「現代日本語文法」の版間の差分

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他方、[[構造主義]]の方法論による現代日本語文法として[[バーナード・ブロック]](Bernard Bloch)、[[サミュエル・マーティン]](Samuel Elmo Martin)などの研究が挙げられる。ブロックの文法は[[言語学]]的な整合性の高いものであり、アメリカ軍の言語教育プログラムである[[ASTP]]にも応用されている(ブロック自身、このプログラムの[[日本語教育]]に携わっている)。
 
文科省の[[国語教育]]の文法は橋本文法をベースとする[[学校文法]]である。[[日本語教育]]にはなじまないとされており、現状では後述の「[[にっぽんご]]」などが参考にされている。
 
[[ヨーロッパ]]の言語学、特に[[ソビエト・ロシア言語学]]([[ヴィクトル・ヴィノグラードフ]]ら)の影響を受け、[[言語]]を[[対立]]と統一からなる体系として捉えることを重視した[[奥田靖雄]]や、その指導・影響下にある[[鈴木重幸]]、[[鈴木康之]]、[[高橋太郎 (言語学者)|高橋太郎]]、[[工藤真由美]]ら[[言語学研究会]]の研究がある。[[述語]]の[[活用]]について[[本居春庭]]より連なる伝統を批判し、[[活用形]]についての重要な考察を多く提示した。中でも[[ロシア語]]の研究を踏まえた[[アスペクト]]研究については、[[金田一春彦]]の研究をついで大きく発展させた。[[言語学研究会]]は、民間教育研究団体である[[教育科学研究会国語部会]](教科研国語部会)に対して指導的立場にあり、[[言語教育]]のテキスト(副読本)「[[にっぽんご]]」シリーズ([[むぎ書房]])の編集を指導したため、その文法論は「[[教科研文法]]」と呼ばれることもある。「[[にっぽんご]]」シリーズは[[中国]]・[[韓国]]・[[ロシア]]などでも日本語に関する重要文献とされており、[[日本語教育]]においても参考にされている。
 
[[生成文法]]の枠組みにおいては、[[統語論]]と[[意味論]]の区別が明確にされ、様々な現象が掘り起こされた。最も早い研究としては[[井上和子 (言語学者)|井上和子]]の研究があり、その後[[奥津敬一郎]]、[[黒田成幸]]、[[久野暲]]<!--久野 "瞕" は誤植?--><!--国会図書館の検索で「暲」で出てきますからそちらでいいのでしょう-->、[[柴谷方良]]、[[原田信一]]、[[神尾昭雄]]などにより重要な研究がなされた。[[格]]、[[態]]、[[スコープ]]の研究は生成文法の方法論によって促進され、現在に至っている。
 
以上の他に、特定の方法論に属するというよりも、それらに目配りをしつつ独自の研究を行った[[三上章]]、[[南不二男]]、[[寺村秀夫]]などがいる。寺村秀夫はバーナード・ブロックの下で[[構造主義文法|構造主義言語学]]と[[生成文法]]の方法を学び、また三上章との交流から大きな影響を受けた。その一方で[[国語学]]の知見も取り入れ、さらに日本語教育の実践も通して、質の高い[[記述文法]]を提示した。