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'''学術雑誌'''(がくじゅつざっし ''Academic journal'')は、主として[[研究者]]の執筆した[[論文]]を掲載する[[雑誌]]。学術分野に応じて極めて多くのタイトルが発行されているが、読者はそれぞれの分野の[[専門家]]が中心であるため、一般[[書店]]に置かれることはあまりない。'''学術ジャーナル'''<ref>[http://japan.elsevier.com/efi/scopus.html?s_kwcid=TC|13780|%E5%AD%A6%E8%A1%93%7C|S||6869367114]</ref>、'''学術誌'''<ref>日本学術会議事務局『全国学術研究団体総覽』1988、p.323</ref>、とも。[[自然科学]]分野における学術雑誌は[[科学雑誌]]、[[技術雑誌]]とも呼ばれる。
 
== 概要 ==
研究者は、自身の研究結果を論文として世に出す。自分の研究分野を対象とする学術雑誌に投稿し掲載されることによって世に出したことになるのである。
 
=== 学術雑誌と研究業績 ===
学術雑誌間には何らかの[[ヒエラルキー]]が認められている。すなわち、同じ1本の論文の掲載でも、それがA誌なのかB誌なのかで、評価が異なる。その分野で最も権威のある雑誌を'''トップ・ジャーナル'''ということがある。そうした権威ある雑誌に論文が掲載されることは、研究者にとって知的に大きな名誉であるだけでなく、世俗的な面、すなわち、研究ポスト就任、研究費の配分、昇進や受賞など、研究者の評価にも直結する。
 
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また、こうした評価の異なりが生じる理由として「各雑誌において査読を通過しうる水準が事実問題として異なっており、権威ある雑誌であればあるほど、いっそう優れた業績を要求されるという状況があるからだ」と言うことがある{{誰2|date=2011年1月}}。
 
=== 文系・理系と学術雑誌 ===
研究者にとって、学術雑誌に掲載された論文こそが専門家として最も重要な業績であることは、文系・理系の別を問わない。しかし、文系・理系では、学術雑誌の位置付けは微妙に異なる。理系では、査読を経ていない著作・論文などは、業績として評価されないし、業績に挙げることもないが、文系では、そうしたものでも業績として認められる。<!-- この項について文系出身の方の加筆を求めます -->また、[[コンピュータ科学]]など一部の分野では、学術雑誌は掲載までに時間がかかることから投稿を敬遠する場合もあり、代わりに査読付きトップ・カンファレンスでの発表が、トップ・ジャーナルへの掲載と同等かそれに近い業績として認められることもある。
 
=== 理系の学術雑誌と査読 ===
学術雑誌は論文公表の場のひとつであるが、理系の論文公表において、様々な公表の場の中でも学術雑誌を特に重要なものたらしめているのは、[[査読]]と呼ばれる過程である。
 
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この査読があることによって、学術雑誌に掲載された論文は、ただ単に公刊されただけではなく、論文の著者もまたそのメンバーの1人であるところの専門家の共同体から、研究上の価値を認められたという評価を獲得する。別の言い方をすれば、学術雑誌に自らの論文が掲載されるということは、専門分野のメンバーとしての力量を認められたことを意味する。逆に世間一般で名が通っている「学者」であっても学術雑誌に掲載されない、あるいは最初から学術雑誌に投稿していないという状態であれば、他の専門家からは実際上「専門家」として認められていない、とも言える。したがって、専門家の世界ではある研究者の研究業績が査読のある学術雑誌に論文が掲載されたということは、高い意義を持っているのである。
 
また、紙媒体での提供を行っている学術雑誌の中には、掲載する論文の巻、Volume中において、編集委員会等で話し合われた結果、特に[[インパクト]]の高い秀逸な記事や、学術的に大変価値のある[[データ]]を、巻頭の表紙にその記事に用いられているデータを表紙のデザインとして用いている。つまり、この巻頭への掲載によって同じ研究分野の研究者等への一種の[[ステータス]]や学術的に先進的であることを知らしめることになる。
 
=== 学術雑誌と学会 ===
学術雑誌が存在することで、その学会自体の存在が公共的なものになる。そのことによって、その学問の水準が保証され、活発に議論が起こる雑誌が存在することで、その学問が活発になるということでもある。
 
近年、[[大学]][[図書館]][[リポジトリ]]として投稿論文がアーカイブされることがあるが、行き過ぎると学会誌を購入する会員が減少し、学会自体がなりたたなくなる可能性もある。十分な議論が必要である。また、最終版がアップされているのかは注意する必要がある。投稿時の論文がリポジトリされていることもあるが、実際には査読者のコメントに基づき、投稿後に改稿されていることがあるからである。
 
== 数量 ==
時実によると[[2003年]]の調査によれば、世界での刊行状況について次のようなデータが挙げられている。
*逐次刊行物:180,200件
**内学術雑誌:43,500件
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また、その分野における古参の[[専門誌]]や[[機関誌|機関広報誌]]が、商業誌であると同時に学術誌的な要素を内含するケースも見られ、この場合、その誌上には競合誌・後発誌が扱いきれないような高度な専門性・資料性を持つ記事・読物が掲載され、本業がライターではないその道の専門家や研究者が多数執筆していることも見られる。日本における例としては[[鉄道]]分野における[[鉄道ピクトリアル]]、[[競馬]]分野における[[優駿]]、[[映画]]における[[キネマ旬報]]などが挙げられる。
 
== 電子化 ==
情報技術が発達する前には、学術雑誌への投稿はすべて郵送で行われていたが、現在ではほとんどが[[World Wide Web|ウェブ]]サイトを通して投稿し、編集者とのやり取りは[[e-mail|電子メール]]や[[ファクシミリ|FAX]]で行うようになっている。これによって投稿から雑誌掲載までの期間は短縮されてきており、早ければ投稿から1ヶ月程度で掲載されることもある。