「自然数」の版間の差分

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最初の大きな進歩は、数を表すための[[記数法]]の発明であり、これで大きな数を記録することが出来るようになった。[[古代エジプト]]人は 1 から百万までの 10 の累乗それぞれに異なる[[ヒエログリフ]]を割り当てる記数法を用いていた。[[バビロニア]]では、数字を離して表記することでその桁が 0 であることを示す[[六十進法]]の[[位取り記数法]]に似た方法が開発された。しかし、0 を表す文字がなかったため、例えば 10203 は 0 を空白にして "1 2 3" と正しく表記できるが、10200 は "1 2" となって 102 と区別できない欠点があった。[[オルメカ]]と[[マヤ]]の文明では[[紀元前1世紀]]までには、(バビロニアと同様に)数字を離して 0 の桁を表す方法が独立に用いられていた。
 
[[抽象]]的な概念としての数の体系的な最初の研究は、[[古代ギリシア]]においてなされ、[[数論]]が高度にまで発達した。しかし、数論には 0 などなくても済んだので、古代ギリシア人は 0 を学者[[エウクレイデス]]が編纂た『[[原論]]』の第7巻の冒頭で数の定義がなされ捉えようとはしなかったいる<ref>{{Harv|ユークリッド|1971|p=149}}</ref>
#単位とは存在するもののおのおのがそれによって 1 とよばれるものである。
#数とは単位から成る多である。
これは定規とコンパスによる作図で数を定義したものと解釈できる。すなわち、任意に与えた線分の長さを単位として 1 を定義する。そして、その線分を延長した直線上で単位を半径とする長さをコンパスで測り、その直線上でその単位を半径とする円との交点を作図し、その円の直径を 2 と定義する。同様にその直線上で円の直径に半径を繋いだ線分を作図し、その線分の長さを 3 と定義する。したがって、1 は数ではなく単位であり、2, 3, 4, …が数になるため、古代ギリシア人は 1 を数として認識しなかったと言える。
 
1世紀頃、無名の[[インド]]人によって、初めて 0 を使った完全な位取り記数法が発明された。彼は[[ソロバン]]とよく似た[[ビーズ玉計算機]]で計算していたとき、数のない桁を 0 で書いて、ビーズ玉計算機上の各桁の数をそのまま並べて書き表すと、計算結果を素早く書き残せることに気づいた。この 0 は、インド人の言葉で空(から)の意味を表す「スーニャ」と呼ばれた。こうしてできた記数法は、数の記録と計算に一大革命をもたらす大発明となった。しかし、ここでの 0 は数としての 0 ではなく、空の桁を表す目印に過ぎないものであった。
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* <code>3 := suc(2) = {0, 1, 2} = {0, {0}, {0, {0}}} = { {}, {{}}, { {}, {{}} } }</code>
 
