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[[File:Cyclone Catarina from the ISS on March 26 2004.JPG|thumb|right|220px|南大西洋の[[サイクロン・カタリーナ|熱帯低気圧]]([[2004年]][[3月26日]])]]
[[File:Low pressure system over Iceland.jpg|thumb|right|220px|アイスランド南西沖の[[寒冷低気圧]]([[2003年]][[9月4日]])]]
'''低気圧'''(ていきあつ、[[英語]]:low{{Lang-en|low pressure)pressure}})とは、周囲より[[気圧]]の低い部分をいう。周囲より気圧が低いと定義されるので、中心気圧が1気圧(1013 (1013[[ヘクトパスカル|hPa]]) より高い低気圧も珍しくない。冬季に[[シベリア高気圧]]の圏内に発生する低気圧の中には1030hPa以上のものもしばしば見られる。
 
一般に、低気圧は[[雲]]を伴い、[[雨]]や[[風]]をもたらす。
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[[熱帯]]の海洋上で発生する低気圧を、[[熱帯低気圧]]という。成因も構造も温帯低気圧とは異なる。
 
熱帯低気圧は、海水面温度が高く(26–27℃) (26–27°C)、転向力のある程度大きい北緯(南緯)5–25°の範囲で発生する。
 
熱帯の大気は通常条件付き不安定な状態にあり、海水面温度が高い海域では蒸発が盛んに行われるため、上昇気流が起きやすい。一方、低緯度では中緯度高気圧([[亜熱帯高気圧]])から吹き出す[[貿易風]]が恒常的な東風となっているが、その東風の中にしばしば波動が生じる。これを偏東風波動と呼び、この部分は渦度を生じて周囲から渦状に空気が流れ込み、強い上昇気流が起きて気圧が低くなり、積雲や積乱雲が発達する。上昇気流により雲ができて水蒸気が持っていた熱が大気中に放出され、上空の空気の温度が高くなると、このサイクルがますます加速され、低気圧が発達する(第2種条件付不安定・CISK)。
 
北西太平洋域(北半球の東経100-180°)において熱帯低気圧の域内最大風速が17.2m/s(34kt)s (34kt) を超えると[[台風]]となる。北大西洋及び北東太平洋(北半球の西経180度以東)では[[ハリケーン]]、南北インド洋や南太平洋では[[サイクロン]]と呼称されるが、台風と同じ熱帯低気圧である。台風がさらに発達するためには、海水温が 28℃以上の海域を通過することが重要だとされる。熱帯低気圧は温帯低気圧に比べて規模が小さく、1000hPaの等圧線半径も600kmを越える事は少ないが、特に中心付近で気圧傾度が大きくなっているため猛烈な暴風を伴う。
 
熱帯低気圧による最低気圧の世界記録は、[[1979年]][[10月12日]]、[[昭和54年台風第20号|台風第20号]]において沖ノ鳥島南南東海上でアメリカ軍の気象観測機により実測された870hPaである。
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一般に寒冷低気圧は地上天気図では明瞭ではなく前線を伴わない小低気圧として描かれるか、大陸上では低気圧が確認できないことが多いが、高層天気図においては寒気を伴う非常に顕著な渦として描かれる。
 
寒冷低気圧の通過の際は大気が非常に不安定となるため、特に、暖かい海域にさしかかると[[積乱雲]]が発達して激しい雷雨や[[集中豪雨]](冬季は大雪)をもたらすことがある。また、レーダー上には顕著なスパイラルバンドが見られる場合もある。寒冷低気圧は偏西風の流れから切り離されているため動きが遅く悪天候が数日間続く。このことから「雷三日」という言い習わしがある。
 
冬季に日本列島の上空を通過すると、日本海側で大雪になりやすい。稀に関東平野など太平洋側にもに雪をもたらすことがある。
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== 爆弾低気圧 ==
'''爆弾低気圧''' ("bomb" cyclone<ref>[http://www.usatoday.com/weather/tg/wnoreast/wbombs.htm Bomb cyclones ravage northwestern Atlantic] Jack Williams、USATODAY、[[2005年]][[5月20日]]。</ref><ref>[http://amsglossary.allenpress.com/glossary/search?id=bomb1 bomb] Glossary of Meteorology、アメリカ気象学会、[[2012年]][[4月22日]]閲覧。</ref>) とは、急速に発達し、熱帯低気圧(台風)並みの暴風雨をもたらす温帯低気圧を指す俗語。[[1980年]]に[[マサチューセッツ工科大学|MIT]]の気象学者フレデリック・サンダース(Frederick Sanders)(Frederick Sanders) らが提唱<ref>{{Cite journal|authors=Sanders, F. and Gyakum, J. R.|year=1980|title=Synoptic-Dynamic Climatology of the "Bomb"|journal=Monthly Weather Review|volume=108|issue=10|pages=1589-1606|doi=10.1175/1520-0493(1980)1080493 (1980) 108<1589:SDCOT>2.0.CO;2}}</ref>して以降、様々な気象学者がその定義や解析を試みているが、「12時間以上<ref>主に12時間や24時間が用いられる。</ref>にわたって中心気圧が1時間あたり1hPa以上低下した温帯低気圧」を指すことが多い。高緯度であるほど発生頻度が高い傾向にあるため、高緯度ほど[[コリオリの力]]の増大により[[地衡風]]の風速が増すことを利用して、時間あたりの低下気圧に(sinφ (sinφ/sin60°) を掛けて緯度補正を行う定義も用いられることがある。日本の[[気象庁]]は、予報用語としては用いず「'''急速に発達する(した)低気圧'''」などと言い換えることと定めている。[[日本放送協会|NHK]]では、前記のほか「'''猛烈に発達する(した)低気圧'''」などと表現する事もある。[[読売新聞]]は[[2013年]]1月に「爆弾低気圧」を「'''猛烈低気圧'''」に言い換える事を記載した<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qanational/20130219-OYT8T00672.htm? 爆弾低気圧は“禁止語”ですか。 - 読売新聞]</ref>。
 
なお、熱帯低気圧は発達のメカニズムこそ温帯低気圧とは異なるが、このような急発達は普通のことであるため特に爆弾低気圧と呼ぶことはない。
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== 名称 ==
[[2002年]]、[[ベルリン自由大学]]気象研究所が、高気圧や低気圧の[[命名権]]の販売を開始した。[[徳島県]][[徳島市]]在住の団体職員兼[[気象予報士]]の男性が、[[日本人]]として初めて購入した。購入者は自分自身の名を低気圧に命名し、[[2005年]]秋、[[日本人]]名をつけた史上初の低気圧「タカシ(TAKASHI) (TAKASHI)」が誕生した。
 
== 参考文献 ==
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== 外部リンク ==
{{Commonscat|Low pressure systems}}
* 小倉義光、隈部良司、西村修司 「お天気の見方・楽しみ方(11): (11):「台風並みに発達した」低気圧-2007年1月6日の場合」 『天気』 54巻7号、pp.663-669、[[2007年]][[7月31日]]、{{NAID|110006386572}} - 爆弾低気圧に関する解説
 
{{気象現象}}