「ロールス・ロイス エイヴォン」の版間の差分
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'''エイヴォン''' ([[:en:Rolls-Royce Avon|Avon]]) は[[ロールス・ロイス]]社が独自開発した、初の軸流式[[ターボジェットエンジン]]。堅実な設計が奏功して、航空機用の生産が[[1950年]]から[[1974年]]まで続けられ11000基以上が生産されたのみならず、船舶・産業動力向[[ガスタービンエンジン]]としても現用中である
== 概要 ==
イギリスで開発され、[[第二次世界大戦]]終結時には既に十分な実績を積んでいた[[遠心式圧縮機|遠心圧縮式]] ([[:en:Centrifugal compressor|Centrifugal compressor]]) ターボジェットエンジンは、当時最大級の推力を誇った同社製の[[ロールス・ロイス ニーン|ニーン]] ([[:en:Rolls-Royce Nene|Rolls-Royce Nene]]) も含め、機械的限界から性能向上の余地が殆どなくなりつつあった。
従って、遠心式よりも構造は複雑化するが、小径で、制御パラメータがより多く取れ、発展性のある[[軸流式圧縮機|軸流式]] ([[:en:Axial compressor|Axial compressor]]) への転換は技術的必然だったが、[[翼平面形#後退角効果|後退翼]]と同様に、軸流式ターボジェットエンジンの分野でも独走状態にあった独の技術者は、敗戦と同時に米ソが奪い合う形で自国に招聘していたため
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プロトタイプの社内コードは AJ.65( Axial Jet: 軸流ジェット、推力 6,500 lbf の意)で、早くからその可能性に着目していた元空軍省技術高官[[アラン・アーノルド・グリフィス]] ([[:en:Alan Arnold Griffith|Alan Arnold Griffith]]) の基本設計に基づき、高名な[[レシプロエンジン]]・[[ロールス・ロイス マーリン|マーリン]] ([[:en:Rolls-Royce Merlin|Merlin]]) の主任技師[[シリル・ラヴゼイ]] ([[:en:Cyril Lovesey|Cyril Lovesey]]) 以下のチームも加わって[[1945年]]に開発着手、[[1947年]]に初火入れされたが、サージング問題の解決に手間取り実用化が大いに遅延したため、搭載予定機は軒並みエイヴォンの供給開始を待つ状態に陥った。
このエンジンは軸流式エンジンの実験であると同様に
改良と強化されたエイヴォン200シリーズが検討されその結果初期の形式とは一部の部品を除き殆ど共通点の無い別物と言っても良いエンジンが完成した。それにもかかわらずエイヴォンの名前が適用された。圧縮機は[[アームストロング・シドレー サファイア]]に使用されていた圧縮機を基にした完全な新設計の15段式の圧縮機を取り入れただけでなくその他にも多くの改善が施された
== 運用の歴史 ==
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[[イングリッシュ・エレクトリック キャンベラ|イングリッシュ・エレクトリック キャンベラ B.2]]に搭載された原型の推力の6,500 lbf (29 kN) のRA.3/Mk.101エンジンは1950年から量産が始まった
エイヴォンは同様に[[ボルボ・エアロ|スヴェンスカ・フリーグモートル]]
量産はベルギーの[[ファブリックナショナル]]でも同様に行われ、300基のエイヴォン113や多数のエイヴォン 203が生産された
アメリカにおいてエイヴォンは垂直着陸機である[[X-13 (航空機)|ライアン X-13A-RY バーティジェット]]
オーストラリアではエイヴォンは[[:en:Commonwealth Aircraft Corporation|連邦航空機会社]]で[[:en:CAC Sabre|CA-27 エイヴォン-セイバー]]として知られる[[F-86 (戦闘機)|F-86セイバー]]を大規模に改良した機体に使用された。
エイヴォンの生産は1974年まで大半は[[シュド・カラベル]]やイングリッシュ・エレクトリック (BAC) ライトニングに使用する為に継続され、11000基以上が生産された。エンジンは時間の経過とともに印象的な安全記録を樹立した。エイヴォンはイギリス空軍のキャンベラに使用されたPR.9が2006年6月23日まで運用された。
== 派生機種 ==
; AJ65
: 原型機種'''A'''xial '''J'''et 推力'''6''','''5'''00lbs に由来する
; RA.3
: 最初のエイヴォンの民間機仕様 - 推力6,500 lbf (29 kN).
