「ツォルンの補題」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Addbot (会話 | 投稿記録)
m ボット: 言語間リンク 25 件をウィキデータ上の d:q290810 に転記
編集の要約なし
1行目:
'''ツォルンの補題'''(ツォルンのほだい、Zorn's lemma)、または、'''クラトフスキ・ツォルンの補題'''(クラトフスキ・ツォルンのほだい)とは、「任意の空でない帰納的順序集合(定義は後述)は、[[極大元]]を持つ」という定理である。数学者の[[マックス・ツォルン]]に因み、この名で呼ばれる。この定理は[[選択公理]]と同値である。

== 概要 ==
'''帰納的順序集合'''(inductively ordered set)とはある条件をみたす[[順序集合]]であるが、もっぱらツォルンの補題の説明に用いられる。「順序集合 (''X'', ≤) が、帰納的順序集合である」とは、「''X'' の任意の[[全順序]]部分集合が、''X'' の中に[[上界]]をもつこと」を意味する。
 
抽象的な外観をしているが、大変有用な定理でもある。特に代数学においてしばしば用いられる。この定理から、例えば「全ての[[ベクトル空間]]は基底を持つ」という定理を以下のようにして簡単に証明することができる。ベクトル空間 ''V'' が任意に与えられたとき、''V'' の[[一次独立]]な部分集合全体の集合 ''X'' は、包含関係 ⊂ を順序と考えて帰納的順序集合である。これの極大元の存在がツォルンの補題で示されるが、この極大元が ''V'' の[[基底]]となっている。この証明を選択公理を直接に適用して行うのは難しい。