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『'''パンセ'''』({{lang-fr-short|''Pensées''}})は、晩年の[[ブレーズ・パスカル]]がある書物を構想しつつ書きつづった断片的なノートを、彼の死後に編纂して刊行した遺著である。「パンセ」は「思想」「思考」の意。
 
== 概要出版とジャンル ==
『パンセ』初版の正式題名の和訳は、『宗教および他のいくつかの問題に関するパスカル氏の諸考察 — 氏の死後にその書類中より発見されたるもの』。初版であるポール・ロワイヤル版は[[1669年]]に印刷され、[[1670年]]に発刊された。編者により収録される断片に異同があるため数種の『パンセ』が存在し、断章番号はそれぞれで異なる。ブランシュヴィク版、[[ビブリオテーク・ナショナル|パリ国立図書館]]蔵の自筆原稿集、第一写本、第二写本、ポール・ロワイヤル版、ラフュマ版などの各版があり、現在でも新たな編集の試みが続けられている。日本では、これまでに『瞑想録』などの和訳題名により紹介された。
 
『パンセ』全体は様々なジャンルに属する、と人々から見なされてきた。傑出した知性による思索の書、人生論、[[モラリスト]]文学、宗教書、等々。もともとパスカルの意図としては、護教書執筆の構想があり、それの材料となる断片を書きためていたらしいということが諸研究により次第に明らかになってきた<ref>塩川徹也『パスカル『パンセ』を読む』岩波書店</ref>。もっとも、それを踏まえたとしても『パンセ』はその思索・思想の奥深さと、つきつけてくるテーマの多様性と鋭さなどにより、やはり護教書に留まるものではないと見なされている。人間の[[欲望]]の構造、個人と[[共同体]]の問題、他者の存在によって想像的な自我が生ずること、認識と視点・[[言語]]との関係、テキスト[[解釈]]と[[暗号]]の問題、等々の重要で深遠なテーマが扱われており、特定の思想的・宗教的な立場を超えており、現代でもそのテーマの重要性は変わっていない。それゆえ現代でも世界中の人々によって読み継がれているのである。
 
== 箴言 ==
『パンセ』は[[格言|箴言]]を多数含んでいることでも知られている。例えば「'''人間は考える葦である'''」という有名な言葉も『パンセ』の中にパスカルが残した言葉である<ref>roseau pensant, ブランシュヴィク版断章No.347</ref>。正確には「人間はひとくきの葦にすぎず、自然の中で最も弱いものである。しかし、考える葦である」がおおよその訳である。「[[ヨシ|葦]]のように人間はひ弱なものであるが、思考を行う点で他の[[動物]]とは異なっている」という事を示す言葉と言われている。