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[[2ストローク機関|2サイクルエンジン]]では、[[船外機]]や[[スノーモービル]]で採用されている。[[1990年代]]にホンダがレース用バイクの[[NSR500]]に採用したが、2サイクルの市販車に採用されることはなかった。
 
小燃料で排ガスも少ない特性をいかし、大気汚染を減らすために、燃料噴射技術が利用されている。<br>
 
コロラド州立大学の支援を受けて非営利企業のEnviroFitは[[東南アジア]]における大気汚染を減らすため、オービタル社の開発した技術を基に2ストローク自動二輪向けの改造キットを開発した。(フィリピンなど、対策、[http://www.youtube.com/watch?v=EjBcxyKkpEE TV映像])
 
<br>[[世界保健機関]] (WHO) は東南アジアと[[太平洋]]において[[大気汚染]]によって毎年、537,000人が死亡していると報告している、大気汚染の原因となる、1億台に及ぶ2ストロークエンジンの[[タクシー]]と自動二輪の排気ガスを改善する。
 
== インジェクターの動作原理 ==
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== 制御方式 ==
*2012年現在、ほぼすべての燃料噴射装置が電子制御になった。<br>
**コモンレール方式は、燃料を、噴出装置までレール(高圧パイプ)を使って送り、電子制御で噴射する。
**ユニットインジェクターは、シリンダー上部に注射器のように取り付け、カムによって噴射する。電子制御は、噴射量を減らす操作を行う。インジェクターまでは低圧のパイプでつながっている。カムによる圧縮で2000気圧の高圧噴射を可能にしている。
 
**
 
 
 
=== 機械式 ===
機械による、歴史上使われた、燃料噴射の技術。<br>
 
[[File:Kugelfischer Einspritzpumpe PL 04.JPG|thumb|right|200px|クーゲルフィッシャーのプランジャ式燃料噴射ポンプ]]
燃料噴射量の決定に電子式の演算装置を用いないもの全般を指す。
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: 基本構造、システムとしては、[[ディーゼルエンジン]]の燃料噴射方式と同様で、[[シリンダー|気筒]]数分の[[カム]]と[[プランジャー]]を内蔵させた[[噴射ポンプ|インジェクションポンプ]]をエンジンの動力によって作動させ、各気筒の吸気ポートに噴射させる方法を採る([[燃焼室|筒内]]噴射ではない)。噴射量の制御も、ディーゼル同様、アクセル開度に連動した[[遠心力|遠心]][[調速機|ガバナー]]と[[ラック・アンド・ピニオン]]による、プランジャーの圧縮[[ストローク]]制御となる。[[1960年代]]から[[1970年代]]前半の[[ポルシェ]]、[[メルセデス・ベンツ]]、[[BMW]]などに使用例がある。
; ボッシュ・K[[ジェトロニック]]
: ディーゼルエンジン用の燃料噴射装置の流用では機構構造が複雑で、重量や価格の面でも一般的な量産車には向かないため、コスト低減のために開発されたのがKジェトロニックである。フラップ式のエアフローメータが噴射量を制御するプランジャーに機械的に直結している。燃圧は、フューエルポンプで圧送された燃料をレギュレーターで制御するのみで、カムとプランジャーによる加圧は行わない。また、燃圧も上記ディーゼル流用タイプに比べ、低い(おおむね5[[バール (単位)|bar]]程度と、後年の電子制御式燃料噴射に比べればやや高いが)ことが特徴で、全気筒に対し連続的に燃料噴射を行なう。<br />
:名称の「K」は、ドイツ語で「連続的な、持続的な」を意味する「Kontinuierlich」から来ている。
; ボッシュ・KAジェトロニック
: [[三元触媒]]装着車に対応するため、[[排気ガス]]中の酸素濃度に応じた噴射量の制御機能を追加したタイプ。酸素濃度を測定するO<sub>2</sub>センサー信号を、簡単なコンピュータにより処理し、燃料噴射量を制御するという意味では「電子制御式」であるが、主要な燃料噴射の制御はKジェトロニック同様のフラップ式エアフローメータが制御プランジャ-と構造的に直結しているもの。
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: 吸入された空気量をフラップ式のエアフロセンサーで計測するシステムで、その他は機械式のインジェクションシステムと変わりが無かった。排気ガス浄化としてO<sub>2</sub>センサーと三元触媒を装着して対応するようになった。
; D ジェトロニック
: 吸入された空気量を直接計測するシステムではなく、圧力センサーで計測したスロットルボディ付近の吸入空気圧を基本データとし、吸気温センサーで計測した吸入空気温度とスロットル開度センサーからのスロットルバルブ開度の情報を補足データとして、吸入された空気量を予測する。これも初期タイプは出力アップのみを目的としていたが、O<sub>2</sub>センサーと三元触媒を装着することによって、排気ガス浄化システムとして継続している。<br/>
:コストが抑えられるため、日本では気筒数の少ない軽自動車や小型自動車用のインジェクションシステムとして使用されている。<br />
:名称の "D" は、圧力センサーをドイツ語で "Drucksensor" と呼ぶことから来ている。
; Lジェトロニック
: 吸入された空気量をエアクリーナーとスロットルボディの間に装着したエアフローセンサーで直接計測することで、吸入空気量を基本データとして燃料噴射量を決定する。<br />
:エアフローセンサーは、初期タイプではフラップ式の物が使われていたが、これだと吸気管内での[[抗力|抵抗]]になるため、[[ホットワイヤー]]式や[[カルマン渦]]式のエアフローセンサーが採用されるようになった。<br/>
:吸入空気の脈動による計測誤差が少ないので、気筒数の多いエンジンに採用されることが多い。また、吸入空気を過給する[[ターボチャージャー]]や[[スーパーチャージャー]]を装着させたエンジンにも向いている。<br />
:三元触媒が排出ガス浄化に用いられるようになり、O<sub>2</sub>センサーを用いたフィードバック制御が必要になった時期から急速に発達した。<br />
:名称の "L" は、エアフローセンサーをドイツ語で "Luftmengenmesser" と呼ぶことから来ている。
 
