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自生、栽培
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'''サルナシ'''(猿梨、学名:''Actinidia arguta'')は[[マタタビ科]][[マタタビ属]]の雌雄異株または雌雄雑居性つる性落葉植物。別名:'''シラクチカズラ'''、'''シラクチヅル'''。果実はしばしば'''コクワ'''と呼ばれる。
 
== 分布 ==
日本、朝鮮半島、中国などに分布する雌雄異株の蔓性の落葉樹である。本州中部以南の温暖地では、概ね標高600m以上の山岳地帯に自生する。本州中部(長野県)では、標高700mから1400m程度の沢筋から斜面上部まで分布する<ref name="shidai2924">[http://hdl.handle.net/10091/2924 長野県中南部に自生するサルナシ (Actinidia arguta (Sieb.et Zucc.) Planch. Ex Miq.) の果実形態と収量の系統間差異] 信州大学農学部AFC報告 7: 11-19 (2009)</ref>
 
== 特徴 ==
花は白色で、[[果実]]は[[キウィフルーツ]]を無毛にしてかなり小さくしたような緑色の2~3cm程度のものに熟する。果実の味は[[キウィフルーツ]]に似ている。熟した果実は、[[果実酒]]などに使用したり、'''ミニキウイ'''(あるいは、'''キウイベリー'''、'''ベビーキウイ'''、'''デザートキウイ'''、'''カクテルキウイ'''など)と呼び、生食にも適するほか、ジュース・砂糖漬けなども商品化されている<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/80016519030/ サルナシの搾汁と飲料加工] 東北農業研究 (56), 265-266, 2003-12-00</ref>
 
野生動物ではの餌として重要な位置にあり[[ニホンザル]]や[[ツキノワグマ]]<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs1953/71/10/71_10_417/_article/-char/ja/ 大井川上流域におけるツキノワグマの食性] 日本林学会誌 Vol.71 (1989) No.10 P417-420</ref>、[[ヒグマ]]などが好んで大量に摂食して[[種子散布]]に貢献し、[[クマ]]類がこればかりを大量に食べた後の[[糞]]の外見は[[キウィフルーツ]]の[[ジャム]]に酷似する。このように、[[ヒト]]を含む[[哺乳類]]の[[味覚]]の嗜好に適する点、[[鳥類]]による種子散布<ref[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jyio1952/34/1/34_1_73/_article/-char/ja/ 北海道におけるエゾライチョウの食性] 山階鳥類研究所研究報告 Vol.34 (2002-2003) No.1 P73-79 /ref>に頼る植物の果実の多くの色が赤色か黒色である点、哺乳類に発達した[[嗅覚]]を刺激する芳香を持つ点から、主として哺乳類の果実摂食による種子散布に頼る[[進化]]を遂げた植物であると考えられる。
 
== 利用 ==
[[画像:IyanoKazurabashi.jpg|240px|thumb|left|かずら橋]]
熟した果実は、[[果実酒]]などに使用したり、'''ミニキウイ'''(あるいは、'''キウイベリー'''、'''ベビーキウイ'''<ref name="kasei60_501">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/61/8/61_501/_article/-char/ja/ ベビーキウイ(サルナシ)果実の特性] 日本家政学会誌 Vol.61 (2010) No.8 p.501-504</ref>、'''デザートキウイ'''、'''カクテルキウイ'''など)と呼び、生食にも適するほか、ジュース・砂糖漬けなども商品化されている<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/80016519030/ サルナシの搾汁と飲料加工] 東北農業研究 (56), 265-266, 2003-12-00</ref>。
ツルは直径約5cm、長さは50mにも伸びることがある。非常に丈夫で腐りにくいことから「祖谷の[[かずら橋]]」([[吊り橋]])の材料にも使用されている。また、水を吸い上げる能力が高く、蔓の中にも大量の樹液を含み、樹勢の強い時期に太い蔓を切ると大量の樹液が出てくる。山中で飲用水が不足した場合に用いられることもある<br clear="all" />。
 
[[画像:IyanoKazurabashi.jpg|240px200px|thumb|leftright|かずら橋]]
ツルは直径約5cm、長さは50mにも伸びることがある。非常に丈夫で腐りにくいことから「祖谷の[[かずら橋]]」([[吊り橋]])の材料にも使用されている。また、水を吸い上げる能力が高く、蔓の中にも大量の樹液を含み、樹勢の強い時期に太い蔓を切ると大量の樹液が出てくる。山中で飲用水が不足した場合に用いられることもある<br clear="all" />
 
=== 食物アレルギー ===
キウィフルーツと同様な[[アレルギー]]症状を起こすことがある<ref name="kasei60_501"/>。
 
== 日本での栽培 ==
もともとの生育場所が高冷山間地であるため、山間地域での栽培が容易であると考えられ過疎対策として栽培される事多い。
キウィフルーツの日本での栽培の開始は、本来サルナシ果実の味に魅せられた農家が栽培果樹化を試みたが、その困難さにこれを断念し、近縁のシナサルナシが中国南部からニュージーランドに導入されて品種改良の上で栽培果樹化されていることを知って、これの日本導入に切り替えたことに始まるというエピソードもある。
 
栽培特性の向上や食味改善を目論んで自生株(野生種)からの選抜<ref>{{PDFlink|[http://to-noken.ac.affrc.go.jp/DB/DATA/054/054-163.pdf サルナシの自生系統の諸特性] 東北農業研究 (54), 163-164, 2001-12-00 }}</ref>や近縁種との交配による新品種が作出され、長野県、岐阜県、山形県、香川県などで栽培されている<ref name="shidai2924">[http://hdl.handle.net/10091/2924 長野県中南部に自生するサルナシ (Actinidia arguta (Sieb.et Zucc.) Planch. Ex Miq.) の果実形態と収量の系統間差異] 信州大学農学部AFC報告 7: 11-19 (2009)</ref><ref>{{PDFlink|[http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010734874.pdf 山梨県森林総合研究所研究報告 26号,p.9-11,(2007-02)]}}</ref>。
 
== 参考画像 ==
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{{Commons|Actinidia arguta|サルナシ}}
[[キウィフルーツ]]
[[アレルギー]]
 
== 外部リンク ==
* [http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/rinsan/0409gr.html サルナシってどんな植物?] 岐阜県森林科学研究所
* [http://cihdl.niihandle.ac.jp/naidnet/12000119133810091/2924 長野県中南部に自生するサルナシ(Actinidia arguta (Sieb. et Zucc.) Planch. ex Miq.)の果実形態と収量の系統間差異] 信州大学農学部AFC報告 (7), 11-19, 2009-03-00
* [https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshs1925/58/4/58_4_835/_article/-char/ja/ キウイフルーツ及び近縁種の染色体数] 園芸學會雜誌 Vol.58 (1989) No.4 P835-840
* [http://ci.nii.ac.jp/naid/80015321967/ サルナシの自生系統の諸特性] 東北農業研究 (54), 163-164, 2001-12-00
 
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