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'''誘導放出'''(ゆうどうほうしゅつ, stimulated emission)とは、[[励起]]された状態の[[電子]](あるいは[[子]]他の[[エネルギー準位]]に移る際、外部から加えられた[[電磁波]]などの([[光子]])によってより低い[[エネルギーと同じ相・周波数で]]にうつり、その分のエネルギーを電磁波として放出する現象である。各種とき放出される光子は、外部から入射した光子と同じ[[レーザー位相]]の発振などで応用される、[[周波数]]、[[偏光]]を持ち、同じ方向に進む
誘導放出を利用することで、光を位相や波長の揃えて([[コヒーレント]]に)増幅することができ、[[レーザー]]の発振などに応用されている。
 
誘導放出が起こるには外界の電磁場との相互作用が必要となる点で、'''自然放出([[:en:Spontaneous_emission|spontaneous emission]])'''とは区別される。また、よく似た現象として[[吸光]]現象があるが、こちらは誘導放出とは違い、吸収された光子のエネルギーは、電子を低いエネルギー準位からより高いエネルギー準位へ励起するのに使われる点で異なる。
誘導放出の強さは、外部から加えられたエネルギーの強さに応じて変化する。外部からのエネルギーに関係なく放出されるエネルギーは'''自然放出'''と呼ばれる。
通常の[[熱力学的平衡|熱平衡状態]]の媒質では、低いエネルギー準位にいる電子が高いエネルギー準位にいる電子より数多く存在するために、誘導放出より吸光のほうが起こりやすい。誘導放出を吸光過程より優位に起こすためには、高いエネルギー準位にいる電子を低いエネルギー準位にいる電子より多く分布させる([[反転分布]])必要があり、そのときに限り誘導放出を利用して光を増幅させることが可能となる。そのような媒質をレーザー媒質 ([[:en:Active_laser_medium|active laser medium]]) などと呼ぶ。
 
誘導放出現象は、[[アルベルト・アインシュタイン]]によって、[[量子力学]]の枠組みの中から理論的に発見された。量子力学において誘導放出は光子のやりとり、つまり量子化した電磁場によって記述される。
誘導放出を利用することで、光の[[コヒーレント]]な増幅が可能となり、位相や波長の揃ったレーザー光の発振に用いられる。この際には誘導放出が、自然放出や[[吸光|吸収]]([[誘導吸収]])よりも強く起こるようにする必要がある。たとえば[[半導体レーザー]]などの場合、nm単位の大きさの[[量子井戸]]にエネルギー準位の揃った[[キャリア]]を集中的に注入して[[反転分布]]を形成させ、さらに[[光共振器]]で放出光をフィードバックすることで効率よく発振させる工夫が施される。
 
==応用==
誘導放出は、発光遷移の確率を高めることで[[発光ダイオード]]などの発光効率の向上にも応用できる。このような誘導放出による高効率発光は'''スーパールミネセンス''' (superluminescence) などと呼ばれる。
 
たとえば[[半導体レーザー]]などの場合、[[ナノメートル|nm]] 単位の大きさの[[量子井戸]]にエネルギー準位の揃った[[キャリア]]を集中的に注入することで反転分布を形成していて、さらに効率よく発振させる工夫として、[[光共振器]]で放出光をフィードバックすることなどが施されている。
[[原子]](または[[分子]])における誘導放出現象は、マイクロ波の増幅や、発振器に用いられる。原子周波数標準に用いられる水素[[メーザー]]などが代表的な応用例である。
 
誘導放出は、発光遷移の確率を高めることで[[発光ダイオード]]などの発光効率の向上にも応用できる。このような誘導放出による高効率発光は'''スーパールミネセンス''' ([[:en:Amplified_spontaneous_emission|superluminescence]]) などと呼ばれる。
 
[[原子]](または[[分子]])における誘導放出現象は、[[マイクロ波]]の増幅や、発振器に用いられる。原子周波数標準に用いられる水素[[メーザー]]などが代表的な応用例である。
 
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