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だいち2号だいち3号に転載、さらに一部追記して初版を立項した。
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*2011年[[10月18日]]、[[海上保安庁]]が海氷衛星画像提供への感謝の気持ちとして、だいちに対してレーザー光線を伝達した<ref>{{cite web|url=http://www.sapc.jaxa.jp/topics/2011/news1020.html|title=海上保安庁から「だいち」(ALOS)へラストメッセージとしてレーザー光線が伝達されました|publisher=JAXA|date=2011-10-20|accessdate=2011-10-31}}</ref>。
 
=== 情報収集衛星との関係 ===
== だいち2号・だいち3号 ==
公開されたり報道された情報から、初代だいちと第2世代までの情報収集衛星衛星の機体構成や性能は、よく似ていると推測されている。だいちの開発・製造を担当するメーカーも、情報収集衛星と同じ三菱電機である。ただし、情報収集衛星が主に軌道上予備を目的として各衛星がほぼ同時刻に同一地点上空を通過して観測するのに対して、だいち後継衛星は同一地点の上空通過時刻が均等にばらけるように軌道に投入される点が異なる。また、情報収集衛星が分解能を重視して設計されているのに対して、だいちシリーズは広域観測や多目的探査を重視して設計されていると見られている。
陸域観測では継続的に観測を行いデータを蓄積していくことが重要である。しかし、だいちは光学観測機器とSAR観測機器を同時に搭載する大型衛星であるため、開発や製作に時間を要し、打ち上げ失敗や故障時に全ての観測が不可能になり、開発と運用両面でのリスクが高い。そのためJAXAでは、今後の陸域観測ミッションを、従来の「みどり」や「だいち」のような大型衛星ではなく、複数の中小型衛星によって行う方針を固めた。こうしてJAXAは、2006年10月25日に開かれた[[文部科学省]]の宇宙開発委員会にて、解像度を1mにまで高めた「だいち後継機」4機による観測体制を2010年までに整備する方針を報告した。現在では下記のようなレーダー衛星と光学衛星を先行して1機ずつを打ち上げて、その後は両タイプの衛星を継続的に打ち上げていく計画に変更されている。
 
== 後継機 ==
=== レーダー衛星「だいち2号」 ===
== {{see|だいち2号|だいち3号 ==}}
2008年7月、JAXAにより'''災害監視衛星システムSAR衛星'''の開発が宇宙開発委員会に提案され<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/gijiroku/h20/suishin/08080101/002.htm 災害監視衛星システムSAR衛星プロジェクトの事前評価実施要領(案)] (宇宙開発委員会 2008年7月)</ref>、同年8月7日の宇宙開発委員会の推進部会と、同年8月20日の宇宙開発委員会の本委員会で「開発研究」フェーズへの移行が妥当であるとの判定を受けた。毎日新聞の同年7月5日の記事によると開発費は地上設備を含めて292億円であるという。災害監視衛星システムSAR衛星では、これまでの衛星の成果を踏まえ、災害発生時に迅速に情報を収集することができるよう複数機を同時運用するなど、実用機としての運用性や継続性を重視した計画になっていた。
 
しかし2008年12月の宇宙開発委員会や、総合科学技術会議、宇宙開発戦略本部において、災害監視衛星システムSAR衛星は災害監視に特化せずより幅広い用途に活用すべきとの指摘を受けた。もとより災害監視衛星システムSAR衛星は、だいちと同等以上の能力を有する衛星システムであり、宇宙開発委員会でも衛星の開発方針そのものは妥当と判断された。これらのことから、JAXAは災害監視衛星システムSAR衛星の名称を'''陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)'''、または'''だいち2号'''に変更することを宇宙開発委員会に報告した。
 
2009年11月2日に開催された宇宙開発委員会推進部会で、JAXAより開発フェーズに移行するに当たっての報告が行われ、同年12月10日に開催された宇宙開発委員会推進部会において「開発」フェーズへの移行が妥当と判断された<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/013/002/gijiroku/1289747.htm 推進部会(平成21年)(第7回)議事録](宇宙開発委員会 推進部会 2009年12月10日)</ref>。だいち2号に搭載するセンサは、だいちに搭載したPALSARの後継となるPALSAR-2で、分解能や撮影頻度が向上している。だいち2号はレーダー衛星なので夜間でも画像を確認できるほか、海上における船舶の識別も可能。JAXAは[[尖閣諸島]]など領土の領有権を巡る問題への対応利用も視野に入れているとしている<ref>{{cite news|url=http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/221001055.html|title=「尖閣監視強化だ」中国が日本衛星打ち上げに反発|publisher=テレビ朝日|date=2012-10-01|accessdate=2012-10-02|archiveurl=http://web.archive.org/web/20121004032532/http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/221001055.html|archivedate=2012-10-4}}</ref>。打ち上げは2013年度を予定している。
 
