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'''日本の住宅'''(にほんのじゅうたく)
[[画像:194michinoku folk village3872.jpg|thumb|right|200px|伝統的な農家]]
[[画像:Old okada house03 2816.jpg|thumb|right|200px|伝統的な商家]]
[[画像:Takashimadaira housing development.jpg|thumb|right|200px|現代のマンション群]]
[[画像:Apaato.jpg|thumb|right|200px|現代のアパート]]
日本の[[住宅]]は近年までほとんどが[[木造建築|木造]]([[木造軸組構法]]、在来工法)の[[平屋]]か2階建で、[[畳]]のある部屋([[和室]])を中心に造られてきた。第二次世界大戦後、特に高度成長期以降は、生活スタイルや工法の急激な変化に伴い、住宅も大きく変貌している。生活スタイルとして、和室を造らない場合も多くなっており、工法として、[[集合住宅]](中高層・超高層)では[[鉄筋コンクリート造]]・[[鉄骨造]]のもの、低層の戸建住宅でも鉄筋コンクリート造や[[プレハブ工法]]等のものが多くなっている。
 
本項では、今日一般的になっている洋風の住宅との比較を念頭に、日本の伝統的な住宅(和風住宅)を中心に記述する。
:家具については[[日本の文化#生活|日本の文化(生活)]]を参照。
 
==日本住宅史==
*原始・古代([[竪穴住居]]、高床式住居)
*平安時代には貴族の住まいとして[[寝殿造]]が成立した。庶民の住居は相変わらず竪穴住居が主流であった。
*鎌倉時代の武士の住まいは[[武家造]]と呼ばれることもあるが、今日では[[書院造]]の初期形式と考えられている。
 
===上層の住宅===
今日の和風住宅の原型が成立したのは鎌倉時代から室町時代にかけてである。鎌倉時代の鎌倉では、急速な都市化の結果、それまでの地方武士住宅の接客室であったデイが変化して、「座敷」と呼ばれる接客室が成立した。これが和室の原型となるが、当時は広い部屋ではロ字型に畳を敷いており、敷き詰めてはいなかった。その後、[[東山文化]]の時代(応仁の乱前後)になると[[足利義政]]の邸宅内の建物であった銀閣寺の東求堂のように、畳を敷き詰め、[[障子]]戸を用い、[[床の間]]などの座敷飾りが造られた[[書院造]]と呼ばれる様式が生まれた。
 
[[織田信長]]による天下統一は、住宅史上も画期になったと考えられる。信長の[[安土城]]や、[[豊臣秀吉]]の[[大坂城]]などで、身分の序列を著し権力者の威厳を示すため、安土桃山風と呼ばれる豪華な書院造が完成した。家臣は城下町に住むよう命じられ、[[狩野永徳]]の[[洛中洛外図]]屏風などから、都市建築([[町屋]]、[[武家屋敷#侍屋敷|侍屋敷]]など)も発達してきたことが伺える。書院造は、江戸時代を通じて武家住宅および上層民家の様式として使用された(床の間のある座敷を持つことが身分の指標となった)。
 
一方で、江戸時代初期には[[茶室]]の要素を採り入れた、いわゆる[[数寄屋造り]](数寄屋風書院)の住宅も生まれ、別荘や一部の町屋に用いられた。
 
===庶民の住宅===
中世の絵巻物などに見る庶民の町屋はまだ非常に簡素なものが多かったが、江戸時代に入ると、庶民の住宅も次第に発達していった。大まかに言えば、関西の住宅の方が質が高く、次第に関東にも広まっていった。近世初期、関東で一般的な農民の住まいは、土間に囲炉裏を作り、床にむしろなどを敷くようなものも多かった。工法も掘立柱を立て、茅で屋根や壁を葺くものであった。
 
