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大腸の主要な機能は食物の難消化性成分、いわゆる[[食物繊維]]の[[発酵]]と水分および塩分の吸収である<ref name=BogartOrt102 />。大腸が分泌する[[アルカリ性]]の大腸液には[[消化酵素]]が含まれず、これは粘液として大腸壁の保護や内容物の輸送を促す作用を担う<ref name=Sato134 />。その代わり、大腸内での物質の分解は[[大腸菌]]を始めとする常在菌が行う。これらは[[発酵]]作用を通じて物質を吸収可能な[[電解質]]まで変換させる。その過程で[[酪酸]]や[[酢酸]]また[[メタン]]などの[[ガス]]が生じる。またアミノ酸の分解において[[アミン]]類の[[インドール]]や[[スカトール]]なども生じ、これらが排泄物の臭いの一因となる<ref name=Sato134 />。
 
小腸では栄養素を吸収しても、小腸組織の代謝には流用されずに即座に門脈によって運び去られ、小腸自体の組織は動脈血によって供給される栄養素によって養われる。{{要出典範囲|date=2012年10月|しかし、大腸の組織の代謝にはこの発酵で生成されて吸収された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源として直接利用され、さらに余剰部分が全身の組織のエネルギー源として利用される。
 
しかし、大腸の組織(大腸上皮細胞)の代謝にはこの発酵で生成されて吸収された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源として直接利用され、さらに余剰部分が全身の組織のエネルギー源として利用される。ウマなどの草食動物ではこの大腸で生成された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源になっているが、ヒトでも低カロリーで食物繊維の豊富な食生活を送っている場合にはこの大腸での発酵で生成された短鎖脂肪酸が重要なエネルギー源となっている<ref>{https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1996/46/10/46_10_1205/_pdf 短鎖脂肪酸の生理活性}、坂田隆ほか、日本油化学会誌第46巻第10号(1997)</ref>。また、腸内細菌の活動によって生成される[[ビタミン]]があることも知られている<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/62/3/62_3_165/_pdf トータルダイエット調査による東京都民のビオチン,ビタミンB6,ナイアシンの一日摂取量の推定]齋東由紀、牛尾房雄、栄養学雑誌Vol.62 No.3 165~169(2004)</ref><ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/7/1/7_1_8/_pdf 四訂日本食品標準成分表のフォローアップ「日本食品ビタミンK・B6・B12成分表」について]前川昭男、日本食生活学会誌Vol.7No.1(1996)</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=鷹觜テル |title=食生活と長寿に関する研究-2-長寿村棡原地区の食物繊維(D.F)の摂取を中心として |date=1981-10 |publisher=岩手大学教育学部 |journal=岩手大学教育学部研究年報 |volume=41 |number=1 |naid=120001123398 |pages=109-137 |url=http://hdl.handle.net/10140/1335 |ref=harv}}</ref>。
 
吸収された発酵産物や水分は[[門脈]]を経由して[[肝臓]]で処理されるが、[[直腸]]下部の静脈は[[門脈]]を経由しないので[[肝臓]]での処理を免れ、直接[[下大静脈]]に注いで全身を巡る。[[坐薬]]が早くよく効くのはこのためであり、経口投与に難がある薬剤の投与にも用いられる<ref name=Sato134 />。