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[[クラシック音楽]]における'''循環形式'''(じゅんかんけいしき)とは、多楽章曲中の2つ以上の[[楽章]]で、共通の[[主題]]、[[旋律]]、或いはその他の主題的要素を登場させることにより楽曲全体の統一を図る手法である。[[ヨハネス・ブラームス]]の「交響曲第3番」のように、共通主題が楽曲の始めと終わりに出現する場合や、[[ルイ=エクトル・ベルリオーズ]]の「[[幻想交響曲]]」のように、楽曲中のあらゆるパッセージで共通主題が姿形を変えながら出現する場合などがある。
 
この手法は、音楽史全般を通じて随所で確認することが出来る。[[単旋律歌]]の有名な一部分が[[定旋律]]として楽曲の各章に組み込まれる、[[ルネサンス|ルネサンス期]]の[[循環ミサ]]は、多楽章形式にこの統一原理を用いた初期の例である。[[17世紀]]の器楽曲にも現れ、例えば[[ザムエル・シャイト|ザミュエル・シャイト]]の舞踏組曲では、各楽章において1つの[[基礎低音]]が繰り返し登場する。各楽章の長さが十分に短く、楽曲全体が各楽章の複合物と言うよりむしろ単一体として捉えられる場合、循環形式と[[変奏曲]]形式の境界は不明瞭となる。
 
主として、この用語は[[19世紀]]以降に用いられた。特に有名な例に[[セザール・フランク]]の「交響曲ニ短調」、ベルリオーズの「幻想交響曲」、[[フランツ・リスト]]の膨大な作品群などがある。19世紀末までに循環形式は非常に一般的な構造原理となったが、その最も大きな理由に、多楽章曲の長さと複雑さの肥大化が、単なる各楽章の調性関係よりも楽曲全体の統一手段を強く必要としたことが挙げられる。