「パブリックスクール」の版間の差分

13歳～18歳の子供を教育するイギリスの私立の学校の中でもトップの10%を構成するエリート校の名称。以前はその大部分は[[ボーディングスクール|寄宿制]]の男子校であったが、現在は一部を除き共学制に移行している。イギリスのトップ大学に当たる[[ラッスセル・グループ]]、特にその頂点にある[[ケンブリッジ大学]]、[[オックスフォード大学、インペリアル・カレッジやロンドン・スクール・オブ・エコノミクス]]などへの進学を前提とする。学費が非常に高く、入学基準が厳格なため、奨学金で入学を許された少数の学生以外は裕福な階層の子供達が、寮での集団生活を送っている。近年は、海外の金持ちの子供達がイギリスでの大学教育を見越して入学することが多くなっている。

中世において学校とは地元の[[教会]]か[[ギルトド]]に付属しており、その目的は僧侶（見習い）および職人育成が目的とされており、入学資格も出身地、親の職業や宗派や身分などにより制限されていた。一方で貴族の階層の子弟の教育は在宅での個人教授を主としていた。しかし近世になるとともに、貴族の身分に属さない富裕階層である[[ジェントルマン]]が勃興するなかで、親の出生や身分に関係ない学校が必要となる。<ref name="Oxford English Dictionary 2010">Oxford English Dictionary, June 2010.</ref>このような背景の中で、以前の学校と違い、一般（パブリック）に開かれた寄宿生の私立学校である[[ウェストミンスター・スクール|ウェストミンスター校]]、[[ウィンチェスター・カレッジ|ウィンチェスター校]]、[[イートン・カレッジ|イートン校]]、[[ハーロー校]]、[[ラグビー校]]、[[マーチャント・テイラーズ・スクール|マーチャント・テイラーズ校]]、[[セント・ポールズ・スクール (ロンドン)|セントポールズ校]]、[[シュルーズベリー校]]、[[チャーターハウス・スクール|チャーターハウス校]]などがパブリックスクールと俗称されるようになる。これらの学校が非常に優秀な教育機関でありその活動には公共的意義があることが広く社会に認識されたことも「パブリック」スクールと呼ばれることになった一因であると言われている。

その後、[[1860年代]]に開かれた{{仮リンク|クラレンドン王立委員会|en|Clarendon Commission}}において、パブリックスールの定義やその社会的意義および責任が調査され、[[1868年]]のPublic Schools Act（{{仮リンク|パブリックスクール法|en|Public Schools Act 1868}}）によって、その呼称に法律的な定義が与えられる。これにより、前記の9校（後に、クラレンドン校と呼ばれるようになる）が法的に「パブリックスクール」として認可される一方で、これらの９校以外でも、条例の定義に当てはまる私立学校は「パブリックスクール」と呼ばれるようになり、現在ではスコットランドやアイルランドも含めた２００余りの学校が「パブリックスクール」の団体である{{仮リンク|校長と女校長カンファレンス|en|Headmasters' and Headmistresses' Conference}}に属する。<ref>クラレンドン委員会報告書</ref>

[[ウェストミンスター・スクール|ウェストミンスター校]]、[[ウィンチェスター・カレッジ|ウィンチェスター校]]、[[イートン・カレッジ|イートン校]]、[[ハーロー校]]、[[ラグビー校]]（[[ラグビー・フットボール]]発祥校の逸話あり）、[[マーチャント・テイラーズ・スクール|マーチャント・テイラーズ校]]、[[セント・ポールズ・スクール (ロンドン)|セントポールズ校]]、[[シュルーズベリー校]]、[[チャーターハウス・スクール|チャーターハウス校]]の9校が「'''ザ・ナイン'''」と呼ばれる代表的な名門校である。<ref>クラレンドン委員会報告書から</ref>