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'''ゼピュロス'''({{lang|grc|Ζέφυρος, Zephyros}})は[[西風]]の神である。英語では[[ゼファー]] (Zephyr)。アネモイの中で最も温和なゼピュロスは、春の訪れを告げる豊穣の風として知られている。ゼピュロスは[[トラーキア]]の洞窟に住んでいると考えられていた。
 
ゼピュロスは異なる物語の中で、幾人もの妻を持っていたと伝えられている。ゼピュロスは姉妹である虹の女神[[イーリス]]の夫であると言われていた。また、ゼピュロスは[[ニュンペー]](ニンフ)の{{仮リンク|[[クローリス|en|Chloris}}]]を強引に攫ったが、誘拐後に自らの罪を悔いて彼女を神の地位に押し上げ(神への昇格を主神に願い出て許しを得)、これによって花の春の女神[[フロラ|フローラ]]が誕生した。このクローリスこと女神フローラとの間には、果実の神{{仮リンク|カルポス|en|Karpos}}を設けている。ゼピュロスは兄弟であるボレアースと、クローリスの愛を巡って争い、最後にクローリスの歓心を勝ち取ったと伝えられている。更に別の姉妹にして愛人でもあった[[ハルピュイア]]の一人である{{仮リンク|ポダルゲー|en|Podarge}}(ケライノーとしても知られる)との間に、[[アキレウス]]の馬である[[バリオス]]と[[クサントス (ギリシア神話)|クサントス]]を設けたとも伝えられている。
 
現存する神話のうちでゼピュロスが最も重要な役割を演じるのは[[ヒュアキントス]]の物語である。ヒュアキントスは美貌と強壮で鳴らした[[スパルタ]]の王子であった。ヒュアキントスに恋したゼピュロスは彼を求め、[[アポローン]]も同様であった。2柱(2人の神々)は少年への愛を競ったが、ヒュアキントスはアポローンを選び、ゼピュロスは嫉妬に狂わんばかりとなった。のちに[[円盤投|円盤投げ]]をしているアポローンとヒュアキントスを見付けたゼピュロスは、一陣の突風を彼らに吹き付け、落下した円盤を少年の頭に打ち付けた。ヒュアキントスが死ぬとアポローンはヒュアキントスの血から[[ヒヤシンス]]の花を[[創造]]した。
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|[[ファイル:Sandro Botticelli - La nascita di Venere - Google Art Project - edited.jpg|thumb|350px|画像-2 ボッティチェリのテンペラ画 『[[ヴィーナスの誕生]]』]]
|}
* 画像-1 :ゼピュロス(右端にいる青緑色の男)は、春を呼ぶ強風を吹き立て、[[ニュンペー]]の{{仮リンク|[[クローリス|en|Chloris}}]]を攫おうとしている<ref name="美巨人 20120421">{{Cite web |date=2012年4月21日放送回 |title=ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」- バックナンバー |url=http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120421/index.html |work=『[[美の巨人たち]]』(公式ウェブサイト)|publisher=[[テレビ東京]] |accessdate=2012-05-01}}</ref>。クローリスの隣にいるのは、誘拐後に自らの罪を悔いたゼピュロスの働きによって神に昇格したクローリス自身、すなわち、花と春の女神[[フロラ|フローラ]]であると解釈されている<ref name="美巨人 20120421" />。[[1477年]]作。[[ウフィツィ美術館]]所蔵。
* 画像-2 :ゼピュロスとその妻の一人である花と春の女神フローラ(左の男女)<ref name="美巨人 20120421" />は、共に口から風を吹き起こし(特にゼピュロスは頬を大きく膨らませて強い風を起こしている)、[[バラ|薔薇の花]]を宙に撒き散らしながら、生まれたばかりの愛と美の女神[[ウェヌス]](ヴィーナス)(中央)を陸地に届けようとしている<ref name="美巨人 20120421" />。なお、[[絹]]の[[ローブ]]を携えて陸地で待ち受けるのは時の女神[[ホーラ]](左)であるとされる<ref name="美巨人 20120421" />。[[1483年]]頃の作。ウフィツィ美術館所蔵。
* 本項右最上段の画像も参照のこと。