なお二輪車等で排出ガス規制の対象外の車種においては、電子制御式ながら主としてアクセル開度とエンジン回転数から噴射量を決定しており、実際の吸入空気量(質量)を計測していない。
 
== 各自動車メーカーでの呼称 ==
;EFI
* '''EFI''' ( '''E'''lectronic '''F'''uel '''I'''njection ) - [[トヨタ自動車]](マルチポイント式のみ)・[[ダイハツ工業]]・[[ヤマハ発動機]]での呼称。また、[[フォード]]や[[ゼネラルモーターズ|GM]]、[[GM大宇|大宇]][http://jp.youtube.com/watch?v=R2XBHGt51pI]も使用していた。初期の物はフラップ式エアフロメーターを使用していたが、最近の物は圧力センサーを用いたDジェトロニックが主流である。
: ( '''E'''lectronic '''F'''uel '''I'''njection )
** 尚、トヨタ車の場合シングルポイントタイプはCiと呼ばれ、明確に区別される。(後述)
* '''EFI''' ( '''E'''lectronic '''F'''uel '''I'''njection ) - :[[トヨタ自動車]](マルチポイント式のみ)・[[ダイハツ工業]]・[[ヤマハ発動機]]での呼称。また、[[フォード]]や[[ゼネラルモーターズ|GM]]、[[GM大宇|大宇]][http://jp.youtube.com/watch?v=R2XBHGt51pI]も使用していた。初期の物はフラップ式エアフロメーターを使用していたが、最近の物は圧力センサーを用いたDジェトロニックが主流である。
* '''EGI''' ( '''E'''lectronic '''G'''asoline '''I'''njection ) - [[日産自動車]]・[[マツダ]]・[[富士重工業]]。初期の物はフラップ式エアフロメーターを使用していたが、最近の物はホットワイヤー式エアフロメーターが主流である。(日産自動車では、[[日産・ECC]](電子制御キャブレター)からの流れを引き継ぎ、燃料噴射装置を含めたエンジン集中制御システム'''[[日産・ECCS|ECCS]]'''('''E'''ngine '''C'''entral '''C'''ontrol '''S'''ystem)として併記している場合が多い)
** 尚:なお、トヨタ車の場合シングルポイントタイプはCiと呼ばれ、明確に区別される。(後述)
* '''PGM-FI'''('''P'''ro'''G'''ra'''M'''med '''F'''uel '''I'''njection) - [[本田技研工業]]での呼称。採用されていれば[[フォーミュラ1|F1]]から4サイクル50ccまで同一の名称が使用される。
;EGI
* '''ECI-MULTI'''('''E'''lectronic '''C'''ontrolled '''I'''njection-'''Multi''') - [[三菱自動車工業]]での呼称。なおMultiとは、各シリンダーに1つずつ噴射装置が装備されているということを表す。シングルポイントインジェクションの場合単にECIと称していた。初期の頃から独自のカルマン渦流式エアフロメーターを使用し続けていることが特徴である。
*: ( '''EPI'''('''E'''lectronic '''PG'''etrolasoline '''I'''njection)njection -) [[スズキ (企業)|スズキ]]での呼称
* '''EGI''' ( '''E'''lectronic '''G'''asoline '''I'''njection ) - :[[日産自動車]]・[[マツダ]]・[[富士重工業]]。初期の物はフラップ式エアフロメーターを使用していたが、最近の物はホットワイヤー式エアフロメーターが主流である。(日産自動車では、[[日産・ECC]](電子制御キャブレター)からの流れを引き継ぎ、燃料噴射装置を含めたエンジン集中制御システム'''[[日産・ECCS|ECCS]]'''('''E'''ngine '''C'''entral '''C'''ontrol '''S'''ystem)として併記している場合が多い)
