「核抑止」の版間の差分

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戦争抑止については核兵器保有国と非保有国との間で成り立つと考えられた。これは[[冷戦]]初期の[[アメリカ合衆国]]のみが核保有国だったころに強い支持を受け、事実、核戦力一辺倒に傾倒し、[[朝鮮戦争]]においては兵力に不自由するほどの通常戦力の減勢を行った。
 
[[ソビエト連邦]]が[[原子爆弾|原爆]]実験に成功して以降、米ソは核戦争に撃ち勝つ(国家を破滅させうるだけの)核戦力を構成することに努力が払われたが、米ソ双方の核戦力が相互の国家を破壊できるだけの質量を整えた[[1960年代]]以降は、いかに国家の破滅に至る核の使用をためらわせる軍事的経済的状況を維持するかにシフトした。この状況においては必ずしも戦争の抑止は目的とされず、また戦術分野にカテゴライズされた核兵器の使用を否定することにもならない。
 
[[1960年代]]、[[早期警戒衛星]]の配備で、米ソは相手の[[核ミサイル]]発射をより早く的確に察知できるようになった。これにより敵の核ミサイルが着弾する前に報復核攻撃を決断することが可能になった。
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核兵器も通常兵器も、軍事力による戦争抑止と言う意味では手段に過ぎないため、手持ちの戦力をいかに有効に抑止力に転化させるかという観点から、核抑止理論も[[大量報復戦略]](ニュールック戦略、1954年)、[[柔軟対応戦略]](Flexible Responce Strategy、[[1961年]])、[[損害限定]](Damage Limitation、[[1964年]])、[[相殺戦略]](Countervailing Strategy、[[1980年]])、[[戦略防衛構想]](Strategic Defense Initiative, SDI、[[1983年]])など、時代や技術の変化を受ける。
 
[[ソ連崩壊|ソビエト連邦崩壊]]の直後から[[ロシア|ロシア連邦]]の政治的経済的安定が図られた21世紀までの間に、旧ソビエト連邦の核関連技術の流出があり、さらには米国の一極化への対抗から[[中華人民共和国]]が支援した事もあり、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]、[[パキスタン]]、[[イラン]]における核拡散が発生した。これらは従来の米ソ二極対立における核抑止とは別の核保有・核兵器使用の動機となるため、別種の対策が必要となる。
 
== 核抑止が成立しない場合 ==
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=== テロリストの核 ===
:現在、米国で非常に重要視されている問題。国家と違って'''[[テロリズム|テロリスト]]には報復核攻撃されて困る都市がない'''ので、世界最強の米国の核戦力を持ってしても、弱小国家以下の存在である'''テロリストが米国や同盟国の都市で核兵器を爆発させることを抑止できない'''というパラドックスである。核抑止は喪失の脅迫で効果を得るので、喪失するものがない非対称な相手には効きにくいともいわれる。[[アメリカ同時多発テロ事件|9.11事件]]を経験した米国は反米国家が反米テロリストに核兵器を譲渡するのを大変恐れており、核兵器の製造国特定技術の研究を行っている。{{要出典|date=2011年10月}}北朝鮮の核保有に容認的で「核保有は北朝鮮の主権の問題」と主張する米民主党員でさえも、[[ジョージ・W・ブッシュ|ブッシュ]]政権が北朝鮮に発した「テロリストに核を譲渡したら地球上から消滅すると考えよ」という警告は支持している場合が多い。{{要出典|date=2011年10月}}
 
=== 敗亡寸前の国家の核 ===
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== 不確実性による抑止の有効論 ==
米国(又はロシア)が本当に核兵器によって反撃してくれるかという「拡大抑止」問題を[[ゲーム理論]]でとらえると、米国自身を含めて関係当事国のすべてが「米国が核によって反撃するかしないか」本当の答えを知らない、または起こってみないとわからないという点では、充分またはある程度の抑止になっているといえる。つまり、米国が核による反撃を行なえばそれを受ける国は壊滅的な被害が予想されるので、そのようなリスクに賭ける選択、つまりこの場合は米国の同盟国を核攻撃するという選択は、期待値としてのデメリットが大きいため、選択肢から外される。
 
<!-- 核の傘理論と直接関係があるとは思えないのでコメントアウトしました。
中国や北朝鮮の対米核投射能力への努力を指して、彼らが従来持たなかった能力を獲得したのだからアメリカの報復のハードルは高くなる、または行えない、というのも間違いである。中国や北朝鮮以前から、アメリカはソビエトという同じ土俵にいるプレイヤーとの恫喝合戦をやってきたのだから、ここで中国や北朝鮮が「西海岸を核攻撃する」と言ったところで損害や失うべき威信といった自国の保持しなければならない勝利条件が変わるわけではない。近代化や勢力拡大を行ったと言ったところで、旧ソビエトより貧弱な核戦力しかない。
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*[[2009年]][[2月2日]]、朝鮮人民軍総参謀部は朝鮮半島非核化について「核兵器を保有する当事者が同時に核軍縮を実現する道しかない。南朝鮮での核兵器生産と搬入、その配備と利用、南朝鮮とその周辺地域で我々に加えられるすべての核脅威に対する根源的な清算を目標とする朝鮮半島全域の非核化である」などの見解を表明する<ref>[http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2009/02/02/0300000000AJP20090202004000882.HTML 北朝鮮軍参謀部、核保有国間の「核軍縮」を主張] 聯合ニュース 2009/02/02</ref>。
 
<!-- コメントアウトに異議のある方はノートにて提起を== 核抑止力を有効的に使った例 ==
=== 北朝鮮 ===