削除された内容 追加された内容
m 曖昧さ回避ページへのリンク除去(一部)
1行目:
{{otheruses}}
[[Image:Gem.pebbles.800pix.jpg|right|300px|thumb|表面を研磨したカット前の様々な宝石や[[鉱物]]: 左上から右へ[[トルコ石|ターコイズ]](トルコ石)、[[赤鉄鉱|ヘマタイト]](赤鉄鉱)、[[珪孔雀石|クリソコラ]](珪孔雀石)、[[虎目石|タイガーズアイ]](虎目石)。2段目は[[石英|水晶]](石英)、[[電気石|トルマリン]](電気石)、[[紅玉髄|カーネリアン]](紅玉髄)、[[黄鉄鉱|パイライト]](黄鉄鉱)、[[杉石|スギライト]](杉石)。3段目は[[孔雀石|マラカイト]](孔雀石)、[[紅水晶|ローズクォーツ]](紅水晶)、[[黒曜石|スノーフレークオブシディアン]](黒曜石)、[[紅玉|ルビー]](紅玉)、[[メノウ|モスアゲート]](苔瑪瑙)。4段目は[[碧玉|ジャスパー]](碧玉)、[[紫水晶|アメシスト]](紫水晶)、[[メノウ|ブルーレース]]、[[瑠璃|ラピスラズリ]](瑠璃)。]]
'''宝石'''(ほうせき)とは、希少性が高く美しい外観を有する固形物を言う。
 
8行目:
主に天然鉱物としての無機物[[結晶]]を指すが、[[ラピスラズリ]]、[[柘榴石|ガーネット]]のような数種の無機物の[[固溶体]]、[[オパール]]、[[黒曜石]]、[[モルダバイト]]といった[[アモルファス|非晶質]]、[[珊瑚|サンゴ]]や[[真珠]]のように生物に起源するもの、[[琥珀|コハク]]のように有機物であるもの、[[ジルコニア|キュービックジルコニア]]を代表とする安定化剤という名の添加物を混合した人工合成物質など様々である。
 
古の[[中華文化|中華文明]]圏では、このような石を『玉(ぎょく)』と呼んだが、非透明、あるいは半透明のものだけが珍重され、その中でも[[ヒスイ|翡翠]]が代表的だった。透明なものは『玉』として扱われず、石の扱いであった。例えば[[ダイヤモンド]]を表す漢語は「金剛石」であり、玉ではない。一方で西欧を含む非中華文明圏では、ダイヤモンドに代表される透明な鉱物が宝石として特に珍重された。
 
== 条件 ==
20行目:
 
== 資産価値 ==
鉱物の中で[[金属]]にあたり、希少性が高く化学反応や[[風化]]などによる経年変化が著しく低い鉱物を[[貴金属]]といい、[[金]]、[[プラチナ]]などが該当する。資産としてみた場合、'''換金性、実用用途に関しては貴金属の方が宝石よりはるかに優れている。'''貴金属、とりわけ金は価格算定の根拠となる世界的に通用する評価基準が決められており、[[相場]]や[[市場]]が整備されているのに対し、宝石はダイヤモンドこそ国際的な評価基準ルールや市場、相場が定められているものの、それ以外はどの宝石もその評価基準は厳密ではなく、国や民族によっても大きく異なる。具体的には、翡翠は東アジアの国々では高く評価されるが、欧米での評価はそれほどでもない(欧米で高く売買されるときは、最終的に中国に売り込むことが目論まれている)。[[誕生石]]が国によって異なるのもその辺の事情を物語っている。
 
貴金属は宝飾向け以外に、電気電導性に優れている、著しい展延性を有するので[[金箔|箔]]にしやすい、基本的に錆びないというその特性を生かした工業用途も多々あるが、宝石の工業用途は[[研磨材]]、[[ボーリング]]マシンのロッド、[[切削加工]]工具(バイト)などに使用されるダイヤモンドを除けば非常に限られている。かつては[[レコード]]針(サファイア)や機械式時計の[[軸受け]](ルビー)などがあったが、現在は[[レーザー]]発振媒質(ルビー,人工ガーネット)や[[水晶振動子]]ぐらいしかない。ゆえにダイヤモンドは一見貴金属並みの資産価値が確立されているように思えるが、火災などの高温環境にさらされると損傷を受け、資産価値が損なわれる可能性があるため、資産として保有し続けるには難がある。
61行目:
::鉱物結晶由来の石は、一つの大きな結晶からなる単結晶と、複数の小さな結晶粒が無数に集合して成立する多結晶の二つに大別される。多結晶に分類される石は、その全てが不透明~半透明であり、結晶と結晶の間に隙間を有する([[多孔質]])ため、染料などで染めやすいといった特徴がある。このような多結晶の石を集合体と呼び、構成する結晶粒の大きさにより、それぞれ顕晶質(結晶粒を肉眼で確認できる)、微晶質(結晶粒を顕微鏡下で確認できる)、潜晶質([[直交ニコル]]顕微鏡下でのみ結晶粒が確認できる)と呼んで区別する。
::* 単結晶 - ダイヤモンド、サファイアなどよく知られた透明な鉱物結晶宝石。
::* 顕晶質集合体 - 水晶の群晶([[クラスター]])など。置物などにはされるがあまり装身用のジュエリーにはならない。
::* 微晶質集合体 - アヴェンチュリン、クォーザイトなど。
::* 潜晶質集合体 - カルセドニー(玉髄)、ターコイズ(トルコ石)など。
87行目:
; 天然宝石
: カットや研磨を除き、([[模倣宝石]]に対して)人の手が加わっていない宝石。古くから王侯貴族が所有し、[[西洋の冠|王冠]]などに取り付けられている石、博物館などに収蔵されているものが多く、特に大きな石については[[ホープダイヤモンド]]といった固有名が付けられる。宝石のなかでは確実に資産価値があり、現在でもごくまれに大きなものが産出されるが、種によっては非常に珍しいので高値で取引されることがある。であるが、そのためには合成宝石や処理宝石でないことを証明する専門家の鑑定書などを要する。
: なおどの石にどの程度の資産価値がつくかは石の種類、大きさ、美しさ、来歴(石の産地など)などにより異なる。新鉱山発見などで資産価値が劇的に下がる場合もあるし、逆にニセモノと判明しても[[宝飾品|ジュエリー]]に付けられた石はジュエリーそのものの[[骨董品|骨董]]的、美術的価値が認められればそれほど下がらない場合もありえる。
; 処理宝石
: 天然宝石に外観の改良(エンハンスメント)・改変(トリートメント)処理が加えられた石。天然宝石に含められることが多い。宝石店で宝石として指輪やネックレスのトップに加工され、天然を謳っているものはたいていこの類で、身を飾る目的には合致するが資産価値は乏しい。主な処理には加熱([[石英#色つき水晶|黄水晶]])、電磁波・放射線照射([[トパーズ|ブルートパーズ]])、着色目的を含めたガラスやオイルの含浸(エメラルド)、貴金属類の[[蒸着]]([[アクアオーラ]]など)がある。経年変化や長期にわたる紫外線曝露、ひどい場合は[[超音波洗浄機]]による洗浄で処理前の姿に戻ってしまうことがある。