農家も次第に発展し、土間を台所や作業場などに使い、床を造り食事や就寝のための部屋が造られていった。工法も礎石の上に柱を据え、梁を複雑に組み合わせて造るように変わり、高い技能を持った職人が建設するものになった。ただし、土壁や[[茅葺]]屋根は家族や集落の仲間と共同で造ることも多かった。江戸時代後期以降、「田の字型」の間取りが広く普及していった。この間取りは結婚、葬儀など人が集まる行事に使うことを意識したもので、用途に合わせてふすまを開け閉めして用いた。今日、伝統的な民家として民家園などに保存されているものは、「田の字型」のタイプが多い。
 
江戸時代には贅沢を諌めるため、床の間や瓦葺屋根などは制限されていた。武士の住まいでは、式台、床の間が許され、農家でも名主クラスだと床の間が許される、といったように身分による統制が行われていた。ただ、防火のため瓦葺屋根が奨励されたり、義務付けられた町もある。
 
===近代の住宅===
明治時代になると建築に関する封建的な規制もなくなり、資力に応じて住宅を造るようになった。欧米から伝来した西洋建築に対し、日本在来の伝統的な様式を踏まえた建築は'''和風建築'''としてまとめられるようになる。大工道具の質も上がり、[[明治宮殿]]建設などの大規模な公共事業を通して職人の交流も活発になったことなどで、建築の質は全体に向上していった。
 
明治時代には、他の分野と同様に住宅においても「近代化=西欧化」の動向が進むが、実際に洋風の住宅([[西洋館]])を建てるのは、政治家、実業家など限られた階層の一部の者に限られ、その場合でも、ふだんの生活は併設された和風住宅で行う場合が多かった。明治後期から昭和初期の富裕層により立てられた住宅建築は、当時の日本の豊富な木材と職人の高い技術に支えられ、最も優れた品質を持っている。
 
大正時代以降、サラリーマン、都市知識人ら都市部の中流層が洋風の生活に憧れ、一部洋風を採り入れた和洋折衷の[[文化住宅]]が都市郊外にも多く造られるようになった。しかし、家の中では靴を脱ぎ、畳でくつろぐといった生活スタイル自体はほとんど変わらなかった。これは関東大震災後のモダンな[[集合住宅]]である[[同潤会アパート]]や、都心部の店舗兼住宅([[看板建築]])でも同じである。
 
=== 現代の住宅 ===
第二次世界大戦中の[[空襲]]で、都市部では住宅が大量に失われた。戦後、住宅難の中で質の低い[[バラック]]が大量に建設され、公団住宅など、大量供給型の住宅が造られた。合理的な生活を目指して[[ダイニングキッチン]]などが新たに工夫された。戦前の住宅は農家でも町屋でも、生業と結びついた職住一致のものが多かったが、戦後は[[サラリーマン]]の増加により、職住分離の方が主流になっている。
 
高度経済成長期に入ってからも住宅需要の増加は続き、木材資源の逼迫のなかで安価な住宅を大量に供給することが求められ、[[モルタル]]や[[合板]]の利用が激増した。日本のふんだんな木材と,高い技量の大工に支えられていた伝統工法は、[[筋交い]]や金物(ボルト・ナットなど)を用い、使用する木材量が少ない在来軸組工法に取って代わられ、都市部の住宅の品質や職人の技量は全体的に低下していく。
 
1970年代からは[[プレハブ工法|プレハブ住宅]]が普及し、住宅の工業製品化が進んだ。[[鉄骨構造]]や[[鉄筋コンクリート]]の住宅が増え、木造軸組工法の住宅にも[[プレカット]]材が使われるなど、近年の日本の住宅は伝統的な工法からは大きく隔たったものになっている。
 
1960年に木材の輸入が自由化されてからは、扱いに相応の技能が要求される国産材はしだいに敬遠されがちとなり(乱伐により良質な国産材資源が枯渇したこともある)、安易に施工できる輸入木材が主に使われるようになった。
 