等々である<ref>{{Harv|von Neumann|1923}}</ref>
 
このように定義された集合 ''n'' は丁度(通常の意味で)''n'' 個の元を含むことになる。また、これは[[順序数|有限順序数]]の構成であり、(通常の意味で)''n'' ≤ ''m'' が成り立つことと ''n'' が ''m'' の部分集合であることは同値である。
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*{{Citebook|和書|author=[[リヒャルト・デデキント|デーデキント]]|others=[[河野伊三郎]] 訳|date=1961-11-16|title=数について――連続性と数の本質――|series=岩波文庫|publisher=岩波書店|isbn=4-00-339241-8|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/8/3392410.html}}
**{{Cite book|和書|author=[[リヒャルト・デデキント]]|others=[[渕野昌]] 訳・解説|date=2013-07-10|title=数とは何かそして何であるべきか|series=ちくま学芸文庫 テ9-1 Math & Science|publisher=[[筑摩書房]]|isbn=978-4-480-09547-3|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095473/|ref=デデキント2013}} - 「数とは何かそして何であるべきか?」・「連続性と無理数」を収録。
*{{Cite book|和書|author=[[ゴットロープ・フレーゲ|フレーゲ]]|editor=[[野本和幸]] 編|date=2000-09-20|title=算術の基本法則|series=フレーゲ著作集3|publisher=[[勁草書房]]|isbn=4-326-14822-5|url=http://www.keisoshobo.co.jp/book/b26703.html|ref={{Harvid|フレーゲ|野本|2000}}}} - 歴史的著作。抄訳。
*{{Cite book|和書|author=ペアノ|authorlink=ジュゼッペ・ペアノ|others=[[小野勝次]]・[[梅沢敏郎]] 訳・解説|date=1969-08-20|title=ペアノ 数の概念について|series=現代数学の系譜 2|publisher=[[共立出版]]|isbn=4-320-01155-4|url=http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320011557|ref={{Harvid|ペアノ|小野|梅沢|1969}}}} - 歴史的著作。
*{{Cite book|和書|author=E・T・ベル|authorlink=エリック・テンプル・ベル|others=[[田中勇]]・[[銀林浩]] 訳|origyear=1962-1963|date=1997-10|volume=上・下|title=数学をつくった人びと|publisher=[[東京図書]]|id=ISBN 4-489-00528-8 ISBN 4-489-00529-6|ref={{Harvid|ベル|田中|銀林|1997}}}}
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**{{Cite book|和書|author=E・T・ベル|authorlink=エリック・テンプル・ベル|others=[[田中勇]]・[[銀林浩]] 訳、[[秋山仁]] 解説|date=2003-11-19|title=数学をつくった人びと|volume=3|series=ハヤカワ文庫 NF 285 〈数理を愉しむ〉シリーズ|publisher=[[早川書房]]|isbn=978-4-15-050285-0|url=http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90285.html|ref={{Harvid|ベル|田中|銀林|2003c}}}}
*{{Cite book|和書|author=[[保江邦夫]]|date=2002-12-20|title=数の論理 マイナスかけるマイナスはなぜプラスか?|series=ブルーバックス1397|publisher=[[講談社]]|isbn=4-06-257397-0|url=http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2573970|ref={{Harvid|保江|2002}}}}
*{{Cite book|和書|editor=[[ヨハン・ルードウィッヒ・ハイベア|ハイベア]]・[[ハインリッヒ・メンゲ|メンゲ]] 編|others=[[中村幸四郎]]・[[寺阪英孝]]・[[伊東俊太郎]]・[[池田美恵]] 訳・解説|title=ユークリッド原論|publisher=[[共立出版]]|ref={{Harvid|ユークリッド|1971}}}} - 全13巻の最初の邦訳。
** (ハードカバー)1971年7月。ISBN 4-320-01072-8
** (縮刷版)1996年6月。ISBN 4-320-01513-4
** ([http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320019652 追補版])2011年5月。ISBN 978-4-320-01965-2
*{{Citation|last=Landau|first=Edmund|authorlink=エトムント・ランダウ|year=2001|title=Foundations of Analysis|edition=Reprint|publisher=Chelsea Pub Co.|isbn=0-8218-2693-X}}
*{{Citation|last=von Neumann|first=JohnJohann|author-link=ジョン・フォン・ノイマン|editor=Jean van Heijenoort|origyearyear=1923|date=January 2002|title=FromZur FregeEinführung toder Gödel:trasfiniten AZahlen|journal=Acta Sourcelitterarum Bookac inscientiarum MathematicalRagiae Logic,Universitatis Hungaricae 1879Francisco-1931|chapter=OnJosephinae, theSectio introductionscientiarum of transfinite numbers|edition=3rdmathematicarum|publisher=Harvard University Press|pages=346199-354208|isbnvolume=0-674-32449-81|url=http://wwwacta.hupfyx.harvard.eduhu/acta/catalogshowCustomerArticle.phpaction?isbnid=4981&dataObjectType=article&returnAction=showCustomerVolume&sessionDataSetId=39716d660ae98d02&style=9780674324497}}
**{{Citation|last=von Neumann|first=John|author-link=ジョン・フォン・ノイマン|editor=Jean van Heijenoort|origyear=1923|date=January 2002|title=From Frege to Gödel: A Source Book in Mathematical Logic, 1879-1931|chapter=On the introduction of transfinite numbers|edition=3rd|publisher=Harvard University Press|pages=346-354|isbn=0-674-32449-8|url=http://www.hup.harvard.edu/catalog.php?isbn=9780674324497}} - {{Harv|von Neumann|1923}}の英訳。
 
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