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'''有限責任'''(ゆうげんせきにん)または'''有限責任原理'''(ゆうげんせきにんげんり)とは、会社などへ出資した者がその出資した額についてのみ責任を負うという原理。[[株式会社]]の[[株主]]、[[有限会社]]の社員、および[[合資会社]]の有限責任社員について有限責任が認められている。
 
[[2005年]][[8月1日]]から[[有限責任事業組合契約に関する法律]]により、共同で営利を目的とする事業を営むための組合契約であって、組合員の責任の限度を出資の価額とするものに関する[[LLC|有限責任事業組合]]制度が創設された。
 
==具体例==
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これに対して[[合名会社]]の社員や合資会社の無限責任社員は、会社の債務について会社財産をもってしても完済できなかった場合には自己の財産をその弁済に充てることを迫られる。これを有限責任と対比して[[無限責任]]という。
 
==現実における効果==
有限責任原理が働く場合、出資者は会社倒産などの際にも出資額さえ諦めればそれでよいのであるから、出資のリスクが軽減される。これによって出資者の出資意欲を向上させ、会社の資金調達が容易となる。さらに株式会社の株式のように出資額が比較的低く抑えられる場合にはよりその効果が高まる。
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その一方で会社の債権者にとっては債権回収の障害となる場合がある。そこで[[商法]]では[[資本充実の原則]]などを定めて会社の債務に対する唯一の引き当てである会社財産の流出を防ぎ、また各種の[[準備金]](資本準備金と利益準備金が法定されており、さらに任意で積み立てをする場合もある)を蓄えるよう定めて、会社債権者の保護を図っている。
 
それでも会社が債務超過に陥った場合、債権者はこの有限責任原理をかいくぐって債権回収を図る。例えば、法人格否認の法理を援用して会社の[[法人格]]を無視して実質的経営者の財産を会社の財産と同視することでそこから債権を回収することがある。また、株主であり[[取締役]]である者の取締役としての経営責任を商法266条ノ3に基づく損害賠償請求裁判において追求することもある。これらは実質的に見れば有限責任原理を回避して株主から債権を回収することになる。特に後者の方法は頻繁に用いられ、事実、商法266条ノ3に基づく損害賠償請求事件が日本国内で提起される訴訟の中でも最も多いといわれている。またより直接的な方法としては、株主であり取締役である者と予め[[連帯保証]]契約を結んでおくことが有効であり、いわゆるオーナー経営者が有限責任の利益を享受できることは稀である。
 
[[Category:商法|ゆうけんせきにん]]