; Mk.100シリーズ
: [[1950年]]に量産開始。エイヴォンRA.3の軍用版、12段式コンプレッサ、ニーン由来の8本のカン式燃焼筒を持つ単軸式で、圧縮比6.5、推力 6,500 lbf (2,950 kg)。[[ホーカー ハンター]] ([[:en:Hawker Hunter|Hawker Hunter]]) 戦闘機に先ず搭載されたが、不安定さは解消できず、機関砲発射時の硝煙で[[フレームアウト]]する欠陥が露呈した。
; RA.7
: 改良された民間仕様のエイヴォン - 推力7,350 lbf (32.7 kN).
; Mk.114
: RA.7エイヴォンの軍用版 - 推力7,350 lbf (32.7 kN).
; RA.14
: カン-アンニュラー式燃焼器とサファイアに使用されていた圧縮機を基にした圧縮機を備えた改良された民間仕様のエイヴォン - 推力9,500 lbf (42 kN).
; Mk.200/300
: 先に実用化した[[アームストロング・シドレー サファイア]] ([[:en:Armstrong Siddeley Sapphire|Armstrong Siddeley Sapphire]]) を参考に、15段(200系)~16段(300系)コンプレッサ、アニュラー型(環状)燃焼器、空冷式[[ジェットエンジン#タービン|タービンブレード]]に改設計された、推力9,500 lbf (42 kN)、100系とは別物。圧縮比7.5、[[アフターバーナー|アフターバーナー(リヒート)]]付最終型で 16,360 lbf (7,420 kg) にまで発展した。
: 代表的なガスタービンエンジン型は軸出力 21,480
; RA.26
: 更に改良されたエイヴォン 200 シリーズ
; RA.29
: Mk.300 シリーズの民間型だが民間機で搭載した機体は無し
; Mk.301 / Mk.302
: 軍用のエイヴォンの最高の機種で[[イングリッシュ・エレクトリック ライトニング]]の後期型に搭載された - 推力12,690 lbf (56,450 N)
; スヴェンスカ・フリーグモートル RM5
: [[サーブ 32 ランセン]]の動力として RA.3/Mk.109 がライセンス生産された
; スヴェンスカ・フリーグモートル RM6
: [[サーブ 35 ドラケン]]の為にRA.29/Mk.300が改良された。
; [[:en:Westinghouse Aviation Gas Turbine Division|ウェスチングハウス XJ54]]
: アメリカのウェスチングハウスで生産、販売されたエイヴォンの派生型
== 仕様
* 形式 [[ターボジェット]]
* 全長 126 in (3,200 mm)
* 直径 35.7 in (907 mm)
* 乾燥重量 2,890 lbs (1,309 kg)
* 圧縮機 15段軸流式
* 燃焼機 カンニュラー式燃焼器 150 lb/s (68 kg/s)
* タービン 2段軸流式
* 使用燃料 灯油
* {{convert|12690|lbf|kN|abbr=on}}
* 全圧縮比 7.45
* 定格燃料流量: 0.932 lb/lbf
* 推力重量比5.66:1 (56 N/kg)
== 関連項目 ==▼
* [[航空用エンジンの一覧]]▼
== 出典 ==
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* Gunston, Bill. ''World Encyclopaedia of Aero Engines''. Cambridge, England. Patrick Stephens Limited, 1989. ISBN 1-85260-163-9
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▲== 関連項目 ==
▲* [[航空用エンジンの一覧]]
== 外部リンク ==
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