* '''ECGI'''('''E'''lectronically '''C'''ontrolled '''G'''asoline '''I'''njection) - [[1970年]]に[[いすゞ自動車]]が日本で最初に開発した自動車用アナログECUによるシステム。最初に採用されたモデルは[[いすゞ・117クーペ|117クーペ]]。
;PGM-FI
* '''DFI'''('''D'''igital '''F'''uel '''I'''njection) - [[川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー]]製の[[オートバイ用エンジン]]及び汎用エンジンに採用されている燃料噴射装置の呼称。
* :('''EMPiP'''ro'''EG'''lectric ra'''M'''ulti-med '''PF'''ointuel '''iI'''njection) - [[富士重工業]]が軽自動車向けのエンジンコントロールシステムを呼ぶ場合に使用している呼称。
* '''PGM-FI'''('''P'''ro'''G'''ra'''M'''med '''F'''uel '''I'''njection) - :[[本田技研工業]]での呼称。採用されていれば[[フォーミュラ1|F1]]から4サイクル50ccまで同一の名称が使用される。
* '''MPFI'''('''M'''ulti-'''P'''oint '''F'''uel '''I'''njection) - 1990年代から[[富士重工業]]が日本国外輸出向け車両のエンジンコントロールシステムを呼ぶ場合に使用している呼称。
;ECI-MULTI
:('''E'''lectronic '''C'''ontrolled '''I'''njection-'''Multi''')
* '''ECI-MULTI'''('''E'''lectronic '''C'''ontrolled '''I'''njection-'''Multi''') -: [[三菱自動車工業]]での呼称。なおMultiとは、各シリンダーに1つずつ噴射装置が装備されているということを表す。シングルポイントインジェクションの場合単にECIと称していた。初期の頃から独自のカルマン渦流式エアフロメーターを使用し続けていることが特徴である。
;EPI
:('''E'''lectronic '''P'''etrol '''I'''njection)
:[[スズキ (企業)|スズキ]]での呼称
;ECGI
:('''E'''lectronically '''C'''ontrolled '''G'''asoline '''I'''njection)
* '''ECGI'''('''E'''lectronically '''C'''ontrolled '''G'''asoline '''I'''njection) - :[[1970年]]に[[いすゞ自動車]]が日本で最初に開発した自動車用アナログECUによるシステム。最初に採用されたモデルは[[いすゞ・117クーペ|117クーペ]]。
;DFI
:('''D'''igital '''F'''uel '''I'''njection)
* '''DFI'''('''D'''igital '''F'''uel '''I'''njection) - :[[川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー]]製の[[オートバイ用エンジン]]及び汎用エンジンに採用されている燃料噴射装置の呼称。
;EMPi
:('''E'''lectric '''M'''ulti-'''P'''oint '''i'''njection)
:[[富士重工業]]が軽自動車向けのエンジンコントロールシステムを呼ぶ場合に使用している呼称。
;MPFI
:('''M'''ulti-'''P'''oint '''F'''uel '''I'''njection)
* '''MPFI'''('''M'''ulti-'''P'''oint '''F'''uel '''I'''njection) - :1990年代から[[富士重工業]]が日本国外輸出向け車両のエンジンコントロールシステムを呼ぶ場合に使用している呼称。
 