;性能<ref name="ALOS後継">[http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/rikukai/091002/siryou1-2.pdf 「だいち」後継機の概要](JAXA 2009年10月2日)</ref>
* 緊急観測可能頻度 - 1日~2日
* スポットライトモード - 分解能1m×3m、観測範囲は25km四方
* 高分解能モード - 分解能3m×3m他、観測幅50kmから70km、観測幅50kmで50分間の連続撮影が可能<ref>[http://www.jaxa.jp/pr/jaxas/pdf/jaxas032.pdf JAXA's No.032]</ref>
* 広域観測モード - 分解能100m、観測幅350km
* 観測可能範囲 - 2320km
* 地上局への伝送速度 - 800Mbps
* 設計寿命 - 5年、目標は7年
 
=== 光学衛星「だいち3号」 ===
2010年2月現在、光学衛星の'''陸域観測技術衛星3号(ALOS-3)'''、または'''だいち3号'''の「研究」フェーズが進行中である<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/015/gijiroku/1293950.htm 平成22年宇宙開発委員会(第7回)議事録] 平成22年2月17日</ref>。4バンドの観測ができるマルチスペクトルセンサーに加えて、185バンドを観測できるハイパースペクトルセンサーを搭載する。2つのセンサーは同期が可能で、合わせてHISUI(Hyperspectral Imager SUIte)と命名されていいる。 これにより地表の属性をより詳細に観測できるようになり、[[石油]]資源探査、[[植生]]の分布の観測や農作物収穫量予想、[[バイオマス]]や工業排水観測、積雪状態の観測等をより詳細に行うことがようになる。打ち上げは2016年度を予定している。
 
;性能<ref name="ALOS後継"/>
* パンクロマチックセンサー - 分解能80cm 、観測幅50km
* ハイパー・マルチセンサー (HISUI)
**マルチスペクトルセンサー - 分解能5m、観測幅90km
**ハイパースペクトル センサー - 分解能30m、観測幅30km
* 観測可能範囲 - 2600km
* 地上局への伝送速度 - 800Mbps
* 設計寿命 - 5年、目標は7年
 
=== 情報収集衛星との関係 ===
[[情報収集衛星]]は当初、災害の監視なども含めて多目的に運用することが掲げられていた。しかし、[[偵察衛星]]としての運用を考えると、解像度などの性能は秘密にせざるを得ず([[オープン・ソース・インテリジェンス]]の格好の標的になる)、民生用途での災害監視などに活用できない状態になってしまった。だいち2号以降のだいち衛星シリーズは、情報収集衛星の民生用途版を別途用意するものと考えることもできる。
 
公開されたり報道された情報から、初代だいちと第2世代までの情報収集衛星衛星の機体構成や性能は、よく似ていると推測されている。だいちの開発・製造を担当するメーカーも、情報収集衛星と同じ三菱電機である。ただし、情報収集衛星が主に軌道上予備を目的として各衛星がほぼ同時刻に同一地点上空を通過して観測するのに対して、だいち後継衛星は同一地点の上空通過時刻が均等にばらけるように軌道に投入される点が異なる。また、情報収集衛星が分解能を重視して設計されているのに対して、だいちシリーズは広域観測や多目的探査を重視して設計されていると見られている。
 
== 脚注 ==
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** [http://www.jaxa.jp/press/2008/07/20080701_sac_daichi_j.html 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の成果 ~宇宙利用の拡大に向けて~] (JAXA, 2008年7月)
** [http://alos.jaxa.jp/index_old.html 陸域観測技術衛星ALOS(エイロス)]
** [http://www.jaxa.jp/projects/sat/alos2/index_j.html 陸域観測技術衛星2号「ALOS-2」]
* [http://nssdc.gsfc.nasa.gov/database/MasterCatalog?sc=2006-002A NSSDC Master Catalog Display]
* [http://www.nec.co.jp/techrep/ja/journal/g11/n01/110111.html 地球観測衛星(陸域観測技術衛星)「だいち」の開発] -NEC技報