今日では洋風の住まいが普及し、日本の生活習慣は欧米の影響を強く受けた形に変化した。欧米からの[[輸入住宅]]も少なくない。建材としては、従来の日本建築には欠かせなかった[[漆喰]]や[[藁]]、[[和紙]]などはあまり用いられなくなり、[[窯業系サイディング材|サイディング]]や[[サッシ|アルミサッシ]]、[[コンクリートブロック]]、石膏ボードなど1960年代以前にはなかった[[建築材料]]が多く用いられる。これに伴い住宅の高気密化や品質の均一化が進んだが、[[シックハウス症候群]]などの問題も発生している。かつて(近代以降)床の間のない家というのはよほど粗末な住宅以外には考えられなかったが、新築の家は、和室はあっても床の間がない場合が多くなっている。
 
==住宅の種類==
*日本の住宅の種類には[[一戸建て]]、[[集合住宅]]([[マンション]]、[[アパート]]、[[団地]]、[[公団住宅]])、[[長屋]]、[[文化住宅]]などがある。
*住宅の集まりを指して[[集落]]、部落、[[地区]]などと言う。
*古くからの習慣で、住居が建っている場所や住人の職業などで区別して[[商家]]、[[町家]]、[[農家]]などとも言う。
 
==住居の構成・間取り==
*[[屋根]]([[茅葺き]]、[[瓦]]、[[トタン]])
*[[天井]]、天井裏
*[[基礎]]
*[[柱]]、[[梁 (建築)|梁]]、[[鴨居]] [[大黒柱]]、床柱
*[[床]](板の間、[[むしろ]]、[[畳]]、[[土間]]、[[フローリング]])
*[[壁]](砂壁、土壁、板壁、[[漆喰]]、羽目板)
*建具([[窓]]、[[襖]]、[[障子]]、板戸、[[雨戸]])
*[[玄関]](たたき、式台、[[下駄箱]]、[[靴箱]])
*[[階段]]、箱階段、螺旋階段、非常階段、はしご
*[[部屋]]([[寝室]]、[[床の間]]、[[居間]]・[[リビング]]、[[浴室]]・[[バスルーム]]、[[台所]]、[[便所]]・[[便所|トイレ]]、地下室)
*[[収納]]スペース([[押入れ]]、[[納戸]]、[[蔵]]・倉、物置、クローゼット、ウォークイン・クローゼット)
*[[床の間]]
*[[民家]]、[[合掌造]]、[[町屋 (商家)|町屋]]、[[長屋]]
 
==屋外==
*[[塀]]・[[垣]]([[レンガ塀]]、[[石塀]]、[[石垣]]、[[土垣]]、[[生垣]]、フェンス、ブロック塀)
*[[日本庭園]]([[庭石]]、[[借景]]、[[枯山水]])
*[[縁側]]、[[縁台]]、飛び石、手水(ちょうず)、灯籠
*[[池]]、[[堀]]
*[[盆栽]]、[[華道]] 
 
==その他==
*住居に関する単位
**[[間]]、[[畳 (単位)|畳]]、[[坪]]、[[平方メートル|平米]]、[[ダイニングキッチン|DK]]、LDK
*住居に関する祭事
**[[地鎮祭]]、[[上棟式]]
 
==備考==
*[[日本統治時代]]を経験した[[日本統治時代 (台湾)|台湾]]、[[日本統治時代の朝鮮|朝鮮]]、[[樺太]]といった地域では、現在でも日本家屋が存在する。
 
==関連項目==
*[[住宅]]
*[[民家]]
*[[重要伝統的建造物群保存地区]]
*[[四国村]](四国民家博物館)
*[[西山夘三]]
*[[今和次郎]]
*[[太田博太郎]]
*[[建築史]] - [[日本建築史]] - [[日本近代建築史]]
 
==外部リンク==
*[http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2003/index.htm 平成15年住宅・土地統計調査]
*[http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/dspace/handle/2237/11872 日本住居の変遷と家庭の生成]
 
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{{日本関連の項目}}
{{DEFAULTSORT:しゆうたく}}
[[Category:住宅|にほん]]
[[Category:日本の住宅の歴史|*]]
[[Category:日本の建築史]]
[[Category:日本の文化史]]
[[Category:日本の社会史]]
 
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[[es:Casa en Japón]]
[[fr:Habitat japonais]]
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