== シングルポイントインジェクション ==
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原則として4気筒の場合には4本、6気筒の場合には6本インジェクターが配置されるが、その噴射方式には大きく分けて下記の3種類が存在する。
 
*;同時噴射方式
:全てのインジェクターが同一のECU信号で同時に噴射を行うもの。'''形式こそMPIであるが、動作原理はSPIに近いもの'''である。シリンダーによっては噴射から吸入までややタイムラグが発生する為、当然ながら燃焼制御も大雑把なものとなる。
*;グループ噴射方式
 
*グループ噴射方式
:各気筒の吸入工程に合わせて噴射を行う形式。しかし、4気筒エンジンで2気筒が吸入工程にある場合、'''その2本のインジェクターを同一のECU信号で駆動する'''為、厳密な意味での各気筒独立した制御は行えない。
*;シーケンシャル噴射方式
 
*シーケンシャル噴射方式
:各気筒の吸入工程に合わせて噴射を行う形式で、全てのインジェクターが独立したECU信号で噴射を行うもの。ECUの制御が複雑になり、高価となりがちでもある。
 
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しかし、下記の要件によりエンジンの初期性能は次第に発揮できなくなってくるため、旧式化した車両を維持する際には各項目につき個別のメンテナンスは必要になる。
 
:* [[燃料ポンプ]]やプレッシャーレギュレータの経年劣化による燃圧の乱れ<ref>インジェクター側の開弁時間が同じ時、燃圧が低い程噴射される燃料が減るため、燃圧の低下はエンジンの性能低下に繋がる。逆に燃圧が強すぎる場合は噴射量が増大する為排ガス浄化性能に悪影響を与える。</ref>
:* インジェクター内のフィルター詰まりによる噴射量の低下
:* インジェクターと燃料パイプの接続部のOリング劣化による燃料漏れ<ref>インテークパイプの外部に直接燃料が漏れ出すため、放置すれば車両火災の発生に繋がりかねない。</ref>
:* インジェクターのプランジャーへの異物噛み込みによる燃料漏れ<ref>俗に「後垂れ」とも呼ばれる。軽微な場合でもエンジン停止中の燃料パイプ内の燃圧が次第に低下するため、再始動時に始動不良などに陥ることがある。重度な場合はシリンダー内に燃料が溜まってしまい、クランキング時に[[ウォーターハンマー]]現象を起こしてエンジンの破壊に繋がる恐れもある。</ref>
:* インジェクターのスプレーチップ部の樹脂カバー破損による噴射パターンの乱れ
:* O<sub>2</sub>センサーやエアフロメーターの故障や汚損による噴射制御の乱れ
 
これらの経年劣化のうち、燃料ポンプやエアフロメーターに起因する物はエンジンの始動困難など、その車両の円滑な運行に重大な支障をきたす恐れがある。