「ビーチクラフト キングエア」の版間の差分

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=== モデル300/350 ===
[[ファイル:Raytheon King Air 350 (B300) AN1698502.jpg|thumb|250px|キングエア350]]
モデル200はN類双発機としては大柄な機体で、満席・フル積載・フルタンクでは機体重量制限(N類上限1250012,500ポンド)を超えてしまう。そこで機体の潜在的な積載能力を最大限まで発揮できるようT類での運用を前提として改良されたのがモデル300である。外見はモデル200と似ているが操縦感は異なり、モデル200との比較で操舵の重さが目立つ。これは機体重量の増加よりも、より高い高度での運用を想定した操舵ワイヤの張力の大きさに起因すると云われる。
 
改良型のモデル350は現在もアビオニクスや内装全般において改良を続けながら生産が続いており、生産数は600機を上回る。広大なキャビンの快適性、更に増加した積載量、フルタンク・フル積載・高地・高温でも楽々と離陸可能なパフォーマンス、片肺時の安全性などによってT類(FAR23 Commuter Acft Cat) ターボプロップ社用機という新たなマーケットを開拓した。顧客は、[[セスナ]]社製[[セスナ・サイテーション|サイテーション・ジェットシリーズ]]などの小型ビジネスジェット機との比較でキングエア350を選択している模様で、キャビンスペース・快適性・積載量・経済性ではキングエア350が、巡航速度では小型ジェット機が優れており、その性能や商品性はジェット機市場と重複している。燃料費が上昇している現状では、モデル350ERやモデル350iの登場によってビジネスジェット機との間隔は益々少なくなったであろう。
 
;モデル300(1984年)
:230機生産。機体寸法はモデル200そのままに搭載エンジンをPT6PT6A-60A(1050shp1,050shp)へ換装、積載量は最大離陸重量1400014,000ポンドまで増加、それに対応して機体構造も強化された。モデル300はT類(SFAR41C)としては丈夫な機体で、最大離陸重量での着陸が可能である。速度性能も向上し300kt以上での巡航が可能になった。主翼桁は新しいものとなっており、内翼部分の弦長を伸ばして翼面積を増加するなど、重量が増加してもモデル200同等の低速特性を保つよう留意されている。エンジンナセルは再設計され、新たにピトーインテーク(Pitot Style Intale)と称する吸気口を採用、ラムエア効果による吸気効率の向上によって吸気口の実寸法はモデル200より小断面となっている。主脚の引き込み機構を油圧式に変更し信頼性向上とメンテナンス容易化。
:キャビントリム(内部デザイン)は一新され、モデル200との差別化がされており、このデザインはモデル350にも引き継がれた。エアーランバーサポートを備えた新しいデザインのキャビンチェア、デジタル・オートパイロット、複合的フライト計器など当時の最新アビオニクスも装備していた。またN類での運用が可能なよう1250012,500ポンドに重量制限したモデル300LW(LWは軽量(Light Weight)の意)が主としてヨーロッパ市場向けとして少数生産された。
:[[1990年]]にモデル350が発売されると、キャビン容量に比べて力を持て余し気味のモデル300は売上を減じることとなり、[[1993年]]をもって生産終了した。
;モデル350(モデルB300)(1990年)
:モデル300の胴体を延長し2座席を追加し居住性を改善、積載量を増加、主翼スパンを延長してウィングレットを装備し飛行特性と航続性能を改善した。エンジンはモデル300同様PT6PT6A-60A(1050shp)であるが、延長された胴体がもたらす積載量にその高出力を活かしている。それまでのモデル100/200/300の標準的キャビン座席配置では「向かい合わせ4席+後向き2席」であったが、モデルB300では「向かい合わせ4席+向かい合わせ4席」となり、シートピッチの拡大とともに8人がフルにくつろげるようになり、7個の丸窓が並ぶキャビンの開放感は、モデル90と比べ大幅に向上している。
:[[1998年]]からはキャビンの静粛性向上の為、ANR (Active Noise Reduction、商品名 Ultra Quiet Active Noise Control System:Ultra Electronics社製) を標準装備。2003年からはアビオニクス機器にコリンズ社製プロライン21を装備するようになり総合的なフライトマネジメントが可能になったほか、社外品オプションであったエンジンナセル後方の荷物入れ(商品名Nacelle Wing Lockers:Raisbeck Engineering社製)が標準装備されるようになった。
;モデル350ER(ERは航続距離延長型(Extended Range)の意)(2007年)
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* 空虚重量:4,132 kg
* 最大離陸重量:6,804 kg
* エンジン:プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-60A 1050shp1,050shp(783kW) × 2
* 最大速度:584 km/h(高高度)
* 巡航速度:558 km/h(高度24,000 ft)