の一形態として捉えられる。ただし、みどりの政治のもう一つの流れとして、[[緑の保守主義]]というものもある。ドイツ緑の党は初期には保守派を多く含んでいた経緯もあり、[[保守思想]]に依拠する[[環境保護運動]]の源流は、[[ナチス・ドイツ]]以前にさかのぼる。
<references />
 
== 関連項目 ==
みどりの政治支持者には、[[現代]][[文明]]および[[消費社会]]批判・脱物質主義や[[サブカルチャー]]・[[カウンターカルチャー]]への関心([[学問]]的には[[カルチュラル・スタディーズ]]が近いスタンスを持っている)、エコロジー・先住民保護などの文脈から例えば[[代替医療]]や[[スピリチュアリティ]]といったもの(主にアメリカの文脈では[[ニューエイジ]])への関心が強い人々を多く含んでいる(ドイツ緑の党の創設期の有力メンバーのひとりで芸術家の[[ヨーゼフ・ボイス]]が[[人智学]]に強い関心を持っていた等が具体的な例としてあげられる。いっぽう、いわゆる「スピリチュアル・グリーン」に批判的なみどりの政治支持者もいる)こともあって、[[無神論]]的・近代[[合理主義]]的な[[共産主義]](特に[[マルクス・レーニン主義]])とは国家論や民主主義論などにおいて、ふつう一線を画するものと考えられている。また、みどりの政治は[[社会民主主義]]と関心が一致する場合が多く、しばしば[[連立政権]]を組むが、みどりの政治は国家との関係においては[[軍事]]や[[国家主義]]に否定的傾向があり、[[反戦]]的な傾向がある。このため国家の介入による[[公平]]を重視し、軍事力には必ずしも否定的ではない社会民主主義政党とは[[安全保障]]をめぐって対立する場合がある。
* [[ダイバーシティ・マネジメント]]
 
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