「アルティメット・ゾーン・レーティング」の版間の差分
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== 算出方法 ==
'''概要'''
UZRの算出においては、まずグラウンドを多数の「ゾーン」に区分し、各ゾーンについて発生した打球の種類(バント・ゴロ・ライナー・フライ)や速度(遅い・中間・速い)を記録する。そしてそれぞれのゾーンにおいて生じた特定の種類の打球についてリーグ全体でどれだけのアウトが記録されたかを算出する。
このデータを基に、個別の野手のプレーを評価し、各種の補正を合わせて「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を計算する。
'''プラス評価'''
上記のような情報を基礎として、UZRが打球ごとに野手を評価する具体的な方法は次の通りである。
例として、平均的には15%の割合で中堅手がアウトにし、10%の割合で左翼手がアウトにし、残りの75%はヒットになるような外野へのライナーを考える。この打球について、仮に中堅手が捕球しアウトを成立させたなら、通常は25%しかないアウトの見込みを100%にしたものとして中堅手は100%と25%の差分である0.75「プレー」の評価を得る。
さらにUZRは守備の評価を得点の単位により行うため、プレー数の評価に得点価値を掛け合わせる。一般的な外野への安打はチームの失点を約0.56点増やす。また、アウトは失点を約0.27点減らす。すなわち、ヒットになるはずだった打球をアウトにする働きは守備側チームの失点の見込みを0.83点減らすことになる。プレー数0.75に得点価値0.83を乗じた0.6255点が、当該中堅手がそのライナーをアウトにしたことによって「防いだ失点」となる。
'''ボールの独占の問題への対処'''
ここで、左翼手は典型的にはその打球を10%アウトにする見込みがあったわけであるが、中堅手が捕球したからといってマイナス評価を受けるわけではない。UZRにおいては、打球がいずれかの野手によってアウトにされて他の野手がマイナス評価を与えられることはない。これは「ball-hogging(ボールの独占)」の影響を避けるためである。
このような取り扱いを行わなければ、左中間や右中間に飛んだ(どちらの外野手でも捕球できるような)緩い打球を中堅手が積極的に捕りに行く傾向がある外野陣では、左翼手と右翼手が不利になってしまう。当然この方式では打球を独占する選手は若干有利になるが、どちらの選手でも捕球できるような易しい打球はそもそも平均的にアウトになる割合が高く、捕球したところで得られるプラス評価の値は小さい。例えば通常90%アウトになる打球を捕球しても(1から0.9を減じて0.83を掛けた)0.083点のプラスにしかならない。
'''マイナス評価'''
仮に上記で例とした打球がヒットになった場合、中堅手と左翼手が共にマイナス評価を受ける。この際、まずヒットの発生によってどれだけの損害を被るかを計算する。通常25%はアウトになる見込みだったのだから、アウトにできなければ通常に比べて0.25プレーの損失が生じたことになる。
そしてUZRではこの0.25プレーの損失を、責任を持つ守備位置で分配していく。通常、左翼手がアウトにする見込みが10%、中堅手が15%であるから、左翼手は通常なら発生されるべきだったアウトについて40%(10/25)の、中堅手は60%(15/25)の責任を負う。すなわち、左翼手は0.25プレーの40%で0.1プレー、中堅手は0.25プレーの60%で0.15プレーのマイナスである。打球の得点価値は前述したように0.83点であるから、もし打球がヒットになれば、左翼手は0.1プレーに0.83点を乗じた0.083点、中堅手は0.15プレーに0.83点を乗じた0.123点だけチームの失点を増加させたとしてマイナス評価される。つまり、UZRでは、一般的にその守備位置の選手がアウトを成立させるべき打球をアウトにできなかったときにマイナス評価が与えられるのである。
'''評価の総合'''
UZRでは上記のようにして全ての試合で生じた各打球について関連する守備者にプラスとマイナスの評価を与えていき、その値を選手ごとに合計したものがUZRの最終値となる。実際の算出では上記の基本的なロジックに加えて打球が発生した際の走者状況やアウトカウント、プレーした球場などの要素を加味した補正が行われる。
== UZRの注意点 ==
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