「クン・サ」の版間の差分

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このうちタイ北部に逃れた部隊のひとつ、国民党軍第27集団軍隷下の「第93軍」は、[[共産主義]]化した中国からの国土奪還のための資金集めとして、民族、国境紛争の絶えなかったタイ北部に定住、少数民族解放運動を建前に武装を続け、[[アヘン]]栽培で資金集めをしていた(そのために「アヘン・アーミー」「ドラッグ・アーミー」とも呼ばれた)。その第93軍兵士とシャン族女性の間に生まれたのがクン・サである。
 
クン・サ本人の経歴は明らかでないが、成人後、国民党残党と袂を分かち、[[アメリカ合衆国]]([[中央情報局|CIA]])の支援のもとシャン族・モン族の独立運動を大義名分とする兵力2000のモン・タイ軍(MTA)を結成。この期間に[[麻薬]]ビジネスを大々的に展開し、[[黄金の三角地帯]](ゴールデン・トライアングル)と呼ばれる世界最大の麻薬密造地帯を形成した。
 
だがアメリカが麻薬ビジネスの取り締まりに力を入れるようになり、やがてクン・サは国際指名手配される。そのためタイ北部から国境未確定地帯のミャンマー奥地に逃げ込み、「シャン族独立」を掲げてミャンマー軍と永く対立していた。しかし、ミャンマー軍との実際の戦闘はほとんど生じず(MTAは、むしろ同じく反政府勢力である[[ビルマ共産党]]と激しく軍事衝突した)、[[1996年]]1月、ミャンマー政府との間で突然停戦合意をして投降した。投降後はミャンマー政府の庇護に置かれ、首都[[ヤンゴン]]で生活。麻薬で得た資金を合法ビジネスに転用して、ミャンマー・タイにまたがる財閥を作り上げた。アメリカ政府はクン・サの身柄の引き渡しをミャンマー政府に要求したものの、同政府はこれに応じなかった。