「シャープレス不斉ジヒドロキシ化」の版間の差分

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1980年に[[バリー・シャープレス]]らは四酸化オスミウムによりアルケンを酸化する際に[[キニーネ]](キニン)の誘導体であるジヒドロキニン(DHQ)またはジヒドロキニジン(DHQD)を加えると光学活性なジオールが得られることを報告した。
しかしこの反応は当量反応であり、高価な四酸化オスミウムやキラルなアミンを多く使用する必要があった。
バリー・シャープレスらはさらに検討を行ない、1992年に[[ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム]]を共酸化剤とし、キラルなアミンとしてビス(ジヒドロキニニル)フタラジン((DHQ)<sub>2</sub>PHAL)またはビス(ジヒドロキニジニル)フタラジン((DHQD)<sub>)2</sub>PHAL)を使用することで、多くのアルケンから高い光学純度のジオールが得られる[[触媒]]的不斉オスミウム酸化の手法を確立した。
 
四酸化オスミウムの還元体であるK<sub>2</sub>OsO<sub>2</sub>(OH)<sub>2</sub>およびヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、炭酸カリウムと(DHQ)<sub>)2</sub>PHALとの混合物が'''AD-mix-&alpha;'''、(DHQD)<sub>)2</sub>PHALとの混合物が'''AD-mix-&beta;'''の名(ADはAsymmetric Dihydroxylationの略で&alpha;と&beta;は後述する[[エナンチオ選択性]]を意味している)で[[試薬]]として市販されており、これを水/tert-ブチルアルコール溶液とした後、基質となるアルケンを添加するだけで容易にこの反応を行なうことができるようになっている。
末端以外のアルケンではメタンスルホンアミドを添加すると反応を加速する効果がある。
 
この反応は通常の四酸化オスミウムによる酸化と同じく2つの[[ヒドロキシ基]]はsynの[[立体配置]]で導入される。
[[エナンチオ選択性]]は次のように予測できる(ただし例外もかなりある)。
基質となるアルケンを4つの置換基を以下の規則にしたがって描く。
*もっとも立体的に小さい置換基を右下側に描く。
*もっとも立体的に小さい置換基が複数ある場合、左上側になるべく立体的に小さい置換基が来るように描く。
*このようなき方が2つある場合、もっとも立体的に大きい置換基が左下側に来るように描く。
このとき、(DHQ)<sub>)2</sub>PHALでは二重結合の手前側(&alpha;面)からジヒドロキシ化が起こり、(DHQD)<sub>)2</sub>PHALでは二重結合の奥側(&beta;面)からジヒドロキシ化が起こる。
 
なお、この反応においてN-ハロゲノスルホンアミダート、例えばナトリウムN-クロロ-p-トルエンスルホンアミダート(クロラミンT)などを添加すると導入されるヒドロキシ基のうち一方が置換アミノ基(クロラミン-Tの場合にはp-トルエンスルホンアミド)に置き換わる。
この変法は'''シャープレス不斉アミノヒドロキシ化'''と呼ばれている。
 
[[en:Sharpless_bishydroxylation]]
 
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