「オオクチバス」の版間の差分

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=== 日本産ブラックバスの遺伝的知見 ===
日本国内の19府県47地点から得られた(オオクチバス、コクチバス、フロリダバス)247個体のDNA[[ハプロタイプ]]を分析した。結果は、オオクチバスでは10のハプロタイプが知られているが、7タイプを確認した。山中湖には7タイプが生息しているが、ブラックバスに対し[[漁業権]]を設定しているため、資源量を維持する目的で全国各地から移植されている事が、ハプロタイプからも裏付けられた。琵琶湖ではフロリダバスとオオクチバスのハプロタイプが確認された<ref name="高村2005">{{Cite journal|和書|author=高村健二|year=2005| title=日本産ブラックバスにおけるミトコンドリアDNAハプロタイプの分布 |journal=魚類学雑誌 |volume=52|issue=2|url=http://www.wdc-jp.biz/pdf_store/isj/publication/pdf/52/5202_02.pdf|format=PDF|pages=107-114|accessdate=2012-05-07}}</ref>。
 
アメリカ国内のハプロタイプ分布は十分に解明されておらず、日本に移入された個体の系統の由来地域の解明も不十分である。アメリカ及び日本国内のハプロタイプ分布が十分に解明されると、日本への移入が既知の1925,1972年以外に行われていたのかの解明が行えると期待される。
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===対策===
事態を重くみた環境省は、2005年(平成17年)6月施行の「[[外来生物法]](特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」でコクチバスと共にオオクチバスの規制(輸入・飼養・運搬・移殖を規制する)を目指すことになった<ref name="瀬能2006">{{Cite journal|和書|author=瀬能 宏|year=2006| title=外来生物法はブラックバス問題を解決できるのか?|journal=哺乳類科学 |volume=46|issue=1|url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/46/1/46_1_103/_pdf|format=PDF|pages=103-109|accessdate=2012-05-07}}</ref>。しかし、2004年10月から開始されたオオクチバスを[[特定外来生物]]に選定する是非を決める会議では、全国内水面[[漁業協同組合]]連合会や外来種問題を危惧する研究者などの指定賛成派と、[[日本釣振興会]]、[[全日本釣り団体協議会]]、釣魚議員連盟といった指定反対派との間で意見が大きく対立し議論は難航した<ref name="瀬能2006"/>。結果、2005年1月19日の第4回小会合にてオオクチバスの指定については半年まで検討期間を延長することになった<ref name="瀬能2006"/>。ところが、その2日後に当時の[[環境大臣]]がバスは指定されるべきとの発言をしたため急遽方針が転換され、結局オオクチバスは特定外来生物に1次指定されることが決定した<ref name="瀬能2006"/>。こうした混乱や衝突はオオクチバスが大規模なバス釣り産業を形成しており経済的に重要な価値を有することが背景にあり、外来種問題の解決の難しさが窺える事例となった<ref name="瀬能2006"/><ref name="Idb"/>。また、多くの都道府県でも、内水面漁業調整規則に基づき移殖放流が禁止されている<ref name="自環研セ2008"/>。1965年に移入された芦ノ湖の[[漁業権]]を管理する神奈川県は、オオクチバスを含めたブラックバスに関して移植をしてはならないとした<ref>[http://www.agri.pref.kanagawa.jp/SUISOKEN/naisui/news/kisoku.htm 神奈川県内水面漁業調整規則第30条の2]</ref>。さらに、日本国外ではイギリスや韓国などで国内への持ち込みが禁止されている<ref name="自環研セ2008"/>。
 
稚魚のすくい取り、産卵床の破壊、人工産卵床の設置、地引き網、池干しといった方法で防除が行われている<ref name="Idb">[http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/50330.html オオクチバス] [[国立環境研究所]] 侵入生物DB</ref><ref name="高橋2005">{{Cite journal|和書|author=高橋清孝|year=2005| title=オオクチバスMicropterus salmonides駆除の技術開発と実践|journal=日本水産学会誌|volume=71|issue=3|naid=110003161621 |pages=402-405 }}</ref>。環境省では2005年度から「オオクチバス等防除モデル事業」を伊豆沼・内沼、羽田沼、[[片野鴨池]]、犬山市内のため池群、琵琶湖、[[藺牟田池]]の6つの地域で実施した<ref name="種生物学会2010">{{cite book | 和書 | author = [[種生物学会]] | title = 外来生物の生態学 進化する脅威とその対策 | publisher = [[文一総合出版]] | date = 2010-03-31 | isbn = 978-4-8299-1080-1}}</ref>。また、市民活動も盛んに行われており、2005年には「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」が結成されている<ref name="種生物学会2010"/><ref name="ノーバス">[http://www.no-bass.net/ 全国ブラックバス防除市民ネットワーク]</ref>。防除対策によって減少していた魚類の増加が確認され[[生態系]]の回復が実現している水域もある<ref name="高橋2005"/>。
 
===漁業権と外来種問題===
[[山梨県]]の[[河口湖]]、[[山中湖]]、[[西湖]]でのブラックバスの[[漁業権]]は1989年〜1994年に認められ、2005年施行の[[外来生物法]]でブラックバスの放流が禁じられた後も「特例」として許可されてきた。2014年1月の免許更新期を前に、地元漁協や自治体が継続を求め、[[日本魚類学会]]や[[NPO]]や[[自然保護団体]]などが反対していた。山梨県が地元漁協の免許の特例更新を認める方針を固めた。
 
== 食用 ==
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* [[ブラックバス]] - [[コクチバス]]
* [[ブルーギル]]
* [[内水面漁場管理委員会]]
 
== 脚注 ==